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ちあきの星空コラム

第141回 皆既月食を見よう (2015/03/27)

速報!皆既月食の画像

150404皆既月食縮小版21時00分いわき市内で撮影(田中千秋)DSC_2825

私は、いわきで皆既月食が雲間から見えないかなといわきで待ち構えていましたところ、
21時ちょうどに雲間から皆既中の月が見え、撮影に成功しました。

4月4日は皆既月食!

昨年10月8日に見られた皆既月食

昨年10月8日に見られた皆既月食

先月のコラムで予告しましたとおり、4日(土)に皆既月食が見られます。
観察するのに適した時間帯に見られますので、多くの方々に観察してもらいたいと思います。
夕方、東の地平線から月が昇る午後5時59分ころから部分月食が始まります。
皆既月食が始まるのは午後8時54分頃で、約12分間、皆既月食が見られます。
午後9時6分ころには皆既月食から再び部分食となり、深夜12時ころに食のすべてが終了します。
深夜でなく、まだ起きている時間帯に見られますから、多くの方々に観察していただきたいと思います。

皆既月食の進行
現 象時刻(24時表示)内容説明
半影食の始まり17時59.7分地球の半影に入るが肉眼では気づかない程度の変化。
本影食による欠け始め
(欠け始め)
19時15.4分本影の中に入り始める。欠けてくる様子がわかる
皆既食の始まり20時54.2分月全体が本影の中に入る。皆既月食となった月の色に注目!
食の最大21時00.2分月は赤く、あるいは茶色く見られ、しかもとても暗く見える
皆既食の終わり21時06.4分月の一部が本影から出てくる。再び部分月食となる。
本影食の終わり
(欠け終わり)
22時45.1分月の全部が本影から出る。
半影食の終わり24時00.8分月の全部が半影から出ることで、完全に月食は終了する。
月食観測のための道具は?

月食を見るのに観測道具は必要ありません。
肉眼で十分楽しめます。とはいえ、もうちょっと詳細に見たいという方には双眼鏡をお奨めします。双眼鏡を使えば月面の表面模様もはっきりと正確に確認でき、また、色の変化などもより詳しく観察できます。
天体望遠鏡をお持ちの方は、天体望遠鏡を使って観察しましょう。
天体望遠鏡では倍率を低めの30倍~50倍程度にすると月面全体を観察できます。
高倍率の100倍くらいにするとより細かい色の変化や食の形状の変化などを精密の観察できます。

写真に撮りたい
141008皆既月食を撮るDSC_0136l

皆既月食に向けた天体望遠鏡(2014年10月8日撮影)

月面写真では、天体望遠鏡に一眼レフカメラのボディを接続して撮影するのが本格的な撮影方法ですが、そういった特別な装置がなくてもコンパクトデジタルカメラやスマートホンのカメラなどで、月食の様子を撮ることもできます。
天体望遠鏡をお持ちの場合は、接眼レンズ(アイピースともいいます)の覗き口にデジタルカメラのレンズを近づけ、手持ち撮影でパチリと写すことができます。
部分月食の時は、欠けた月面の様子を撮影しましょう。
皆既月食になりますと、月面は赤くて暗く見えます。撮影ではISO感度を上げて撮影すると、写りやすいので、最高感度まで感度設定をアップさせて撮影してみましょう。
コンパクトデジタルカメラで直接月を狙って撮影するときは、ズームレンズを望遠側にセットして写してみましょう。小さくても欠けた様子の月面の姿が写れば成功といえます。ぜひ、チャレンジしてみましょう。

150404皆既月食21時(ちょうどの位置星図)l
皆既月食中の月の位置:南東の方向、高度角は30度くらいの位置に見られます
つくばでは月食観望会はあるの?

今回の月食では土曜日の宵の空のイベントとなるので、各地の科学館や天文同好会などが「月食観察会」を開いてくれるかもしれません。
ネットなどのイベント情報で検索してみるといいですね。
つくばでは、洞峰公園で月食観察会が予定されており、私も講師として参加する予定です。もし、参加される方がいらっしゃいましたら、声をかけてくださいね。
最も心配なことは当日のお天気ですが、晴れてくれることを期待したいと思います。

4月12日の夕空に注目!金星とプレアデス星団が接近

夕空に見える金星はその輝きが力強く、帰宅時などに西の空に煌々(こうこう)と輝く姿に感動を覚えます。
金星は地球のすぐ内側で公転している惑星で星座の中を日々、位置を変えて移動していることがわかります。
今年の4月にはどの星座に金星が見られるかといいますと、夕空の西の方角、おうし座の中にその輝きをみつけることができます。
そして、4月12日にはおうし座の中にあるプレアデス星団(和名:すばる)に接近している様子が見られます。
12日は日曜日で、見られるチャンスをつくりやすいかもしれません。
ぜひ、注目して見てください。

150412金星とプレアデスの接近l

4月12日の午後7時30分の頃の見え方

4月の天文情報

曜日月齢天文現象など
11.7月の距離が最遠
12.7木星の衛星カリストがガニメデを隠す(部分食)
13.7月が赤道通過(南半球へ)
14.7皆既月食 満月
15.7清明(二十四節気)
16.7
17.7
18.7月と土星が大接近
19.7木星の衛星ガニメデの影にカリストが入る(部分食)
1020.7月の赤緯が最南 木星の衛星イオの影にエウロパが入る(金環食)
1121.7
1222.7下弦の月 金星とプレアデスが接近
1323.7
1424.7木星の衛星ガニメデがエウロパを隠す(部分食)
1525.7
1626.7
1727.7木星の衛星イオの影にエウロパが入る(金環食)月が天の赤道を通過北半球へ  月の距離が最近
1828.7木星の衛星カリストがエウロパを隠す(部分食)
190.3新月
201.3穀雨(二十四節気)
212.3
223.3
234.3水星と火星が最接近 月の赤緯が最北 こと座流星群が極大
245.3
256.3
267.3上弦の月
278.3
289.3
2910.3昭和の日 月の距離が最遠
3011.3月が天の赤道を通過(南半球へ)

4月の星空

4月の星空は、すっかり春の星座に移行して、北の空のおおぐま座、こぐま座、南の空にはうみへび座やおとめ座、天頂付近にはしし座、そして西空にかに座、東にはうしかい座が見られます。
しし座の2等星デネボラ、おとめ座の1等星スピカそれにうしかい座の1等星アルクトゥールスを結んでできる春の大三角は、下図にも書き込んでいますが、ぜひ星座探しの一助にしてください。
また、かに座付近に見られる木星はとても明るく、天体望遠鏡で見ると表面のしま模様などとともにガリレオ衛星と呼ばれる4個の衛星もはっきり見え、衛星同士の相互食も見られることがあります。
冬場のような寒さもなく、快適なこの時期の星見を楽しみましょう。

4月の星空(背景黒)

4月の星空(背景黒)

4月の星空(背景白)

4月の星空(背景白)

4月の中旬、午後9時ころの星空です。月の位置及び月明かりの影響は略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。
このコラムに用いている星図やシミュレーション画像は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。