つくばのこと、もっとわかれば もっとたのしい! 茨城県つくば市のケーブルテレビ局ACCSによる地域情報サイト

ちあきの星空コラム

第93回 北極星をみつける (2011/04/06)

はじめに

今月は、はじめに東日本大震災で被災された方々にお見舞い申し上げます。
星空に目を向けることが、どれだけ震災復興や人々の心に力を与えることができるかは未知数ですが、いつの時でも星空は輝いて私たちを見守ってくれているような気がします。
一日でも早く、日常が平穏で安心して暮らせる日々に戻るようにお祈りしています。
今月も通常どおり、星空の解説をさせていただきます。  

北斗七星の近くにある銀河M81

北斗七星の近くにある銀河M81-神津牧場天文台の76センチ反射赤道儀式望遠鏡で撮影

北極星と北斗七星

北極星は天の北極に近い位置に見られ、1年中見ることができます。
その周囲を巡っている北斗七星は秋から冬にかけて見られない時期もありますが、春がもっとも見やすい季節といえます。
北斗七星は、北極星をみつける指標になる星として多くの人々から親しまれてきた配列です。北の空を仰ぎ見て、7個の明るい星々が「ひしゃく」の形に並んでいると、誰が最初に言い出したのでしょうか?
まずは、その北斗七星を星図や星座早見を使ってさがしてみましょう。
次に北斗七星から北極星をさがしましょう。下の図解とともに写真で解説しますが、ついでに、秋の星座のカシオペヤ座からもみつけられますので、そのみつけ方も写真を参照して覚えてしまいましょう。
これらの星々は、電気や文明の発達していない太古の昔から、多くの人々に見つめられてきましたが、私たちも星を眺めて、遠い過去や宇宙に思いを馳せてみましょう。   

4月の北の空星図

北極星のさがし方を図解にしました。この星図は(株)アストロアーツの許諾を受け、ステラナビゲータ9を使用しています

北極星をさがす北斗七星

北斗七星のひしゃくの先のふたつの星を結び、その長さを5回伸ばした先に北極星をみつけることができます

北極星をさがすカシオペヤ

カシオペヤ座からもWの形の中から線を伸ばしていくことによって、北極星をみつけることができます。

コンパスとどっちが正確?

コンパス(方位磁石)は、登山などでよく利用され、北の方角を知る道具として普及しており、天候に関係なく方角を知るのに役立っています。
では、北極星をみつけて北の方位を知るのとどっちが正確でしょうか?
北極星はほぼ真北方向にあるといえ、日にちや時刻により位置が変化しますが、角度でいうと1度の半分以下の誤差が生じることがあります。
では、アウトドアーなどで用いる方位磁石はどうかというと、日本の中でも地域によってやや異なりますが、おおむね5~6度くらいの誤差をもっています。
ということで北極星の方が正確に北の方位をさがすことができます。ただし、晴れた夜しか確認することができませんので、そのことを忘れないようにしてください。   

4月の天文情報

曜日月齢天文現象など
27.3月が天の赤道を通過(北半球へ)
28.3月の距離が最遠
29.3新月
0.5 
1.5清明(二十四節気) 土星が衝(観測好機) 
2.5 
3.5月とすばるが接近
4.5おうし座τ星が月に隠される(星食)
5.5月の赤緯が最北
106.5 
117.5上弦の月 
128.5 
139.5 
1410.5 
1511.5月が天の赤道を通過(南半球へ)
1612.5 
1713.5月の距離が最近
1814.5満月
1915.5 
2016.5穀雨(二十四節気)
2117.5月の赤緯が最南  
2218.5 
2319.5こと座流星群の極大
2420.5 
2521.5下弦の月
2622.5 
2723.5 
2824.5 
2925.5昭和の日 月が天の赤道を通過(北半球へ)
3026.5月の距離が最遠

4月の星空

きらきらと輝いていた冬の星座は西の空に沈み、夜空は春の星座で埋め尽くされています。
北の空にはおおぐま座とこぐま座が仲良く見られ、天頂から南にかけてはしし座を中心にその西にはかに座、東にはおとめ座が見られます。また、南の空にくねくねと長い姿を見せるうみへび座や、それに沿って、ろくぶんぎ座、コップ座、からす座などが見られます。
春の空は星のまたたきが弱く、空全体も冬の空のようにすっきりしていませんが、なぜかやさしく静かに輝いているように感じられます。   

4月の星図黒

4月の星空(黒)

4月の星図白

4月の星空(白)

4月中旬の午後9時前後の星空です。月及び月明かりの影響は省略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができ、また、プリントアウトして星座さがしにも利用しましょう。この星図は、アストロアーツ(株)の許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータVer.9」から加工した星図を使用しています。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ  

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。  

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。  

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。  

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。