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ちあきの星空コラム

第152回  部分日食を見よう (2016/03/01)

部分日食が見られる

2004年10月14日に見られた部分日食

2004年10月14日に見られた部分日食

金環日食が見られた2012年から早4年がたちますが、今年は3月9日(水曜日)に部分日食が日本全国で見られます。
関東地方では午前10時12分頃に欠け始め、最大に欠ける時刻は11時8分前後です。そして食が終わるのは12時5分頃となります。
ここで、重要なことをお伝えしますが、日食は太陽を見る危険な行為ですから、そのまま直接、太陽を見てはいけません。
必ず、日食メガネや日食グラスと呼ばれる太陽の光を弱める日食観測のグッズを用いましょう(天体望遠鏡ショップなどで販売しています)。
また、天体望遠鏡や双眼鏡を使うときは、この日食メガネを使用しても見ることができません。眼を痛めたり、失明する危険性を持っていますので、専用のフィルターなどをご用意ください。

日食経過

おうし座θ1星の星食

3月14日(月)の宵の空で、おうし座θ1星(3.8等)が月に隠されます。
東京では20時4分に月の影の部分に隠され、21時38分には月の輝いている部分から出現します。
天体望遠鏡での観察が最もわかりやすいといえますが、双眼鏡でも見ることができるでしょう。
下部には先月2月16日に見られたおうし座アルデバラン食の様子をご披露します。10センチ屈折式天体望遠鏡と一眼レフデジタルカメラを用いて撮影しました。

2月16日に見られたアルデバラン食の潜入前の様子です。月の影の部分 から星が潜入しますが、潜入の少し前の15時32分に撮影しました。

2月16日に見られたアルデバラン食の潜入前の様子です。月の影の部分
から星が潜入しますが、潜入の少し前の15時32分に撮影しました。

アルデバランの出現の様子です。17時02分撮影

アルデバランの出現の様子です。17時02分撮影

星見人口は多いのか?

昨年1年間は国際光年(ひかりねん)で、各地で照明や光に関するイベントが開催されましたが、天文界でも国際光年にちなんだ取り組みがいくつか行われました。
その中に「すばるチャレンジ」と称して、全国の天文ファンなどが肉眼や天体望遠鏡で星空をながめ、その報告を報告を受けて報告結果(観測に用いた天体望遠鏡や瞳の口径)を集めてハワイにある日本のすばる望遠鏡(国立天文台)の口径(8.2メートル)を超えようという試みをおこないました。
これは日本天文協議会の企画で日本公開天文台協会と日本天文愛好者連絡会が実際の取り組みを行い、日本全国の星仲間などに観測及び投稿を呼びかけて実施されました。
報告は、今年の1月31日で締切とし、多くの星見ファンなどから観測報告を受けて、集計結果をまとめました。
その結果、すばる望遠鏡を超えることができました。
下図をご覧ください。日本全国に星見のファンが何人いるかははっきりしませんが、こうした取り組みから数十万人規模の星見ファンがいるのではないかと想像され、感激しました。当然のことながらこのイベントには筆者も関わりました。

すばるチャレンジの結果、この図のようにハワイのすばる望遠鏡(口径8.2メートル)を埋め尽くしてしまった日本各地の天文台、個人天体望遠鏡それに個人個人が肉眼で星見をした瞳(口径7ミリメートル)のサイズを全てを集計した図化したもの。 多くの天文ファンや星好きが応募していただいた結果、このような結果となりました。 (図の出典:日本天文愛好者連絡会)

すばるチャレンジの結果、この図のようにハワイのすばる望遠鏡(口径8.2メートル)を埋め尽くしてしまった日本各地の天文台、個人天体望遠鏡それに個人個人が肉眼で星見をした瞳(口径7ミリメートル)のサイズを全てを集計した図化したもの。
多くの天文ファンや星好きが応募していただいた結果、このような結果となりました。
(図の出典:日本天文愛好者連絡会)

3月の天文情報

曜日月齢天文現象など
21.5月と火星が接近
22.5下弦の月
23.5月の赤緯が最南
24.5土星が西矩
25.5啓蟄(二十四節気)
26.5
27.5細い月と金星が接近
28.5
0.0新月 部分日食
101.0月が天の赤道を通過(北半球へ) 月の距離が最近
112.0
123.0
134.0
145.0ヒヤデス星団(おうし座θ¹星)の食
156.0
167.0上弦の月  月の赤緯が最北
178.0
189.0
1910.0
2011.0春分の日 春分(二十四節気)
2112.0月とレグルスが最接近
2213.0月と木星が接近
2314.0半影月食 月が天の赤道を通過(南半球へ)
2415.0
2516.0月の距離が最遠
2617.0
2718.0
2819.0
2920.0月と火星が接近
3021.0月と土星が接近
3122.0月の赤緯が最南

3月の星空

3月になると二十四節気も啓蟄及び春分といった暖かさを連想させるものになってきます、気温のほか、空気のにおいや日の長さも感じることができます。
梅の花は満開を迎え、桜の便りも聞こえてきます。
寒かった冬から重い腰を上げて星見に繰り出しましょう!
天界ではもう春の星座が見え始めています。
西空には冬の星座オリオン座やふたご座などが輝いていますが、東の空にはしし座やおとめ座など春の星座が東の空から昇ってきます。
星座をみつけるのは時間もかかりますが、その形状から星をたどって星座線を夜空に引くことができたときは大きな喜びになります。
晴れた夜にチャレンジしてみましょう。

3月の星図

3月の星空(背景白)

3月の星空(背景白)

3月の星空(背景黒)

3月の星空(背景黒)

3月の中旬、午後9時ころの星空です。月の位置及び月明かりの影響は略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。このコラムに用いている星図やシミュレーション画像は、(株)アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。