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ちあきの星空コラム

第83回 6月26日は部分月食 (2010/06/04)

東京スカイツリーにプラネタリウム

地上波デジタル放送の電波発信などを目的とした新電波塔「東京スカイツリー」が東京都墨田区内に、2012年の完成をめざして建設中で、すでに連日、見物客が殺到して完成前からにぎわっている様子はみなさんご存じのことと思います。   

この東京スカイツリーは世界一の高さを誇る電波塔をめざし高さ634メートルとなる予定ですが、タワーと併せて東西の長さが400メートルにも及ぶ商業施設(店舗数は約300店規模と予定)を柱とする新しいまちも誕生します。   

その中には、天文ファンにうれしいプラネタリウム投影機を備えるドームシアターがもうけられる予定で、タワーの東側の複合施設の7階に設置され、ドーム直径18メートル、観覧席数約220席を予定し、最新技術を備えた宇宙体験ができるようなドーム型のシアター施設になることが発表されています。   

今までのプラネタリウムでは体験できないような宇宙空間のダイナミックな再現などの映像系の表現に期待するところも大きく、一般のプラネタリウム施設とは違った娯楽性の高い施設として完成が待ち遠しく、期待を大にしているところです。 

東京スカイツリー(建設中) 東京スカイツリーの高さは、今年の5月31日には398メートルに達し、この写真のとおり、とても高く見えますが、まだまだこれから高さを増していきます。
高くなるにつれて、関東の各地で見えるようになってきました。

月と金星の美しい光景

先月のコラムで金星の輝き(宵の明星)について述べましたが、その中でお知らせしたとおり5月16日、快晴の夕空に月と金星の輝く光景が見られましたね。   

写真を披露しますので、じっさいに見られた方は「あっそうそう。この光景」と記憶がよみがえることでしょうし、見られなかった方は、この写真のイメージを焼き付けて、6月に再び起きる同様な現象を見ましょう。   

6月の接近は6月15日の西空に見ることができます。夕方の、まだ空が暗くなる前から三日月と明るい金星の姿をみつけることができます。   

先月に見損なった方も今度はぜひ見ましょう。  

月と金星が近づいている様子が肉眼でもはっきりと見え、写真にもとらえられました。

 

月と金星の接近は、6月、7月と毎月のように見られますが、5月は特に近くまで接近した様子が見られました。

 

部分月食が見られます

今年1月1日に見られた部分月食は、2月のコラムでご披露しましたが、再度の登場です。影の縁が丸みをおびていて、地球の影であることを実感できます。

 

6月26日(土)の夕方、部分月食が見られます。   

梅雨空の6月ですが、夕方、東から昇る満月が、部分的に地球の影の中に入る現象が見られます。   

太陽は西の空から地平線下に沈み、その太陽の光を受けている地球は常に太陽と反対側の宇宙空間に向かって日影をつくっています。その影の中を月が通り過ぎるときに見られる現象が月食なのです。   

今回の月食では、月が地球の影に全部入らずに、おおよそ半分くらいが入りますので、月が欠けて見られる部分月食となるのです。時刻は、関東地方では地平線から昇ってまもなくの19時16分頃からかけ始め、最大に掛けるのが20時38分頃、そして食の終わりは22時頃となります。   

月の高度角は低いので、南東方向が開けた場所から観察しましょう。   

観察は、肉眼で十分できます。もし、詳しく観察したいなら記録用紙や双眼鏡があればいいでしょう。双眼鏡の倍率は7倍から10倍程度、口径は40ミリから50ミリくらいのものが天体観測用に広く用いられています。しかし、月食観察に限っていえば、もう少し倍率が高かったり、あるいは口径が小さい双眼鏡(たとえば倍率12倍、口径25ミリ)でも問題なく使用できます。   

月食の現象つまり、月にできた地球の影の様子は、時間とともに位置が移動していきます。また、影の縁が直線でなく、丸みをおびていることに気がつくはずです。   

この丸みこそが、地球の丸い姿の影だからなのです。地球が丸いということを実感できるチャンスともいえます。   

当日が晴天で月食が見られるといいですね。   

6月の天文情報

曜日月齢天文現象など
18.1 
19.1 
20.1 
21.1月の距離が最遠
22.1下弦の月 月が天の赤道を通過(北半球へ) 
31.1芒種(二十四節気)
24.1火星としし座のレグルスが接近
25.1木星と天王星が接近
26.1 
1027.1 
1128.1月とプレアデス星団(すばる)が接近
1229.1新月 月が最北
130.7 
141.7 
152.7月と金星の接近(夕方の西空) 月の距離が最近
163.7 
174.7 
185.7月が天の赤道を通過(南半球へ)
196.7上弦の月
207.7金星とプレセペ星団が接近(夕方の西空)
218.7夏至(二十四節気)
229.7 
2310.7 
2411.7 
2512.7月が最南
2613.7満月 部分月食
2714.7 
2815.7 
2916.7 
3017.7 

6月の星座

6月は梅雨空で星は見えにくい時期といえますが、上旬は比較的晴れることもあり、天高く北斗七星を含むおおぐま座を中心に春の星座を見ることができます。   

気流が比較的安定しているため、冬空ではきらきらとはげしくまたたいていた星々が静かにゆったりと輝いているように見えます。   

うしかい座のすぐそばには夏の星座であるかんむり座が姿を見せ、おとめ座の東にも夏の星座のてんびん座などが姿をあらわしてきます。   

もちろん春の星座のからす座やしし座、かみのけ座などもみつけることができます。   

私はこの時期、茨城県龍ケ崎市内の竜の子山山頂などで星空を鑑賞しますが、稲敷市内の水田の近くでカエルの合唱を聴きながら見ることも多く、また、河川沿いの土手などもスターウオッチングに向いていますので、散歩しながら星座眺めを楽しんでいます。  

6月の星空(黒)

6月の星空(黒)

 

6月の星図(白)

6月の星図(白)

 

※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。
※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュ レーションソフトステラナビゲータ.8から出力し、加工したものを使用しています
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ 

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。 

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。 

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。 

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。