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ちあきの星空コラム

第102回 2012年は天文当たり年 (2012/01/04)

あけましておめでとうございます。
昨年は星空コラムをお引き立ていただきありがとうございました。
今年もいろんな星空や天文に関する情報を提供していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
今年は、天文の当たり年といいますか、いろんな天文現象が見られます。天文ファンならずとも空を見上げることがきっとあるのではないかと思います。そこで、どういった天文現象が、いつあるのかをお知らせし、天文現象がじっさいに見られる時期にはまたあらためて詳しくお知らせします。今のうちから期待して楽しみにお待ちくださいね。

★今年の天文現象

火星接近
大接近時に撮影した火星

大接近時に撮影した火星

火星は2年2か月に一度、地球に接近します。ただし、火星と地球はいずれも太陽の周りを回る公転軌道が円ではなく楕円軌道を描いていて、お互いに大接近となるときと小接近にしかならないときがあります。
今回の接近はそうした意味から小接近ですが、それでも肉眼ではあかあかと輝き、天体望遠鏡を使えば円盤状の形状に模様を確認できます。
もっとも接近するのが3月6日で、その前後10日間くらいは同様に大きく見ることができます。
肉眼では、星座の中を日々、位置を変えて(移動して)いく様子が観察できます。

金星と月などが接近

夕空に金星が目立つようになってきましたが、1月から5月までは宵の明星として姿を見ることができます。
特に毎月、月が三日月の頃になると月と金星が接近している様子を見ることができます。夕空の美しい星景色としてお楽しみください。
なお、金星は、7月の梅雨明け以降は明けの明星として夜明け前の東の空に見られるようになります。明けの明星になってからも月が新月になる少し前の27日月などのときには金星と接近した様子が見られます。今年の後半は早起きが楽しみになりますよ。

金環日食

昨年も予告のお知らせをしましたが、5月21日の早朝に金環日食が見られます。
といっても全国で金環日食が見られるわけではなく、主に太平洋側の地域で金環日食となりますが、日本海側の地域や北海道などでは部分日食として見られます。
いずれにしても細くなった太陽の姿は圧巻で、眼がまぶしくないように日食グラス(専用品)をお求めになり、それで見るようにしましょう。詳細は3月及び5月の星空コラムでお知らせします。

部分月食
部分月食の様子

部分月食の様子

6月4日の20時前後に部分月食が見られます。昨年12月の皆既月食に感動された方も多いことと思いますが、今度は部分月食で、満月の一部が地球の影に入り欠けた様子が見られます。これは、日本全国で見られ、肉眼でも充分に楽しむことができますし、双眼鏡や天体望遠鏡ではそれ以上にはっきりと観測することができます。

金星の太陽面通過

金環日食のすこしあと、6月6日には金星が太陽面を通過します。冬から春にかけて宵の明星として輝いていた金星は、この日、地球と太陽の間に入り、一直線上に並ぶことになります。見るときは太陽を直視すると大変危険ですから、日食グラスを使うようにしましょう。なお、天体望遠鏡で見るときは、日食グラスや裸眼ではとても危険で失明の恐れもありますので、専用のソーラーフィルターを使用するか、投影法により太陽投影板に写った像を見るようにしましょう。
これを見逃すと次は2117年にならないと見ることができない貴重な天文現象です。ぜひ注目をしてください。

惑星食
昼間に見られる木星食
木星食の様子

木星食の様子、ただし夜間に撮影したものです

7月15日には木星が月に隠される現象が、今回は昼間に見られます。天体望遠鏡を使えば昼間でも明るい星を見ることができますので、この現象は天体望遠鏡を使って観察することが条件となります。
以前に夜の現象として見られた時に撮影した写真を披露しますが、今回は昼間に見られる現象ですので、この写真ほどはっきりとは見られませんが確かめてみましょう。

金星食
金星食

金星食、月から金星が出現したところです

8月14日未明には、金星が月に隠される金星食が見られます。
前回見られた1989年12月2日の時の写真を披露しますが、早朝の東の空に月齢25.5の三日月のような細い月に金星の輝きが隠され、やがて、月の裏から出現する様子を見ることができます。
肉眼でも双眼鏡や天体望遠鏡を使っても見ることができます。

流星群

流星群はいくつも見られますが、特に有名な流星群を掲げておきます。

  • 1月4日   しぶんぎ座流星群
  • 8月12日  ペルセウス座流星群
  • 10月21日 オリオン座流星群
  • 11月17日 しし座流星群
  • 12月14日 ふたご座流星群

月明かりのない良い条件で見られる流星群は、しし座流星群とふたご座流星群です。

オーストラリアで見られる皆既日食
皆既日食でしか見られないダイヤモンドリング

皆既日食でしか見られないダイヤモンドリング

11月14日にはオーストラリア北部などで皆既日食が見られます。5月に見られる金環日食と違い、太陽の光球面がすべて月に隠され、コロナやプロミネンス(紅炎)などを見ることができます。今年3月頃には日食観測ツアーが数多く発表されることでしょう。私も出かける予定をしています。

★昨年見られた皆既月食

2011年12月10日皆既月食の様子

2011年12月10日皆既月食の様子

昨年12月10日に見られた皆既月食はご覧になりましたか。
私は茨城県内での観測でしたが、欠けゆく月(部分食)のときは雲が出現していましたが、皆既食になったころからはすっかり消え失せ、見事な赤銅色になり地球の影に入った月の姿を見ることができました。
写真でご披露します。

1月の天文情報

曜日月齢天文現象など
7.4元旦 上弦の月
8.4
9.4月の距離が最遠
10.4しぶんぎ座流星群が極大
11.4
12.4小寒(二十四節気)
13.4月の赤緯が最北
14.4
15.4成人の日 満月
1016.4
1117.4
1218.4
1319.4
1420.4月が天の赤道通過(南半球へ)
1521.4
1622.4下弦の月
1723.4月と土星、スピカが並ぶ
1824.4月の距離が最近
1925.4
2026.4月の赤緯が最南
2127.4大寒(二十四節気)
2228.4
2329.4新月
240.8
251.8
262.8細い月と金星が並ぶ
273.8月が天の赤道通過(北半球へ)
284.8
295.8
306.8月と木星が接近
317.8上弦の月 月の距離が最遠

★1月の星空

1月は冬の星座が煌々と輝く季節です。
オリオン座を中心におうし座、ぎょしゃ座、ふたご座、こいぬ座そしておおいぬ座などいずれも1等星以上の明るい星が配置された星座が見られます。
これらは、都会の光害(ひかりがい)の多い所でもはっきりと確認できる星座ですから、寒空の中ではありますが、ぜひ星図をたよりに探してみましょう。

1月の星空(背景黒

1月の星空(背景黒

1月の星空(背景白)

1月の星空(背景白)

1月中旬、午後9時前後の星空です。月の位置及び月明かりの影響は省略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。この星図及び本コラムで使用している星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ9」から加工した星図を使用しています。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。