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ちあきの星空コラム

第162回 星座さがしの道具 (2016/12/27)

金星と月が大接近

今年はお正月早々から西の夕空に注目しましょう!
最近は、夕方の空に宵の明星(よいのみょうじょう)と呼ばれ親しまれている金星が輝いて見られますが、お正月の3日間には細い月が加わります。
1月1日には暗くなり始めるころに南西の空には一番星として登場する金星が煌々(こうこう)と輝いて見られますが、それよりも地平線に近い場所に細い月(月齢2.8)が見られます。
2日には、その月が金星に接近して見られます。さらに3日には火星が月のすぐそばに見られます。
お正月が良いお天気になり、みなさまがこの美しく、神秘的な星空の光景を観察されることを期待します。

1月2日午後5時30分のシミュレーションです。 月と金星が接近している様子がわかります。 アストロアーツのステラナビゲータ10を用いシミュレーションしました。

1月2日午後5時30分のシミュレーションです。
月と金星が接近している様子がわかります。
アストロアーツのステラナビゲータ10を用いシミュレーションしました。

昨年12月に撮影した宵の明星こと金星の姿です。 暮れ色の空に一番星として輝きます

昨年12月に撮影した宵の明星こと金星の姿です。
暮れ色の空に一番星として輝きます

1月3日夜から4日未明に見られるしぶんぎ座流星群

1月3日の夜から翌4日の未明にかけて、しぶんぎ座流星群が見られます。しぶんぎ座流星群は三大流星群(ペルセウス座流星群、ふたご座流星群、しぶんぎ座流星群)のひとつとして知られていますが、そのわりにはお正月気分の最中の天文現象であるために観測者の数は多くありません。
今年は、月齢が新月過ぎのため、月明かりの影響を受けずに観測できます。明るい流星から暗い流星までいろんな流星を見ることができると予想されます。
ところで、しぶんぎ座なんて星座はありましたでしょうか?との質問が出そうですが、実は現在の全天88星座の中にはこの名称では出てこないのです。しぶんぎ座は、現在はりゅう座の一部分となっています。
したがって、しぶんぎ座流星群の流星は北の方角にあるりゅう座の近くの方向から放射されているように見られます。
四方八方に流星は飛びますから観測中に目を向ける方向は北に限らず、東西南北それに天頂付近のいずれを向いていても流星観測を行うことができます。
寒さ対策をしてぜひ、流星を目撃しましょう!

星座早見盤だけではない星座さがしの道具

寒い季節になりました。関東地方では晴天率が高くなりますが、全国では積雪の多いところや曇り空の多い日が続く地域もありますね。
太平洋側の地域では西高東低の気圧配置になると、晴れることが多く、偏西風により星がまたたいて美しく見られます。
星空のきれいな夜は、星座を探しましょう。星座の知識がない方でも星座探しの道具が補助してくれます。
星座を探すのによく用いられる道具は「星座早見盤」ですが、そのほかに星空のいわゆる地図に相当する「星図」、パソコンで星空を表現するパソコン用の「星図ソフトや天体シミュレーションソフト」それにスマートフォンなどに代表される携帯やタブレットで星座案内をしてくれる「星座案内ソフト」などがあります。
これらの中からご自身の都合に合わせて道具を用意し、星見(星座探し)に出かけましょう。

星が月に隠される(星食)

月を観察していると、毎日星座の中を移動していく様子が確認されます。
月が星々の間を移動するということは、月の後ろに星が隠されることもあるということになります。
2017年1月10日にはおうし座の1等星アルデバランやヒヤデス星団の星を月が隠す現象(星食といいます)が見られます。昨年11月にもアルデバラン食をご案内しているので、そちらもバックナンバーで参照しましょう。
見られる時刻は、月の後ろに隠される潜入が午前0時01分頃(東京での時刻。観測場所によって時刻が異なります)に見られます。アルデバランは明るいので、肉眼でも見ることができますが、双眼鏡を使えばよりはっきりと確認できます。
できれば天体望遠鏡を使い、日周運動を赤道儀で追尾しながら観測するとご自身だけでなく、ほかの人にも月に接近した星の様子を見せてあげることができます。
ヒヤデス星団の星々は、1月9日に次々と隠されていき、最後に日付が変わるころアルデバランが隠されることになります。
なお、アルデバランが月の反対側から姿を現す出現は東京では午前1時09分頃です。
1時間ちょっと待って、潜入、出現の両方を見るといいでしょう。宇宙の動きを感じ取ることのできる天文現象ですので、ぜひご覧ください。

アルデバランの出現の様子(2016年2月16日撮影)

アルデバランの出現の様子(2016年2月16日撮影)

次に星食が見られるのは2月14日におとめ座のγ星(2.7等星)が隠される現象です。
東京の時刻を示しますと、潜入は23時33分頃、出現は翌日の0時52分ころとなります。
潜入のときは、月の輝いている縁から潜入し、出現の時は月の影になっている部分から突然出現しますので、見逃さないようにしましょう。

1月の星空

1月になると、冬の星座で夜空が埋め尽くされてまいります。
冬の星座の中でもその代表的な星座がオリオン座。あらかじめオリオン座とそのほかの星座の位置関係を星座早見盤などで確認し、オリオン座を最初にみつけてその位置から本物の各星座を探しましょう。
冬の大三角や大六角形を実際の星空の中で星が結ぶことができれば、それぞれその星の所属する星座の形もみつけやすくなります。
六角形をつくる1等星は、オリオン座のリゲルから右回りにおおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラそれにおうし座のアルデバランですが、これらがみつかるということは、星座も6個みつけられるということになります。
冬の星座は、明るい星が多く四季を通じてもっともみつけやすいといえますからぜひ星図などをたよりにさがしてみましょう。

1月の天文情報
曜日月齢天文現象など
2.8元旦
3.8細い月と金星が大接近
4.8月と火星が大接近 しぶんぎ座流星群が極大(23時頃)
5.8
6.8小寒(二十四節気) 月が天の赤道を通過(北半球へ)
7.8上弦の月
8.8
9.8
10.8成人の日 おうし座θ星の食
1011.8アルデバランの食 月の距離が最近
1112.8月の赤緯が最北
1213.8満月
1314.8
1415.8
1516.8
1617.8しし座ρ星の食
1718.8
1819.8月が天の赤道を通過(南半球へ)
1920.8水星が西方最大離角
2021.8大寒(二十四節気)下弦の月
2122.8
2223.8月の距離が最遠
2324.8
2425.8
2526.8月の赤緯が最南
2627.8
2728.8
280.1新月
291.1
302.1
313.1
1月の星図
1月の星空(背景白)

1月の星空(背景白)

1月の星空(背景黒)

1月の星空(背景黒)

1月の中旬、午後9時ころの星空です。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。
このコラムの星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。
星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座探しに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。