つくばのこと、もっとわかれば もっとたのしい! 茨城県つくば市のケーブルテレビ局ACCSによる地域情報サイト

ちあきの星空コラム

第88回 星座をさがす (2010/11/05)

深まる秋に見る四季の星座

夕暮れが早くやってきて夜の長い季節となりました。
夜が長いということは星座観察に適していて、実は、この季節には秋の星座だけでなく、夏、冬そして春の星座まで見ることができるのです。 
「えっ!秋には秋の星座じゃないの?」と疑問の読者もいらっしゃることと思いますが、この時期に一晩中夜空を見上げていれば、太陽と重なっている方角にある星座以外はすべて(南天の星座は別にして)見ることができるのです。
一晩で四季の星座を見るスターウオッチングにぜひチャレンジしてみませんか?
夕日が沈むと薄明に続いて夕闇がやってきて夜空は星々で埋め尽くされてしまいます。といっても都会地では光害(ひかりがい)の影響から見える星の数はそう多くはありませんが、郊外地や山間部に行けば星の数は増し、明るい星、暗い星、天の川や流れ星など夜空を彩る星々の輝きがとても美しく、明るい星では色の違いも判別できます。     

西空の夏の大三角

11月16日午後6時の西の空をシミュレーションしたものです。夏の大三角をはじめ、夏の星座がにぎやかです。

宵闇が迫る頃に見られる星座は夏の星座です。夏の大三角もはっきりと確認できます。こと座、わし座、はくちょう座の他にいるか座やヘルクレス座、いて座などもみつけることができます。残念ながらさそり座はもう地上の下に位置し見ることができません。   
  

秋の四辺形

西空に夏の星座が沈みゆく20時を過ぎる頃には、秋の四辺形(ペガスス座)が頭上まで駆け上がり、周囲の星空も秋の星座で埋め尽くされます。アンドロメダ座やカシオペヤ座など、静かな夜を鳴く虫の音とともに星座を観察する時間が持てれば、ひとときの幸せを感じられることでしょう。    

冬の星座の到来

やがて、深夜になるとすばるに引きつれられて東の空から冬の星座が登場してきます。
縦に3個の星が並んで昇ってくるオリオン座は多くの人々に知られた最も有名な星座です。
夜の12時になると、天頂より西側の空は秋の星座、東側は冬の星座となり、ふたつの季節の星座が楽しめます。       

11月中旬頃は夜の12時前後に星空を仰げばこのシミュレーション図のとおり秋の星座と冬の星座が同時に見られますが、本物の星空では星々は星座を形づくる線で結ばれていませんので、オリオン座などの目立つ星座から順次みつけていくといいでしょう。

春の星座が昇ってくる

明け初めるころの東の空は春の星座とともに金星、土星も見られ賑やかな星空となっています。この図は11月中旬の午前5時ころの星空をシミュレーションしたものですが、この時刻を過ぎますと空が白み始め、朝焼けのオレンジ色の空に変化して星はだんだんと見えなくなります。ここで使用した星図はいずれもアストロアーツ(株)の許諾を受け、ステラナビゲータVer.9から出力したものを使用しています。

夜は長く、秋、冬の星座さがしが終わってもまだ夜は明けてくれません。双眼鏡を使い、すばるやオリオン大星雲をはじめ、冬の天の川の中からぎょしゃ座の散開星団などを観望して過ぎゆく夜を楽しみましょう。ずっと夜空を見上げていると、流れ星もいくつも見ることができます。深夜の静かな夜に歓声があがります。
やがて明け方がせまってくる頃になると東の空はかに座やしし座といった春の星座が昇ってきます。かに座の中心部にあるプレセペ星団なども双眼鏡で見られる対象として楽しむことができます。北東の空にはおおぐま座(北斗七星)も存在感をもって輝いています。
星座さがしを楽しんでいるうちに午前5時を過ぎた頃には、朝焼けの輝きとともに徐々に空が明るくなり、夜明けがやってまいりますが、金星が明けの明星として明るくなってからも煌々と輝く姿が印象的に見られます。     

流星群は今年も健在

今年も11月18日をピークとして、しし座流星群を見ることができます。
このしし群は18日の明け方が流星数のピークを迎える極大で、18日の夜よりも17日の未明から18日早朝にかけて観測する方が、流星をたくさん見られるかも知れません。このころは明るい月(月齢12前後)が輝いていますので、星数がちょっと少なく見えます。
ほかにおうし座流星群が見られ、南群は11月6日、北群は11月13日に極大を迎えますので、その前後の日も含めて多くの流星を楽しむことができます。    

ハートレイ彗星が見られる

ハートレイ彗星の位置図を示します。赤文字が月日をあらわします。今月はいっかくじゅう座あたりに見られることがわかります。ベースの星図はステラナビゲータ9を使用しています。

 今月は、ハートレイ彗星が見られます。25年前に見られたハレー彗星よりはちょっと暗く、肉眼での発見はちょっとむずかしいかも知れませんが、双眼鏡または天体望遠鏡を使えば必ずみつかることでしょう。
太陽の周りを回る周期が6.47年と短く、今までに何度も観測されていますが、今年は地球と彗星の位置関係が良く、観測の好機となっています。
彗星の位置は、11月上旬にはいっかくじゅう座からこいぬ座を抜け、11月末にはとも座まで進んでいきます。明るさは6等星くらいで、恒星とちがい明るさが拡散しているためにボーとした星雲のような姿に見えます。
11月は中旬に月明かりがあり、その頃はちょっと見えにくいかも知れませんが、ぜひみつけていただきたいと思います。宇宙を旅する放浪者の彗星を見て、宇宙全体に思いを巡らせてみるのもいいでしょう。    

11月の天文情報

曜日月齢天文現象など
24.3 
25.3月が天の赤道を通過(南半球へ)
26.3文化の日
27.3月の距離が最近
28.3 
29.3新月 おうし座南流星群が極大(出現期間10月15日~11月30日)
0.9立冬(二十四節気)ハートレイ彗星が見頃  
1.9 
2.9月が最南
103.9月、金星、火星の接近(夕方の西空)
114.9 
125.9くじら座ミラ(変光星)が極大 
136.9おうし座北流星群が極大(出現期間10月15日~11月30日)
147.9上弦の月 
158.9月の距離が最遠
169.9月が天の赤道を通過(北半球へ)
1710.9 
1811.9しし座流星群が極大(出現期間11月5日~11月25日)
1912.9 
2013.9 
2114.9火星と水星が接近
2215.9小雪(二十四節気) 満月 
2316.9月が最北
2417.9 
2518.9 
2619.9 
2720.9 
2821.9 
2922.9下弦の月
3023.9月が天の赤道を通過(南半球へ)

  

11月の星空

11月には巻頭で述べましたように四季の星座を見るチャンスといえます。冬ほど寒くなく、一晩のスターウオッチングは暖かい飲み物や双眼鏡なども用意して、ゆったりと休憩をしながら眺めるといいでしょう。
夕食後のひとときにちらっと星見という場合は、下に示す11月の星空が適しています。
南の空を中心に秋の星座を満喫してください。

11月の午後9時前後の星空です。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。プリントアウトしてスターウオッチングにお役立てください。なお、本星図は、アストロアーツ(株)の許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータVer.7」を使用しています。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ 

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。 

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。 

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。 

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。