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ちあきの星空コラム

第100回 星景色が美しい (2011/11/01)

光害をさけて星景色を楽しむ

秋は空気が澄んで星のきらめきがいっそう引き立って見える季節です。
夕空には夏の星座が名残をおしむように西空に見られ、やがて、すっかり夜になる頃には秋の星座が全天を覆います。さらに夜半をまわったころには東天から冬の星座が見えてきますから、光害(ひかりがい)をさけて郊外地まで出かければ銀砂をまき散らしたような天の川の姿も見ることができます。
星座さがしはとてもおもしろく、星と星を結んで星座のかたちをうまくみつけられた時の感動はひとしおです。
この季節、みつけやすい夏の星座は、はくちょう座やこと座など。秋の星座では、秋の四辺形をもつペガスス座、アンドロメダ座、カシオペヤ座それにみなみのうお座などです。夜半を過ぎるころには冬の星座も天の北極寄りにあるぎょしゃ座や天の赤道付近にある「すばる」などがみつけやすいでしょう。
はくちょう座から天頂付近のカシオペヤ座を通り、ぎょしゃ座まで続く銀砂をまき散らしたような天の川(銀河)の姿も天に架かった大アーチのように見えます。
肉眼だけでなく、双眼鏡を使って天の川や星空を見ると、星雲や星団をあちこちにみつけることができ、楽しみが増加します。
夜はとても冷える時期ですが、暖かくしてゆっくり星空を楽しむ機会をぜひつくりましょう。

秋の星空

秋の星座は地味というけれど澄んだ空気の中できらきらと輝き、ゆっ くり星をながめるのに最適な星空です。写真の中に見られるアンドロ メダ銀河は双眼鏡でもはっきり見ることができます

夕空に金星

夕空に金星が見えるようになってきました。日の入り後、だんだんと暗くなる夜空の中で、西の空だけは夕焼けの影響もあって少し明るい時間帯(おおよそ午後5時半頃)に西空の低空(西南西の方角)に見られます。
11月10日には水星、さそり座の1等星アンタレスと並んだ姿が見られるので、特に注目しましょう。
また、11月27日には細い月(月齢2.1)が近くに見られ、夕焼け色に染まる西空に美しい景観をつくり出してくれますので、見逃さないように注目しましょう。

金星、木星、水星それに三日月

以前に見られた月と金星の近づいた写真です。関東平野の向こうに富士山 も見られます。

流星群は?

11月18日はしし座流星群の極大日で、多くの流星が流れることが期待されます。しかしこの日は、深夜になりますと昇ってくる月の光が明るくて見づらくなりますので、なるべく早い時間帯に流星ウオッチングを楽しみましょう。
11月上旬から中旬にかけておうし座流星群も見られます。

11月の天文情報

曜日月齢天文現象など
5.3 
6.3金星と水星が最接近(11日にはアンタレスを含めて接近)
7.3文化の日 上弦の月
8.3おうし座南流星群の極大
9.3 
10.3月が赤道通過(北半球へ)
11.3土星と水星が最接近
12.3立冬(二十四節気)月の距離が最遠
13.3 
1014.3 
1115.3満月
1216.3 
1317.3おうし座北流星群が極大
1418.3 
1519.3月とプレアデス星団(すばる)が接近
1620.3 
1721.3月の赤緯が最北
1822.3しし座流星群が極大
1923.3下弦の月
2024.3月が天の赤道通過(南半球へ)
2125.3 
2226.3 
2327.3勤労感謝の日 小雪(二十四節気)
2428.3月の距離が最近
2529.3新月
260.9月の赤緯が最南
271.9月と金星が接近して見える
282.9 
293.9 
304.9 

11月の星空

11月の空は、午後9時頃を迎えるころにはすっかり秋の星座が出そろいます。
最初に目を引くのが煌々と輝く木星です。木星はおひつじ座にあり、すぐそばにうお座もあります。両星座ともちょっと目立たないので、木星をみつけてから星図と照らし合わせて星座のそれぞれの位置を確認しましょう。
みつけやすいのは天頂付近にあるペガスス座。ペガススの四角形は秋の四辺形と呼ばれて親しまれています。
北にはカシオペヤ座、南には1等星フォーマルハウトのあるみなみのうお座。それからやぎ座、みずがめ座、くじら座、アンドロメダ座なども探してみましょう。
秋の澄んだ空気の中、木枯らしの吹く日などは特に星はきらきらと輝き、星座をウオッチングする絶好の日といえます。

11月の星空(背景黒)

11月の星空(背景黒)

11月白星図

11月の星空(背景白)

11月中旬、午後9時前後の星空です。月の位置及び月明かりの影響は省略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。この星図及び本コラムで使用している星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ9」から加工した星図を使用しています。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。