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ちあきの星空コラム

第134回 見えなくなる土星 (2014/09/02)

今月で見納めの土星

 天体望遠鏡で見た土星の姿

天体望遠鏡で見た土星の姿

てんびん座の方向に見えていた土星は、今月で見納めとなってしまいます。
環を持ったユーモラスな土星の姿は、天体観望会ではいつでも人気ナンバーワンですが、この姿は、1年中見えているわけではありません。
地球から見て土星が太陽の方向にある時は、夜には見ることができません。
10月からは土星は太陽に近づき見えにくくなってしまいます。
今のうちにチャンスを逃さず、土星の姿を見ておきましょう。
次に土星にお目にかかれるようになるのは、来年1月頃からで、午前5時ころに東の空に見ることができるようになります。
私たちが夜更かししないで夜空を仰ぎ見ることができる午後10時ころに見えるようになるのは来年の5月頃まで待たなければなりません。

月と土星の接近

9月28日午後6時30分の土星、月、火星

9月28日午後6時30分の土星、月、火星

9月28日の昼間に土星が月に隠される土星食が7年ぶりに見られます。といっても昼間の12時過ぎの現象ですから、観察は天体望遠鏡を使ってもちょっとむずかしく、それは無理とあきらめて、夕方になって空が暗くなり始めて三日月の細い月とともに近くに見られる土星の姿をみつけましょう。
上に掲げるシミュレーション図を参考に南西から西南西のあたりを探せば見つかることでしょう。
8月に土星に接近した火星も見えていますが、9月末頃には火星はさそり座の1等星アンタレス付近に移動しています。
火星とアンタレスは共に赤く見える星で、両者が競い合うようにあかあかと輝く様子を見比べてみましょう。

月とヒヤデス星団が重なる

月は毎日、星々の間を移動しているように見えますが、星の前を通過し星を隠してしまうことがしばしばあります。これを「星食」と読んでいます。
今月は、おうし座にあるヒヤデス星団の中を月が通過し、星を隠していく現象が見られます。

9月15日午前3時のヒヤデス星団と月の位置関係

9月15日午前3時のヒヤデス星団と月の位置関係

この星団の中の代表的な星として、δ?星が東京付近では9月15日午前4時11分に月に隠され、午前5時14分ころに月縁から出現します。
天体望遠鏡での観察が必要になりますが、何とも神秘的な現象を見ることができます。

9月の天文情報

曜日月齢天文現象など
6.5月と土星が接近
7.5上弦の月
8.5月の赤緯が最南
9.5
10.5
11.5
12.5
13.5中秋の名月 白露(二十四節気) 月の距離が最近
14.5満月
1015.5月が天の赤道を通過(北半球へ)
1116.5
1217.5
1318.5
1419.5
1520.5敬老の日  おうし座δ¹星の食
1621.5下弦の月  月の赤緯が最北
1722.5
1823.5
1924.5
2025.5彼岸の入り  月の距離が最遠
2126.5
2227.5
2328.5秋分の日  秋分(二十四節気)
2429.5新月 月が天の赤道通過(南半球へ)
250.9
261.9月と水星、スピカが接近
272.9
283.9土星の食
294.9
305.9

9月の星空

夏の星座が謳歌していた星空から、秋の星座に移行していく9月の星空ですが、昼間が短くなり、夜がだんだんと長くなっていきますので、星空を仰ぐ時間も長くなってまいります。
9月は比較的まとまった雨が降る日もありますが、晴れた夜は夏の天の川から続く秋の天の川が、はくちょう座からケフェウス座、カシオペヤ座、ペルセウス座と続き、天の高さを実感できるような透明度のある星空を見ることができることでしょう。
星図をたよりに秋の星座をさがしてみてください。

9月の星空(背景黒)

9月の星空(背景黒)

 9月の星空(背景白)

9月の星空(背景白)

9月の午後9時ころの星空です。月の位置及び月明かりの影響は略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。このコラムに用いている星図やシミュレーション画像は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ9」を使用しています
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。