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ちあきの星空コラム

第146回 中秋の名月と星空 (2015/09/01)

満月と中秋の名月

9月になると日本列島は秋雨前線の影響でお天気の悪い日も多いのですが、晴れた夜は空気も澄んで涼しく、星座探しも楽しめますが、併せて、9月27日には中秋の名月がやってまいります。
旧暦の8月15日の月を中秋の名月と呼ぶのですが、今年は満月がその翌日となっており、2日連続して月を鑑賞することができます。
中秋の名月は、古来からお月見の日として親しまれ、ススキやお団子をお供えして月を眺めますが、満月である9月28日は、ちょうど月と地球の距離が最近となり、つまり月が大きく見られるいわゆる「スーパームーン」なのです。
満月の月は天体望遠鏡で見てもクレータに影がないため、案外のっぺらぼーに近いように輝く月として見られますが、双眼鏡や天体望遠鏡を使って見ると海と呼ばれる黒ずんだ箇所や、クレータから四方八方に飛び散るように輝く光条が見られます。
天体望遠鏡では月がとても明るく見え、長くみつめていると眼を痛めますので、ご注意ください。その対策としてはアイピース(接眼レンズ)にムーングラス(減光フィルター)を装着して見るといいでしょう。
肉眼でも長く見ているとちょっとまぶしく感じますので、ほどほどに月をながめ、お団子でもいただいて涼しくなった秋の夜空を楽しくながめましょう。

満月を見るととても明るい丸い輝きですが、天体望遠鏡を使って撮影すると海と呼ばれる黒い部分が鮮明に写ります。肉眼でも視力の良い方は太古の昔から黒い模様の部分を見て「うさぎがお餅をついている姿」とか「片方のハサミがとれたかに」などとそのパターンを見ていました。ところで、今回の中秋の名月は欧米では皆既月食となり、月食の月として見ることができますが、日本では残念ながら月食にはなりません。(撮影:浦辺守)

満月を見るととても明るい丸い輝きですが、天体望遠鏡を使って撮影すると海と呼ばれる黒い部分が鮮明に写ります。肉眼でも視力の良い方は太古の昔から黒い模様の部分を見て「うさぎがお餅をついている姿」とか「片方のハサミがとれたかに」などとそのパターンを見ていました。ところで、今回の中秋の名月は欧米では皆既月食となり、月食の月として見ることができますが、日本では残念ながら月食にはなりません。(撮影:浦辺守)

今回の中秋の名月は、スーパームーンと呼ばれますが、これは、地球の周りを公転している月が、楕円軌道を描いており、地球に近いときに満月となる場合と遠い時に満月となる場合で、その見える大きさが異なることから起きる現象で、この写真のようにずいぶんとその大きさに差があることがわかります。(撮影:浦辺守)

今回の満月は、スーパームーンと呼ばれますが、これは、地球の周りを公転している月が、楕円軌道を描いており、地球に近いときに満月となる場合と遠い時に満月となる場合で、その見える大きさが異なることから起きる現象で、この写真のようにずいぶんとその大きさに差があることがわかります。(撮影:浦辺守)

月を写す

昇りくる満月や上弦の月などの姿は写真にはどう写るでしょうか。
なかなかむずかしそうに感じますが、ぜひチャレンジしてみるといいでしょう。
コンパクトデジタルカメラを利用してズームアップして撮影すると下の写真(昇る満月)のような月の姿が撮れます。2コマ目の写真は、明け方の東の空に見られた細く欠けた月の姿を撮影したもので、これはズームアップしないで撮影したものです。

昇る満月

昇る満月

明け方の細い月

明け方の細い月

また、天体望遠鏡の覗き口(アイピースのレンズの箇所)にコンパクトデジタルカメラを向けて撮影すると、下の写真のようにクレータなども撮影することができます。天体観望会のときなどチャンスがありましたら、ぜひチャレンジしてみましょう。

天体望遠鏡の覗き口にコンパクトデジタルカメラやスマートフォンなどのカメラを向けて月面撮影ができます。

天体望遠鏡の覗き口にコンパクトデジタルカメラやスマートフォンなどのカメラを向けて月面撮影ができます。

天体望遠鏡を使ってデジタルカメラで撮影すればこの写真のように海の黒い部分やクレータもはっきりと写ります。

天体望遠鏡を使ってデジタルカメラで撮影すればこの写真のように海の黒い部分やクレータもはっきりと写ります。

9月10日に早起きをして月と惑星を見よう

7月までは宵の明星として夕空に輝いていた金星は、8月には太陽の方向と同方向となり見ることができなくなりましたが、9月に入ってからは明け方の空に見える明けの明星となりました。
9月10日には細い月とともに金星の明るく輝く姿が見られ、さらに火星と木星も見られます。早起きをして夜明け前の星空を観察してみましょう。

9月10日午前4時40分頃の東天の様子です。月の下の金星その左側に火星が輝き、さらに地平線付近には木星も見られます。

9月10日午前4時40分頃の東天の様子です。月の下の金星その左側に火星が輝き、さらに地平線付近には木星も見られます。

9月の天文情報

曜日月齢天文現象など
17.5
18.5
19.5
20.5水星が東方最大離角
21.5下弦の月
22.5
23.5月の赤緯が最北
24.5白露(二十四節気)
25.5
1026.5細い月と金星が接近(明け方)
1127.5細い月と火星が接近(明け方)
1228.5細い月と木星が接近(明け方)
1329.5新月
140.8月が天の赤道を通過南半球へ  月の距離が最遠
151.8
162.8
173.8
184.8
195.8月と土星が接近(夕方)
206.8彼岸の入り
217.8敬老の日 下弦の月 月の赤緯が最南
228.8国民の休日 金星が最大光輝
239.8秋分の日 秋分(二十四節気)
2410.8
2511.8火星としし座レグルスが最接近
2612.8
2713.8中秋の名月(十五夜)
2814.8満月 月が赤道を通過北半球へ 月の距離が最近
2915.8
3016.8

9月の星空

9月の星空は、午後夏7時頃に見上げますとまだ夏の星座が西空を中心に天頂まで見られますが、時刻が午後9時を過ぎて観察すると秋の星座が東の空から天頂付近まで多く見られるようになってきます。
西空に輝く夏の大三角の近くから北の方向へ続く天の川の中には秋の星座のケフェウス座やカシオペヤ座が見られます。天の高い位置にはペガスス座、その南の空にはやぎ座、みずがめ座、みなみのうお座などが見られます。
1等星はひとつだけ、みなみのうお座のフォーマルハウトが南の低い位置で輝いています。星図をたよりにそれぞれの星座をさがしてみましょう。

9月の星図

9月の星空(背景白)

9月の星空(背景白)

9月の星空(背景黒)

9月の星空(背景黒)

9月の中旬、午後9時ころの星空です。月の位置及び月明かりの影響は省略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。このコラムに用いている星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。