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ちあきの星空コラム

第167回  星座を覚える (2017/06/01)

6月はジョンソン彗星が見える

ジョンソン彗星(5月20日撮影)

ジョンソン彗星(5月20日撮影)

5月上旬から6下旬にかけてジョンソン彗星が見られます。
6月上旬にはうしかい座のアルクトゥールス付近に見られ、下旬にはおとめ座に移動します。6等級の明るさが予想され、肉眼ではちょっとみつけにくいかもしれませんので、双眼鏡を使ってさがせばはっきり確認できることでしょう。
私は5月20日(土)に神津牧場天文台で撮影してきましたので、披露させていただきますが、撮影の時には最初に双眼鏡でさがし、見つけてから天体望遠鏡を彗星に向け、一眼レフカメラのボディを天体望遠鏡に接続して撮影しました。
彗星は、宇宙の放浪者などとも呼ばれ、太陽系の最も外縁部の彼方から太陽に近づき、水蒸気などによる長い尾を見せてくれます。この写真でも左下の方向に尾が伸びている様子がわかります。梅雨の合間をねらって、さがしてみましょう。

星座を覚えたい

6月になりますとお天気の悪い日が多くなりやがて梅雨に入りますが、お天気が悪い日も、星に関する知識は書物などから得ることができます。
特に、「今年こそ本物の星空の中で星座をみつけられるようになりたい。できれば、友人などにも星座を教えてあげたい」といった思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、お天気の悪い6月のうちに基礎知識を身につけて、晴れ渡る夏空が見られる7月に本物の星空でしっかり星座観察をするといいでしょう。

書籍で楽しむ

星座図鑑や星座物語など、大型書店や図書館に行くといくつも天文の書籍が並んでいます。
星座を覚えるには、まずは書籍を見たり読んだりすることが基本です。
勉強方法としては、星座のパターンを覚えるために、ノートに星座の形状や星の名前を書き写し、さらに星の明るさなどの違いも記載して覚えましょう。星どうしを結んでつくる星座の配列、形状をしっかり覚えることが大切です。

ネットでさぐる

最近は便利なもので、何か調べようと思ったら、ネット環境のあるパソコンか、あるいはスマートフォンなどで、検索して調べることができます。
しかも調べたあとに、プリンターがあれば、プリントアウトすることさえできます。ネットの場合、最新の天文ニュースや星図ソフトなどの情報を入手できますので、とても重宝です。

プラネタリウムに行く

星座観察のシミュレーション施設として、プラネタリウムがあります。
どこの町にもあるものではありませんが、主要都市にはプラネタリウム施設が整っているところが多いので、インターネットなどで探してみましょう。
プラネタリウムの星空は、まるで本物の星空のようにリアルで、実際の星座観察の際に役立つことは間違いありません。
機会を見て、ぜひプラネタリウム鑑賞をされることをお薦めします。

望遠鏡ショップに行く

望遠鏡ショップというのはプラネタリウムよりもさらに数が少なく、大きな都市にしか存在しませんが、そこに行くと、天体望遠鏡をはじめ、双眼鏡、星座早見盤など星空の観察に使用するあらゆる道具がそろっています。
しかもショップの店員に質問することもできますし、もしかしたら来店している星に詳しい方とお友達になれるチャンスがあるかもしれません。このように望遠鏡ショップは天文知識の宝庫なのです。
案ずるより生むがやすし、都会に行くチャンスがあれば、ぜひ望遠鏡ショップに足を運びましょう。

天体観望会に参加する

市町村の広報誌やミニコミ誌などに天体観望会の案内が出ていることがあります。また、偶然にまちかどで星空観望会をしている場面に出くわすこともあるかもしれません。
こうした観望会にぜひ参加し、天体望遠鏡で本物の星を見せてもらいましょう。
観望会のボランティアをしているスタッフの方々は天文知識も豊富で、いろんな星空の情報を持っていますから、ぜひチャンスを生かして、わからないことがあったら質問してみましょう。

天体観望会に参加する

天体観望会に参加する

天体望遠鏡

天体望遠鏡を思い切って購入すると、多くの星が観察できますので、日ごろから欲しいなと思っている方は、チャンスをみてぜひ購入することをお薦めします。
天体望遠鏡を使ってみると星の世界を大きく広がります。
天体望遠鏡では木星や土星などを大きく拡大して、本体の模様なども見ることができます。また、星雲・星団では、星の光を集めて肉眼で見えない暗い星雲などを明るく見ることができます。
天体望遠鏡で目的の天体を見る際には星座を覚え、見ようとする天体が、星座のどの辺にあるのか、理解する必要があります。

星図と星座早見

星の位置などを図面にあらわしたものを星図(せいず)といい、地上の地図に相当する星図が市販されています。また、星座早見盤といって、任意の日付、時刻に見られる星空を再現することができる装置が書店などで売られています。金属製のもの、紙製やプラスチック製など様々なものが売られていますので、ひとつお求めになられたらいかがでしょうか。

天文雑誌

毎月5日に月間の天文雑誌が2種類書店に並びます。ひとつは「星ナビ」といい、もう一つは「天文ガイド」といいます。
毎月の天文現象、天文のニュースや解説記事、さらにイベントの案内など盛りだくさんの情報が詰まっています。
もちろん、私も毎月購入しています。

6月の星空

6月の空は曇りがちの日や雨の日が多いのですが、時々晴れ間が出て星空を望むことができます。春の星座のなかでも代表的なおとめ座には木星が煌々(こうこう)と輝いており、他の星を圧倒するその明るさには、つい、目を奪われてしまいます。天体望遠鏡で見ると縞模様やときには大赤斑(だいせきはん)が見られます。
星座としては、かに座、しし座、乙女座、うしかい座などのほか、うみへび座、からす座、おおぐま座なども見られます。
星座をさがすときは星座早見盤か星図を使い、見る星空の方角と星図などに記載された方角を一致させてさがします。また、このコラムの文末に掲げた星図をクリックして拡大し、プリントアウトして使用する方法もあります。
ぜひ星空を見て星座探しにチャレンジしましょう。

6月の天文情報

曜日月齢天文現象など
6.3上弦の月
7.3
8.3金星が西方最大離角
9.3
10.3芒種(二十四節気)
11.3
12.3
13.3
14.3満月 月と土星が接近 月の距離が最遠
1015.3
1116.3入梅 月の赤緯が最南
1217.3ジョンソン彗星が近日点を通過
1318.3カタリナ彗星が近日点を通過
1419.3
1520.3
1621.3
1722.3下弦の月
1823.3月が天の赤道を通過(北半球へ)
1924.3
2025.3
2126.3夏至(二十四節気) 月と金星が接近(明け方)
2227.3
2328.3月の距離が最近
2429.3新月
251.0
262.0
273.0
284.0
295.0
306.0

6月の星図

6月の星空(背景黒)

6月の星空(背景黒)

6月の星空(背景白)

6月の星空(背景白)

6月の中旬、午後9時ころの星空です。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座探しに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。