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ちあきの星空コラム

第177回 北斗七星は星座ではない (2018/04/03)

昇りくる北斗七星

春の宵(よい)の空には北東の空に高く昇りつつある北斗七星が見られます。
7個の星の配列が、ひしゃくに似ていることから、「ひしゃくぼし」として日本では親しまれてきましたが、現在の日本では、道具としてのひしゃくをあまり見かけなくなりました。今では神社で手や口中を清める場所に置いていますが、それ以外のところではあまり使用されなくなりました。
それでも北斗七星は、6個の2等星と1個の3等星からなる比較的明るく見つけやすい星の配列で、古くから人々の間では広く親しまれてきました。
ところが現在、全天の88星座に「北斗七星」の名称は入っていません。
それはどういうことかというと、西洋の星座から、全天を88の区画に分割している現在の星座では、北斗七星はおおぐま座の一部に属しているのです。
先月、撮影した写真に線や文字を入れて、そのことがわかるように表示してみましたので、ご覧ください。

夜空に向けて北の方角を撮影した写真に星座の線などを書き込みました

この写真を見ると、たちどころに分かりますが、大きなクマの姿の中に北斗七星が取り込まれており、北斗のひしゃくの柄の部分が長いしっぽに位置します。
ちなみに、おおぐま座もこぐま座も本物のクマの姿よりもしっぽが長くなっていますが、これは天の神様が空に放り投げた際にしっぽを持って投げたので、伸びてしまったというお話になっています。
ぜひ、本物の空で、北斗七星やおおぐま、こぐま座をみつけて見ましょう。

夕空に金星が見えるようになりました

先月のコラムで紹介した宵の明星こと金星が夕方の西の空に明るく輝いて見えるようになりました。先月の様子を撮影しましたので、写真を掲載しますが、西の空に明るく輝いていますので、ぜひみつけて見ましょう。

3月には金星と共に水星も見られました(3月17日撮影)

4月の星空

4月の星空は、3月までは宵の空に見られた冬の星座が西の空に早々に沈んでいき、午後9時頃には春の星座が全天を覆うようになります。
北の空には、北斗七星のあるおおぐま座とこぐま座が見られ、北斗七星のひしゃくの柄の部分から目を南方向に向けると、うしかい座の1等星アルクトゥールスをみつけることができます。さらに南にたどっていくと、おとめ座のスピカにたどり着くことができます。
北斗七星からスピカまでたどった軌跡を春の大曲線といいますが、星に親しんで春の大曲線や春の星座をみつけることができるようになるといいですね。ぜひチャレンジしてみてください。

4月の天文情報
曜日月齢天文現象など
14.6
15.6火星と土星が最接近
16.6月と木星が接近
17.6
18.6清明(二十四節気)
19.6
20.6月の赤緯が最南
21.6下弦の月 月と火星、土星が接近 月の距離が最遠
22.6
1023.6
1124.6
1225.6
1326.6
1427.6
1528.6月が天の赤道を通過(北半球へ)
160.0新月
171.0
182.0
193.0
204.0穀雨(二十四節気) 月の距離が最近
215.0月の赤緯が最北
226.0
237.0上弦の月
248.0
259.0
2610.0
2711.0
2812.0月が天の赤道を通過(南半球へ)
2913.0昭和の日
3014.0振替休日 満月 水星が西方最大離角
4月の星図
南の星空

4月の南の星空(背景黒)

4月の南の星空(背景白)

北の星空

4月の北の星空(背景黒)

4月の北の星空(背景白)

4月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する位置によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。