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ちあきの星空コラム

第112回 明け方の聡明な空がにぎやか (2012/11/02)

明けの明星などに注目

今年の春までは宵の明星だった金星は、今は明けの明星として明け方の東の空に輝いて見えます。その明るさは-(マイナス)4等星という、ほかの星に比べたら格段に明るい輝きを持っています。
早起きして、その明星を眺めることができただけでも神々しい気持ちにさせられますが、それに加え、11月12日には月が一緒に並んで輝く様子を見ることができます。また、翌13日にはその月がさらに細い姿になって地平線近くで土星と並んで見られます。もちろん金星もおとめ座スピカを含めたにぎやかな星々の様子として見ることができますし、デジタル一眼レフカメラがあれば三脚にセットして1秒~2秒くらいの露出時間で撮影することができます。
ぜひ鑑賞すると同時に写真撮影にもチャレンジしてみてください。

11月12日4時45分の星空

11月12日4時45分の星空

11月27日4時45分の星空

11月27日4時45分の星空

(画面をクリックすると拡大して見ることができます)

金星と土星が近づく

11月上旬にはまだ、金星と土星はある程度、離れて見えていますが、これが、下旬になると両星は接近し、11月27日には二つの星がとても接近して見られます。
双眼鏡で見ても同じ視野の中に見えるようになります。
これは見逃せない現象です。早起きしてぜひ見てみましょう。東の空が開けてよく見渡せるところが観測適地です。

しし座流星群は見られるか?

2002年のしし座流星群

2002年のしし座流星群

11月の流星群は、2002年に流星雨を見せてくれたしし座流星群ですが、今年は11月17日(土)が極大日となります。時刻としては19時ころが極大といわれたいますが、流星群自体は11月5日ころから11月25日ころまで出現を見せる流星群といわれていますので、極大に日よりも数は少なくとも流星は長い期間にわたって見ることができます。

日食月食情報

2006年に見られたトルコ日食(皆既日食)

2006年に見られたトルコ日食(皆既日食)

11月14日は新月ですが、この日、オーストラリアのケアンズ付近では皆既日食を見ることができます。私も出かける予定をしていますが、すっきり晴れてクリアーな皆既日食を見たいと思っています。なお、日本からはこの日食は見ることができません。
また、11月28日は、全国的に半影月食を見ることができます。
昨年12月10日に見られた皆既月食、あるいは今年6月4日に見られた部分月食に比べ、月が地球の影の中にあまり入り込まないので、月の一部が薄く暗くなるだけの半影月食としてしか見られません。半影食の始まりは21時12分ころ半影食の終わりは翌日の1時53分頃です。うさぎの耳に相当する部分付近がわずかに暗くなる感じに見られますので、お天気が良かったらぜひ、観察してみましょう。

11月の天文情報

曜日月齢天文現象など
16.6月と木星が接近
17.6月の距離が最遠  月の赤緯が最北
18.6文化の日 金星がレグルスに接近
19.6
20.6おうし座南流星群が極大
21.6
22.6立冬(二十四節気) 下弦の月
23.6
24.6月が天の赤道を通過(南半球へ)
1025.6
1126.6
1227.6細い月と金星、スピカが並ぶ(明け方)
1328.6
140.2新月 オーストラリアで皆既日食  月の距離が最近
151.2
162.2月の赤緯が最南
173.2しし座流星群が極大
184.2
195.2
206.2上弦の月
217.2
228.2小雪(二十四節気) 月が天の赤道を通過(北半球へ)
239.2勤労感謝の日
2410.2準惑星ケレスがM35散開星団に接近して見られる
2511.2
2612.2
2713.2土星と金星が最接近
2814.2満月 半影月食
2915.2月の距離が最遠  月の赤緯が最北
3016.2

11月の星空

11月は、秋の星座の代表格で秋の四辺形を持つペガスス座が天頂付近に見られ、アンドロメダ座やその中に見られるアンドロメダ銀河も天高く見ることができます。
くじら座も南の空に高く昇ってきて、10月の頃よりも見やすくなってきました。その分、夏の星座に近い位置にあるやぎ座などが西の空に低く見えるようになってきます。
また、東の空には冬の星座おうし座とともに明るい木星が-2等星という明るい輝きで見られます。1等星のおうし座アルデバランやぎょしゃ座のカペラが比較的近い所で輝いていますが、その明るさの違いに注目して見ましょう。
そのほかの星座も下に示す星図で確認し、ぜひ本物の星空で確認してみるといいでしょう。

11月の星空(黒)

11月の星空(背景黒)

11月の星空(背景白)

11月の星空(背景白)

11月中旬、21時(午後9時)ころの星空です。月の位置及び月明かりの影響は省略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。このコラムで使用している星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ9」を使用しています
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。