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ちあきの星空コラム

第113回 冬の星の輝き (2012/12/04)

冬の星空

おおいぬ座:主星シリウスの輝きがとても美しく見られることでしょう(茨城県稲敷市内で撮影)

木枯らしが吹くこの頃は星が煌めき、とても美しく見られます。
冬の星座の数ある1等星に加えて、木星が頭上に輝き、明るい星が目立つので、星空を仰ぎ見ることがとても楽しみな12月の星空です。
通学や仕事帰りの道で、ふと見上げる星空の美しさに、しばし見とれることができるチャンスがありましたら冬の星座たちの1等星の明るさと色に注目してみましょう。
色の違い、明るさの違いのほかにきらきらとまたたくその輝きは、単純に星の色だけでなく、時には虹のように7色の煌めきも見せてくれます。
街路灯などのまち明りの影響をさけて、じっくり星空を眺めて、さまざまな様相を見せてくれる星々の輝きを楽しんでください。

細い月と土星、金星、水星が見える

先月に引き続き、明け方の東の空がにぎやかです。
特に12月11日の明け方には、細い月と土星、金星それに水星が一度に見られます。この日だけでなく、前後数日観測すると、月はもとより惑星も相互の位置関係を変えていく様子が見られます。
寒くなってきましたので、早起きは大変な時期ですが、東の空が見渡せる場所で美しい星の景色を楽しんでください。
写真に撮ってみるのもいいかもしれませんね。

12月11日午前5時半の東の星空 月と3惑星が並んでいる様子が見られます。
(ステラナビゲータを使用してシミュレーションしました)

11月25日明け方の東天の写真,撮影地=群馬県神津牧場天文台にて露出6秒間:12月11日のシミュレーション図と比較すると、土星とスピカの相互位置関係はあまり変化しませんが、金星の位置は違う場所にあり、日々変化してくことが読み取れます。
この日は快晴で、夜の天体観望会に続いて明け方の美しい星空を楽しむことができました。

11月14日オーストラリア ケアンズ近郊で見た明けの明星(金星):早朝の日食を観測するために待ち構えているときに金星が明るく輝いて見えました。さらに夜が明けて、日食が始まり、皆既日食になったとき、空が暗くなり、再び金星を見ることができました

皆既日食見えました!

11月14日は新月でしたが、この日、オーストラリアの北部ケアンズ付近で皆既日食が見られました。
私はケアンズから80キロほど北上したウォンガビーチという海岸沿いで、一緒に出掛けたツアー客の人々と天体望遠鏡を持参して日食観測を行いました。

ケアンズ近郊で見た皆既日食

ケアンズ近郊で見た皆既日食

うす雲がかかったダイヤモンドリング

うす雲がかかったダイヤモンドリング

当日は、夜明け前から雲のあるお天気でしたが、現地到着後、暗いうちに南十字座や南天の天の川それに金星などを見ることができました。
しかし、日の出の午前5時30分(現地時刻)の時点から多くの雲にはばまれて、太陽がはっきり見えませんでした。欠けていく様は雲間からときどき見られましたが、6時37分の皆既食になる時間になっても雲が晴れず、半ばあきらめていたところ、2分間の皆既食の終了直前にうす雲となり、コロナをまとった皆既食の様子を見ることができました。月縁には赤い紅炎(プロミネンス)も撮影に成功しました。
一瞬の皆既食となりましたが、180名いた参加者は皆大喜びで、観測会場に拍手がおきました。
2009年の上海近くで観測した皆既日食では皆既食の様子が悪天候で見られなかっただけに嬉しくなってしまいました。
次回は2017年のアメリカ大陸を横断する日食の観測を行いたいと思っています。

ふたご座流星群は観測好環境

ふたご座流星群は、毎年コンスタントに出現してくれる3大流星群のひとつですが、今年は特に新月の翌日ということもあって、月明かりの影響がまったくない好環境の条件で観測することができます。
ふたご座流星群は、12月5日ころから12月18日ころまで見ることができるといわれているものの、一般人が流れ星を見ようとすれば、やはり12月14日の夜の観測がもっとも効率の良いものとなるでしょう。
流れる流星の方向を逆にたどっていくとふたご座の方角から流れてくるように見えますので、ふたご座流星群と呼ばれています。
観測する空の領域は、ふたご座の方角でもいいのですが、広域にわたって流れますので、ふたご座以外を見ていても流れます。広く夜空を仰ぎ見るように観測しましょう。
観測方法は、1時間にふたご座流星群が何個流れたか、ふたご座流星群以外が何個流れたか、数を数えます。
簡単に観測できますから、寒くならないように厚着をしてぜひ観測してみてください。

12月の天文情報

曜日月齢天文現象など
17.2
18.2
19.2木星が衝(アルデバランの近くで輝いている光度-2.8等)
20.2
21.2水星が西方最大離隔(明け方東の空)
22.2
23.2大雪(二十四節気) 下弦の月
24.2
25.2月とスピカが接近
1026.2
1127.2
1228.2細い月と水星、金星が並ぶ(明け方東の空)
1329.2新月 月の距離が最近  月の赤緯が最南
140.8ふたご座流星群が極大
151.8細い月と火星が接近
162.8
173.8
184.8
195.8月が天の赤道を通過(北半球へ)
206.8上弦の月
217.8冬至(二十四節気) 
228.8こぐま座流星群が極大
239.8天皇誕生日
2410.8準惑星ケレスがM35散開星団に接近して見られる
2511.8月と木星が接近
2612.8月の距離が最遠
2713.8月の赤緯が最北
2814.8満月
2915.8
3016.8
3117.8

12月の星空

12月ともなると、冬の星座が目立つようになります。西の空には、秋の四辺形やカシオペヤ座といった秋の星座も見られますが、東の空からオリオン座を中心に冬の星座が見られるようになります。
冬の星座の中で、黄昏(たそがれ)どきから見られるのがぎょしゃ座で、その中にある1等星のカペラの輝きが印象的です。
また、同じく早い時刻から見られるのがすばる(プレアデス星団)を擁するおうし座です。おうし座の1等星アルデバランの近くには木星が鎮座し、アルデバランよりもずっと明るい-2等星の輝きを放っています。
木星と同等の明るい恒星も見られるようになります。オリオン座の下部に輝くおおいぬ座のシリウスです。青白い輝きは天狼星と呼ばれています。
星図をたよりに冬の星空を確かめてみましょう。

12月の星空(背景黒)

12月の星空(背景黒)

12月の星空(背景白)

12月の星空(背景白)

12月中旬、21時(午後9時)ころの星空です。月の位置及び月明かりの影響は省略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。このコラムで使用している星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ9」を使用しています
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。