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ちあきの星空コラム

第94回 土星を見る (2011/04/28)

土星が見やすい!

5月は、土星が見ごろです。
土星は、春の星座のおとめ座の中にあり、午後9時ころに南の空の高度角50度くらいの位置に見られ、付近の星よりも明るく輝いています。
環を持つ土星の姿はなんとも宇宙的ですばらしいキャラクターですが、小さな天体望遠鏡でも環を持つ土星の姿をちゃんと見ることができます。
環の見え方は、土星が30年周期で公転しており公転面に対して環が約25度傾いたまま公転しているために、地球から見ると毎年その傾き具合が変化していきます。2009年には環を真横から見る形になりましたので、一時期、環が消失したように見えましたが、今は環の傾きが広がってきており、2017年には環の傾きが最大になります。
この機会に観望会などに参加して天体望遠鏡でその姿を楽しんでください。

土星

粗悪品の天体望遠鏡でないかぎり、土星は天体望遠鏡を使えば環を持つ姿として見ることができます。撮影:浦辺守

惑星の集合

5月の空には惑星が集合している様子が見られます。
早起きして、明け方の東の空に注目してみましょう。水星、金星、火星それに木星などが集合している様子を見ることができます。
その各惑星同士の位置関係が日々変化していくところを観察できますので、晴れていれば毎日でも早起きして東天の星空を観察したいところです。
星図に毎日、各惑星の位置をプロットしていくと、視座の星との位置関係が変化し、移動していることがよくわかります。また、各惑星の移動によって、惑星同士が接近したり離れたりと位置関係を変えていきます。
それぞれの惑星の接近日は、下表の「5月の天文情報」をご覧ください。
位置をプロットする星図は、市販の星図のほかに星図を表示できるパソコンソフト(例:「ステラナビゲータ9」)からプリントアウトしたものに観察結果を日々、手書きでプロットしていくと立派な観察記録となることでしょう。
特に見ごろは、5月29日から31日の夜明け前の東天で、下図に示すように惑星の集合に加えて細い月が見られ、写真の被写体としても格好の材料になることでしょう。月の位置は、日々大きく位置を変えていく様子が確認できることでしょう。
ぜひ、早起きして観察してみましょう。

2011年5月30日星図

5月30日の東天の説明図です。観察する時刻は午前3時過ぎから3時40分くらいまで、夜空がだんだんとしらみはじめ明るくなっていき、星が明るさに負けて消えゆく姿を観察できます。地平線すれすれの水星や細い月、それに金星、火星及び木星などをぜひみつけましょう。

5月の天文情報

曜日月齢天文現象など
27.5木星と火星が最接近(明け方の東の空)
28.5 
29.5憲法記念日 新月
0.8みどりの日
1.8こどもの日
2.8立夏(二十四節気) みずがめ座η流星群が極大
3.8 
4.8金星と水星が最接近(明け方の東の空)
5.8 
106.8 
117.8上弦の月 金星と木星が最接近
128.8 
139.8月が天の赤道を通過(南半球へ)
1410.8 
1511.8月の距離が最近
1612.8 
1713.8満月
1814.8金星と水星が最接近(明け方の東の空)
1915.8月の赤緯が最南
2016.8 
2117.8火星と水星が最接近
2218.8小満(二十四節気)
2319.8火星と金星が最接近
2420.8 
2521.8下弦の月
2622.8月が天の赤道を通過(北半球へ)
2723.8月の距離が最遠
2824.8 
2925.8 
3026.8 
3127.8明け方に月と金星、火星などが東の空に集合

5月の星空5月は空に水蒸気が多く、晴れているようでも暗い星が見られないときもありますが、大きな高気圧が張り出してくるときに快晴の夜がありますので、ぜひそうしたチャンスに星見をしましょう。
今月は明け方の惑星が注目されていますが、その夜明け前の夜空は春の星座は西の空に傾き、天頂付近は夏の星座が君臨していますし、東天の惑星たちは秋の星座の中に見られます。
私たちが通常、夜空を仰ぐ午後8時とか午後9時ころの星空は、その季節の星座を見ることができるわけですが、地球の自転とともに移りゆく星座を何時間もかけて眺めてみるのも暖かくなってくるこの季節には適しているといえます。
今月の前半は月明かりがなく星座探訪に適していますが、後半は月明かりが邪魔をして星空が見えにくくなります。

5月の星空(黒)

5月の星図(白)

5月の星空(白)

5月中旬の午後9時前後の星空です。月及び月明かりの影響は省略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができ、また、プリントアウトして星座さがしにも利用しましょう。この星図及び本コラムでは、アストロアーツ(株)の許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータVer.9」から加工した星図を使用しています。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。