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ちあきの星空コラム

第155回  梅雨どきの星見 (2016/06/02)

木星、火星と土星を見る

今年の6月は幸運なことに3個の惑星が見えていて、肉眼でももちろん星座の中の位置を確認できますし、天体望遠鏡で観測すると表面模様などを観測することができます。
火星は5月31日にもっとも地球に接近したばかりで、小さな惑星ですが、今は表面模様まで観測できるチャンスです。
今後は、地球からだんだんと遠ざかっていくことになりますが、しばらくは大きく見えますので、継続観測をお奨めします。毎日観測すると火星の表面模様が自転によって変化していく様子が確認されます。
未来に人類が地球以外の惑星に基地を建設して住むのであれば、大気があり、地球に近い位置にある火星がもっとも有力といえます。
現在、火星は、さそり座の方向に見えていて、他の星と違って煌々と赤く輝いていますのでとても目立ちます。
付近の星を見ても赤く輝くのはこの火星とさそり座の1等星アンタレスだけで、他の星は、白色や青みがかって見えるものが多く、神秘的な感じがします。
さらに火星の近くには土星も見えますが、火星の煌々と輝く様子に比べたら見劣りしてしまいます。
けれども、土星はとても人気者です。
写真にもあるようにその姿は、環を持ったユーモラスな姿をしています。
天体望遠鏡で見たい天体といえば土星がトップでしょう。
最後に木星ですが、しし座付近に輝くその姿は、肉眼では現時点では、夜空で一番明るく目立つ星として注目される対象といえます。
実際に天体望遠鏡で眺めた姿も本体のしま模様のほか、4個の衛星(ガリレオ衛星)も確認でき、さらに本体しま模様を良く観察していると、木星の自転速度が速いため、表面模様の位置が変化して木星の自転の様子を観察できます。

火星

火星

土星

土星

木星

木星

木星は自転速度が速いために時間をかけて観察していると表面模様の大赤斑(だいせきはん)などの移動により、自転していることを確認することができます。
上の3コマの惑星写真は、いずれも川端隆幸氏が撮影したものです。

天体望遠鏡を買う(2)

ずらり並んだ天体望遠鏡

ずらり並んだ天体望遠鏡

火星接近はあまり大きなブームにはなりませんでしたが、天体望遠鏡はひそかに売れているようです。
これから先は、夏休みに入る7月がもっとも売れる時期となることでしょう。
宇宙を身近にしてくれる天体望遠鏡の存在は、勉強部屋や居間に組み立てて飾っておくだけでも夢が膨らみます。
ましてや庭や野外で組み立てて本物の星を見ることができれば大きな喜びがあります。月や惑星は大きく拡大して見ることができますし、暗くて肉眼では見えない星雲や星団も天体望遠鏡の集光力によって、その姿を見ることができます。
天体望遠鏡は、天体望遠鏡専門店での購入をおすすめします。
専門店では天体や望遠鏡に詳しい店員がいて、購入希望者のお話しを聴き、要望に合った機種選定などができることでしょう。
しかし、専門店は都会にしかありませんので、そうしたところまで出かけられない場合には、カメラ屋さんやメガネ屋さんで代理店になっていただける店もあります。
ほかにネット通販なども最近は人気がありますが、相談できないまま突然購入するというのは、必ずしも希望通りの品物とはいかない場合もありますので、注意が必要です。

梅雨時の星見(6月の星空)

6月の星空は、お天気が良い日でもなかなかカラッと晴れてはくれません。
それでも晴れていれば星空を眺めることはできますので、梅雨時だといってあきらめずに星座探しにチャレンジしましょう。
南に向かって夜空を見上げると、天頂よりも西側の方向には春の星座が見られ、東には夏の星座が見られます。
春の星座では、しし座、おとめ座、うしかい座、おおぐま座などが見られ、夏の星座では、かんむり座、ヘルクレス座、へびつかい座、わし座などが見られます。
星図を参考に、星図を南の空に向けて星座をさがしてみましょう。

6月の天文情報

曜日月齢天文現象など
25.3
26.3
27.3月の距離が最近  土星が衝
28.3
0.0芒種(二十四節気) 新月 水星が西方最大離隔
1.0月の赤緯が最北
2.0
3.0木星が東矩
4.0
105.0入梅
116.0月と木星が接近
127.0上弦の月
138.0月が天の赤道を通過(南半球へ)
149.0
1510.0月の距離が最遠
1611.0
1712.0
1813.0月と土星が接近
1914.0
2015.0満月
2116.0夏至(二十四節気) 月の赤緯が最南
2217.0
2318.0
2419.0
2520.0
2621.0
2722.0月が天の赤道を通過(北半球へ)
2823.0下弦の月
2924.0
3025.0

6月の星図

6月の星空(背景黒)

6月の星空(背景黒)

6月の星空(背景白)

6月の星空(背景白)

6月の中旬、午後9時ころの星空です。月の位置及び月明かりの影響は略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。このコラムに用いている星図やシミュレーション画像は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。