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ちあきの星空コラム

第156回  夏の天の川 (2016/07/01)

梅雨明けに天の川を見る

夏の夜空に天の川が見える

夏の夜空に天の川が見える

6月から続いていた梅雨も7月中旬頃には明けて本格的な夏がやってきます。
梅雨明けの澄んだ夜空には多くの星が、まるで夜空という天井に宝石をちりばめたように星々が輝きます。
そうした星々の輝きの中に天の川の存在もあります。
都会地では淡いその姿を見ることができませんが、みなさんが郊外都市にお住いならば、付近のちょっとまち明りの少ない場所まで出かければ天の川の存在をたしかめることができることでしょう。
都会地にお住いの場合は、夏休みに海や山に出かけるチャンスがあれば、その時にぜひ天の川ウオッチングに挑戦してみましょう。
神秘的なベールのような淡い天の川の姿をご自分の目で確かめてみましょう。

夏の天の川

夏の星座の中に見られる天の川は、四季を通じて最も濃く見られ、光害(ひかりがい)の少ない夜空では一見雲かなと勘違いするような存在ですが、黒い夜空の一部が白っぽく感じられる部分があります。
南の空の地平線に近い部分にはさそり座やいて座があり、天頂付近に延びていく天の川を見ていると、はくちょう座やこと座そしてわし座付近を通る、まるで流れる川のようなイメージが湧いてきます。

さそり座、いて座付近の天の川

さそり座、いて座付近の天の川

月明かりに注意

淡く見える天の川の姿を見るには、まち明りなどの光害が少ない場所を選ぶ必要がありますが、実は郊外地や山地に行っても見られないときがあります。
それは、夜空に月が輝いているときです。
月が輝いていると星も暗いものは見えにくくなり、もちろん天の川も見ることができないのです。
満月の夜は、一晩中、月明かりの影響があり、まったく天の川を見ることができません。
上弦の月の頃は、月が西の空に沈んだ後の深夜12時過ぎにはくっきりと見えるようになりますし、下弦の月の頃は、東の空から月が昇ってくる深夜12時頃から以降は見ることができなくなります。
天の川ウオッチングをするときは月齢を確認して見る時間を決め、さらにお天気の良いときを選んで挑戦してみましょう。

今月も惑星観測の好機

先月も3個の惑星が見られることをお伝えしましたが、今月は梅雨も明けてすっきりした夏空の中で、さらに惑星を見るチャンスが広がります。
しし座付近にある木星、さそり座の火星と土星は、いずれも星座の中に肉眼でみつけることができます。
さらに天体望遠鏡を使えば、木星のしま模様やガリレオ衛星、火星の表面模様の濃淡そして土星の環が見られ、初めて見た場合は感動の日、記念すべき日になることでしょう。
天体望遠鏡がなくても各地で天体観望会などのイベントに参加したり、天文台や科学館の一般公開日に出かけて見る方法もあります。
もし、天体望遠鏡でこれらの惑星が見られたならば、今年の夏は感動の夏休みになることでしょう。

火星

火星

土星

土星

木星

木星

撮影はいずれも川端隆幸氏

7月の星空

7月の星空は、梅雨明け後はすっきりと見られ、夏の天の川をはじめ、夏の星座がたくさん見られます。
天の川の付近の星座を列挙しますと、南の方から天頂方向に、さそり座、いて座、へびつかい座、わし座、こと座、はくちょう座などが見られます。
天の川付近の星座がみつけられたら次は、その周囲にあるてんびん座、ヘルクレス座、かんむり座そしているか座なども探してみましょう。
星座さがしには星座早見盤を利用する方法以外に、このコラムの末尾に掲載の星図をクリックし、拡大してプリントアウトしてじっさいの星空と比べながら使用しましょう。

7月の天文情報

曜日月齢天文現象など
26.0月の距離が最近
27.0
28.0
29.0新月 月の赤緯が最北
0.7
1.7
2.7小暑(二十四節気)
3.7
4.7月と木星が大接近
105.7
116.7月が天の赤道を通過(南半球へ)
127.7上弦の月
138.7月の距離が最遠
149.7
1510.7
1611.7月と土星が大接近
1712.7水星が金星の北(00°32′)を通過(02時39分)
1813.7海の日 月の赤緯が最南
1914.7夏の土用
2015.7満月
2116.7
2217.7大暑(二十四節気)
2318.7
2419.7
2520.7月が天の赤道を通過(北半球へ)
2621.7
2722.7下弦の月 月の距離が最近
2823.7みずがめ座δ流星群が極大
2924.7
3025.7
3126.7月の赤緯が最北

7月の星図

7月の星空(背景黒)

7月の星空(背景黒)

7月の星空(背景白)

7月の星空(背景白)

7月の中旬、午後9時ころの星空です。このコラムの星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。