つくばのこと、もっとわかれば もっとたのしい! 茨城県つくば市のケーブルテレビ局ACCSによる地域情報サイト

ちあきの星空コラム

第121回 天の川を見る季節 (2013/08/02)

夏の夜空に天の川

天の川(銀河)がもっとも濃く見える、いて座付近の天の川の様子

天の川(銀河)がもっとも濃く見える、いて座付近の天の川の様子

天の川は、夏の星座(さそり座やはくちょう座付近)、秋の星座(カシオペア座、ケフェウス座付近)そして冬の星座(ぎょしゃ座、いっかくじゅう座付近)で見られますが、その中でもっとも濃く見られるのが夏の星座の中に見られる天の川です。
先日、あるイベントに参加した子供たちに天の川は見たことがあるかとパネラーが壇上から問うたところ、観客の子供たちの全員が見たことがないとの返事でした。これは予想以外の答えで驚きましたが、原因は天の川が見られないのではなく、見る機会がないといったところでしょう。
日本全国の海辺や山、あるいは都会から少し離れた郊外地でも天の川は見られる環境にあるといえます。
住まいが都会の光害の真っただ中にある場合は、光害(ひかりがい)の少ない郊外まで行く機会をつくれば、天の川を見ることができます。
今年の旧暦の七夕(伝統的七夕)は8月13日ですが、そのころはペルセウス座流星群も見られますので、ぜひ、郊外地に出かけ、流れ星とともに天の川を見るチャンスにしてみませんか。

天の川の見られる環境

天の川が見られる環境は、星を見るのに適した場所、すなわち光害の少ない場所ですが、さらに、満月のような明るい月明かりのない夜に観察する必要があります。
天の川が見られる環境に身をおいたなら、星座早見盤などでどの方角に見られるのかを調べ、夜空を仰いでみましょう。
星が輝く中に8月には南の空から天頂にかけて淡く輝く雲のような状態で天の川を見ることができます。
プラネタリウムでも模擬的なものは見られますが、本物の自然の天の川を見ることが私のお薦めです。光害の少ない高原や海辺の環境の中でぜひ本物体験をしてみましょう。

ペルセウス座流星群

流星

流星

8月13日の午前3時頃をピークとしてペルセウス座流星群が見られます。
私は、昨年のペルセウス座流星群見物は茨城県龍ケ崎市の竜の子山山頂で見ましたが、今年は福島県いわき市の薄磯海岸あたりで見ようと思っています。
もちろん、郊外ににお住まいの方は、自宅ベランダなどからでも見られることと思いますが、そうした環境のない方はぜひ、郊外地まで出かけ、一瞬のうちに輝き、消えていく神秘的な流れ星を見に行きませんか。

アイソン彗星予告

2002年に見られた池谷・張彗星 北茨城市にて撮影

2002年に見られた池谷・張彗星
北茨城市にて撮影

今年の春にはパンスターズ彗星が見られましたが、秋にはアイソン彗星が見られます。とても明るくなると前評判の高い彗星ですから楽しみにして待ちましょう。
現在の予報では最盛期となる11月~12月には、肉眼で見られる明るさとなって、みんなの目を楽しませてくれることでしょう。
アイソン彗星は、現在、地球や太陽に接近中で、11月29日04時09分(日本時)に太陽に最も接近します。その後、次第に太陽から遠ざかっていく軌道をとりますが、地球には12月27日に最も接近する予定です。
11月に見られるアイソン彗星は、明け方の東の空の中にあり、特に11月18日ころには、おとめ座の1等星スピカの付近に見られるので、みつけやすくなります。
また、11月24日ころには明け方に明るく見られる土星の付近に見られるので、さらにみつけやすくなるかもしれません。
12月に入ると太陽から遠ざかっていく軌道に入った彗星の姿を見ることとなりますが、尾を長く引いた彗星の典型的な姿をして見られるのではないかと期待されています。アイソン彗星の姿は明け方の東の空に見られ、12月27日に地球に最接近したのち、だんだんと地球から遠ざかっていきますが、12月末頃から来年の1月末頃までは北の空の方角に見られるようになります。
この時期が最も見やすくなり、一晩中、その姿を見られるようになるでしょう。
アイソン彗星の観察は、肉眼でも十分に観測が可能ですが、双眼鏡や天体望遠鏡を使えばさらに詳しく観察できます。
ただし、最接近の頃には店頭から天体望遠鏡が売り切れでなくなることも過去の経験から予想されますので、もし、天体望遠鏡などをこの際、購入しようとお考えの方は、早めに購入されるといいでしょう。
くわしくはまた秋になりましたらこのコラムの中で最新情報をお知らせする予定です。
楽しみにお待ちください。

8月の天文情報

曜日月齢天文現象など
23.8
24.8月の赤緯が最北
25.8月の距離が最遠
26.8月が木星と火星に接近
27.8
28.8
0.2新月 立秋(二十四節気)
1.2
2.2
103.2月が天の赤道を通過(南半球へ)
114.2
125.2スピカ食(月におとめ座のスピカが隠される)
136.2旧暦の七夕(伝統的七夕) ペルセウス座流星群が極大
147.2上弦の月
158.2
169.2月の赤緯が最南
1710.2
1811.2はくちょう座κ流星群が極大
1912.2月の距離が最近
2013.2
2114.2満月
2215.2
2316.2月が天の赤道を通過(北半球へ) 処暑(二十四節気)
2417.2
2518.2
2619.2下弦の月
2720.2
2821.2
2922.2
3023.2月の赤緯が最北
3124.2月の距離が最遠

8月の星空

8月の星空は、高気圧の張り出してお天気の良いときには星空の輝きが増して美しく見ることができます。特に天の川が美しい季節ですので、ぜひ、星座と天の川をご自分の目で確かめてみましょう。
下部の星図を参考に、南の空にあるさそり座やいて座、天頂付近の夏の大三角などをさがしましょう。
また、星図のほか、市販の星座早見を使って星座や天の川を見つけることができますし、星図と併用しても構いません。
ぜひ星座さがしにチャレンジしてみましょう。

8月の星空(背景黒) 

8月の星空(背景黒)

8月の星空(背景白)

8月の星空(背景白)

8月中旬、21時ころの星空です。月の位置及び月明かりの影響は省略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。このコラムの星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ9」を使用しています。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。