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ちあきの星空コラム

第158回  半影月食 (2016/09/01)

中秋の名月と満月

9月に入ると秋の風と共に空気が澄んで月も美しく見えるようになります。
特に旧暦8月15日の月は中秋の名月といって、お供え物をして月を眺める風習が日本では古くから行われてきました。
お供え物は地域や過去からみると変わっていることもありますが、代表的なお供え物はお団子などをススキとともに縁側などで台に載せてお供えするものです。
今年の中秋の名月は9月15日です。ぜひ、ゆっくり気持ちを整えて名月をご鑑賞ください。
ところで、旧暦の15日は、ほぼ満月といえますが、少しのずれはあります。今年はずれが大きく、満月は9月17日となります。
もし、15日にお月見やお供えを忘れたときでも9月17日には満月鑑賞を楽しみましょう。

満月の夜に半影月食

満月の9月17日には今年は全国的に半影(はんえい)月食が見られます。
といっても、皆既月食と違って、地球の影の中でも影が濃い本影(ほんえい)でなく、影の薄い半影に月の一部が包まれるだけで、さほど暗くなるわけではありません。
時刻は17日になってすぐ見られるので、16日の深夜に夜更かしして観察することとなります。

写真の向かって右側が地球の半影によりやや暗く なっている半影月食の様子

写真の向かって右側が地球の半影によりやや暗く
なっている半影月食の様子

皆既月食の際、地球の本影に半分隠された部分月食時の月

皆既月食の際、地球の本影に半分隠された部分月食時の月

地球の本影に月全体が入った皆既月食の様子

地球の本影に月全体が入った皆既月食の様子

なお、月の鑑賞は肉眼で十分楽しめますが、天体望遠鏡や双眼鏡を使うと、より精密に観察ができることでしょう。この場合、月が明るすぎてまぶしい場合がありますので、減光用のムーングラスなどを併用しましょう。

9月の星空

9月に入ると南西の空には、土星と火星をしたがえたさそり座がだんだんと傾き、早々に地平線下に沈んでしまいます。
しかし、夏の星座の中で夏の大三角を構成すること座、わし座それにはくちょう座は、まだ天頂付近に輝いています。夏の大三角は最も目だち、いろんな星座をみつけるときの目安になります。
東の空から秋の星座も昇ってきて、時間が経過するとともに秋の星座が夜空に君臨するようになってまいります。
天馬のかたちのペガスス座、南の空にはやぎ座が見えてきます。
また、北の空にはケフェウス座やカシオペヤ座が見られます。
さらにカシオペヤ座の近くにはギリシャ神話のエチオピア王国の物語に登場するアンドロメダ姫ゆかりのアンドロメダ座を見ることができるようになります。
9月の空では夕暮れ後の空には夏の星座の空がまだ見られたのに、夕ご飯を済ませて、寝る前にベランダなどから星空を見ると秋の星座が見られるようになっているのです。時とともに日周運動によって見られる星座の変化をぜひ楽しみましょう。

9月の天文情報
曜日月齢天文現象など
29.3新月
0.7
1.7月と金星が最接近 月が天の赤道を通過(南半球へ)
2.7
3.7
4.7
5.7白露(二十四節気) 月の距離が最遠
6.7
7.7上弦の月
108.7
119.7月の赤緯が最南
1210.7
1311.7変光星アルゴルが極小
1412.7
1513.7中秋の名月(十五夜)
1614.7
1715.7満月 半影月食 月が天の赤道を通過(北半球へ)
1816.7
1917.7敬老の日 彼岸の入り 月の距離が最近
2018.7
2119.7
2220.7秋分の日 秋分(二十四節気)秋分の日 ヒヤデス星団の食
2321.7下弦の月
2422.7月の赤緯が最北
2523.7
2624.7
2725.7
2826.7月とレグルスが最接近
2927.7水星が西方最大離角
3028.7
9月の星図
9月の星空(背景白)

9月の星空(背景白)

9月の星空(背景黒)

9月の星空(背景黒)

9月の中旬、午後9時ころの星空です。このコラムの星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座探しに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。