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ちあきの星空コラム

第81回 土星が見頃 (2010/04/05)

4月に見ごろの土星

土星

今年の土星は昨年よりも少し環が開いて見られます(撮影:浦辺守)

天体観望会の時に参加者のリクエストが一番多いのが土星です。
今月はその土星が見頃を迎えます。

土星は、おとめ座の中にあって、近くにある1等星スピカよりも明るく輝いて見えます。天体望遠鏡で見ると、環をもったユニークな形が確認でき、その特徴的で神秘的な姿はまさしく宇宙的なイメージの代表格になっています。

昨年は環が地球から見て真横に向いたため、ほぼ線状の環に見え、一時期は大型の天体望遠鏡を使っても環が見えないいわゆる「環の消失状態」となりました。

今年の土星の環は線状よりもやや太く見えますが、やはり細く見えます。最近友人が撮影した写真を掲げておきましたので、ごらんください。

「土星の環を見るのには何倍くらいの天体望遠鏡が必要ですか?」とよく聞かれますが、土星の環は、入門用の小型屈折式天体望遠鏡(口径5~6センチメートルクラス)でも充分にその存在を確認できます。ガリレオ・ガリレイは、現在の入門用の天体望遠鏡よりも小さな望遠鏡を星空に向け、月のクレータや太陽黒点、金星の満ち欠け、木星の4大衛星の発見など数々の天文学的発見をしましたが、そのガリレオの望遠鏡では、土星は天体に耳が付いているように描かれたスケッチが残されており、その耳が環であるとまでは解明できなかったようです。

その点、現在の天体望遠鏡はとても優れた光学性能を持っていて、粗悪品でないかぎり小型の天体望遠鏡でも倍率を50倍程度をかけて見ると土星の環をはっきりと確認できます。
ぜひ、この機会に土星の姿を確認してみましょう。

4月に見られる惑星は?

土星は見頃となってきましたが、ほかの惑星はどうでしょうか。

春の星座の中、かに座付近に赤く輝く火星が明るく見えています。
火星は今年の1月に地球に接近した後、だんだんと地球から遠ざかっているところですが、まだまだ明るく、肉眼でそれとわかる明るい輝き方をしています。

4月も下旬になりますと、宵の西空には金星が見られるようになります。他の星よりも明るいので、みつけやすいともいえますが、地平線に近い低空ですから、障害物のない見晴らしの良いところで探してみましょう。天体望遠鏡で見ると低空のせいで気流の影響を受けてグニャグニャと動いていますが、たまごのような楕円に近い面的な天体として見ることができます。

水星は4月5日ころから4月15日ころまで、西空の低空に見られます。金星よりも低空に見えますので、さがすのにちょっと苦労します。
木星は残念ながら見ることができず、今年は秋に見ることができますのでお楽しみにお待ちください。

4月の天文情報
曜日月齢天文現象など
16.2満月 月が天の赤道を通過(南半球へ)
17.2 
18.2 
19.2月が最南 金星と水星が最接近(夕方の西空)
20.2清明(二十四節気)
21.2下弦の月
22.2 
23.2 
24.2月の距離が最遠 水星が東方最大離角(夕方の西空に見られる)
1025.2 
1126.2 
1227.2月が天の赤道を通過(北半球へ)
1328.2 
1429.2新月
150.6 
161.6 
172.6月と金星の接近(夕空) 火星がプレセペ星団に接近
183.6 
194.6月が最北
205.6穀雨(二十四節気)
216.6 
227.6上弦の月 月が火星の南を通る
238.6こと座流星群が極大
249.6 
2510.6月の距離が最近 月が天の赤道を通過(南半球へ)
2611.6おとめ座流星群が極大
2712.6 
2813.6満月
2914.6昭和の日
3015.6 

4月の星座

天上に昇った北斗七星から星座を探せる季節がやってまいりました。北斗七星そのものはおおぐま座の一部分ですが、北斗の柄の部分はおおぐまの尾の部分に相当し、この尾の先を柄のカーブに沿って伸ばしていくとうしかい座の1等星アルクトゥルスをみつけることができます。さらにそのカーブを伸ばすことによって、おとめ座のスピカにもたどり着けます。このカーブのことを「春の大曲線」と呼んでいます。

ほかには南の空には四辺形の星の配列をしたからす座や細長い星座のうみへび座が見られます。また、天高くライオンの姿をしたしし座やかに座などが見られます。

北斗七星を含むおおぐま座はとても大きい星座ですが、熊のしっぽに相当する北斗七星の柄の位置との関係から全容をとらえましょう。
下に掲げる星図をたよりにたしかめてみましょう。 

春の大曲線の説明

4月の星座案内図

 

※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。

※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュ レーションソフトステラナビゲータ.8から出力し、加工したものを使用しています。

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。