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ちあきの星空コラム

第114回 今年は彗星が明るくなる (2012/12/29)

2013年の天文現象

2013年を迎えました。本年も星の情報をお届けしてまいりますので、よろしくお願いします。
昨年は天文のあたり年などといわれていくつもめずらしい天文現象がありましたが、今年はどうでしょうか?
天文現象がなくても晴れて星空がきれいに見える日があれば、それはそれでうれしいことですが、いろんな天文現象を見ることができればさらにうれしくなります。
さて、その天文現象ですが、今年は流星群の楽しみや、明るくなる彗星の出現などいくつかの星の楽しみがやってまいります。

彗星

今年は明るくなるふたつの彗星に注目です。
ひとつはパンスターズ彗星で、3月5日に地球に最も接近し、3月10日には太陽に近づいたのちにまた、遠ざかっていきます。おそらく、今回の接近だけが見られて、永久に戻ってこないだろうと予想されています。
私たちが観測するのに見やすい位置になるのは、3月20日ごろからで、肉眼では3月いっぱい見ることができます。4月以降も双眼鏡を使えば観測可能ですから見逃さずに観測しましょう。
もうひとつはアイソン彗星といい、11月から12月にかけて見ることができます。昨年9月に発見されてから、大彗星になることが予想されたこの彗星は、11月28日に太陽に最接近する予定ですが、とても太陽に近づくので、もしかしたら分解してしまう可能性もあり、その場合の彗星がどのような形状に見えるかも楽しみです。
このふたつの彗星は、肉眼で見ることができる明るさになりますが、双眼鏡や天体望遠鏡を使えばさらに詳しく観察できます。くわしくは、見られる月のコラムに掲載します。楽しみにして彗星の到来を待ち望みましょう。

流星

流星群は毎年見られますが、主なものを掲げておきます。
なぜ、1年の同じころに同じ流星群が見られるかご存知ですか?
そのヒントは地球の公転にあります。1年に1回転太陽の周りを廻る地球は、毎年同じ時期に宇宙空間のほぼ同じ位置を通過していきます。
流星群の母体は彗星で、彗星のまき散らした粒子が宇宙空間を彗星と同じ軌道上にたくさん存在していて、そこを地球が通過するときに粒子が地球に吸い込まれるようになり、輝くのです。流星群以外に散在流星といって、流星群に属さない流星もありますが、圧倒的に数が多いのが流星群の流星です。毎年話題にのぼるけれどもまだ観測したことのない方は、ぜひ今年こそたくさんの流星を見るチャンスをつくりましょう。

流星群の名称極大日
しぶんぎ座流星群1月3日
みずがめ座η流星群5月6日
ペルセウス座流星群8月13日
10月りゅうざ流星群10月9日
オリオン座流星群10月21日
しし座流星群11月18日
ふたご座流星群12月14日
部分月食

4月26日には部分月食があります。
皆既月食ほどの大きな変化はありませんが、月がほんの少しだけ地球の影に入って暗くなる現象です。肉眼や双眼鏡で確かめるといいでしょう。

星食

星が月に隠される星食が今年も見られます。
8月12日にはおとめ座の1等星スピカが月に隠されます。
つくばでは日没後のまだ空があまり暗くならない18時50分ころにスピカが月に隠され、約30分後に出現します。天体望遠鏡で観測しましょう。
また、12月2日の朝には水星が月に隠されます。日の出の頃の現象でちょっと見えにくいかもしれませんが、これもぜひ見ましょう。

天体同士が接近して見られる

天体同士が接近して見られる現象もいくつか起こります。
2月18日には、月と木星が接近して見られます。7倍50ミリ(7×50)双眼鏡などの視野の中で一緒に見ることができます。
9月9日から10日にかけては、火星とM44プレセペ星団が接近します。接近というよりも星団の中を通過していくように見られるとても楽しみな現象です。
9月18日の夕空には、金星と土星が接近します。これも双眼鏡の同一視野の中に入るほど接近して見られます。
動きの速い火星は、10月15日から16日にかけて、しし座のレグルスに角度にして約1度まで接近します。
これらの現象は、望遠レンズや天体望遠鏡で撮影することができますので、見て確かめることはもっとも大切ですが、ぜひ写真でも記録することをお奨めします。

1月4日はしぶんぎ座流星群

1月はしぶんぎ座流星が見られます。1月3日の夜から4日にかけて、夜空を見上げてみましょう。4日の早朝に極大をむかえますが、月明かりの影響もあり、できれば3日の夕食後から観測に入るといいでしょう。
正月早々の天文現象ですが、寒さ対策をきちんとして今年初めての流星群をチェックして見ましょう。

1月の天文情報

曜日月齢天文現象など
18.8元旦 金星と水星が並んで見える(明け方東の空)
19.8
20.8しぶんぎ座流星群極大
21.8
22.8下弦の月 小寒(二十四節気)
23.8月とスピカが接近(明け方東の空)
24.8
25.8
26.8
1027.8月の赤緯が最南 月の距離が最近
1128.8
120.3新月
131.3
142.3
153.3
164.3月が天の赤道を通過(北半球へ)
175.3
186.3
197.3上弦の月
208.3大寒(二十四節気)
219.3
2210.3月の距離が最遠
2311.3月の赤緯が最北
2412.3
2513.3
2614.3
2715.3満月 土星が西矩(てんびん座)
2816.3
2917.3
3018.3月が天の赤道を通過(南半球へ)
3119.3木星が留

1月の星空

1月は、冬の星座で空が埋め尽くされます。南の空高くオリオン座はいつみても勇壮なその姿が想像できわくわくさせてくれます。
今年の冬空には、多くの1等星とともに、おうし座には木星が輝いていますから、さらににぎやかな星空となっています。
おおいぬ座のシリウスの輝きも木星に負けず劣らず、美しい輝きを持っています。
星図を参考に本物の星空で、星と星を結んで星座の線の位置を確認してみましょう。

1月の星空(背景黒)

1月の星空(背景黒)

1月の星空(背景白)

1月の星空(背景白)

1月中旬、21時(午後9時)ころの星空です。月の位置及び月明かりの影響は省略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。このコラムで使用している星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ9」を使用しています
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住