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ちあきの星空コラム

第180回 火星大接近 (2018/07/02)

大接近する火星を見よう!

火星の姿 撮影:川端孝幸

いよいよ火星が大接近します。
最も地球に近づくのは7月31日ですが、地球も火星も太陽の周りを公転しているために、大接近の前も後も比較的大きく、明るく観察することができます。
7月の空では、位置はやぎ座にありますが、-(マイナス)2等級の明るい輝きで、ほかの星よりも赤みの強い輝きですからすぐに判別できます。
火星をみつけたら星座の中の位置を確認しましょう。というのも、地球と接近し、そしてまた離れていきますので、見かけ上は星座の中をうろうろと動いているように見えるのです。といっても1日での位置の移動は気づかないほどわずかなのですが、数日おきに観察すれば位置の移動がはっきりとわかることでしょう。
天体望遠鏡での観察では、表面模様も観察でき、火星の極に相当する部分には極冠というドライアイスが凍っている白い部分や地形によって赤みがかった部分や黒っぽく見えるところが確認できます。
15年ぶりの大接近ですので、ぜひ天体望遠鏡を使ってその姿を確認しましょう。

この図は、火星大接近の7月31日の午後11時の南の空のシミュレーション星図ですが、これを見ると火星とともに南の空には木星、土星も見られることがわかります。この星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト ステラナビゲーターを使用しています。

夏の星空

夏の星空には天の川が濃く目立ちますが、光害(ひかりがい)の多い都会地では残念ながら星は見えても天の川まで見ることはできません。
東洋の物語では、天の川は星空の中にある川といわれ、もっとも有名なお話は七夕伝説です。牽牛(彦星)と織女(織姫星)が1年に一度、7月7日に会うことができるといったお話ですが、お天気が悪いと川の水かさが増して二人が会うことができないといった悲しいお話でもあります。
実際の星空の中では、天の川を挟んで、わし座の中の1等星アルタイルが彦星、こと座の中の0等星ベガが織女星です。
これに天の川の中にあるはくちょう座の1等星デネブを加えて3星を結んでできる三角形が夏の大三角と呼ばれる星の配列となります。
夏の星空では、まず、この3星をみつけ、それぞれの星座の形の星の配列を確認し、次に夏の大三角を中心にさそり座、いて座、へびつかい座、ヘルクレス座などの夏の星座をさがし、位置や形を覚えましょう。

夏の大三角(撮影:田中千秋 群馬県神津牧場天文台にて)

7月の星空

7月は夏の星座が空一面輝いています。
夏の星座に加え、木星、土星それに大接近してきた火星が見られますので、とてもにぎやかな星空です。
星図をたよりに星空を見上げましょう。
天頂付近に見られる「夏の大三角」をみつけ、続いてその周囲の星座や南の低空に見られるさそり座などをみつけましょう。
星座の形状や名前は、下図の星図をクリックして大きくなった星図をプリントアウトして参照してください。

7月の天文情報

曜日月齢天文現象など
17.3
18.3半夏生(太陽黄経100°)
19.3
20.3
21.3
22.3下弦の月 月が天の赤道を通過(北半球へ)
23.3小暑(二十四節気) 七夕(たなばた) 地球が遠日点を通過
24.3
25.3
1026.3金星がレグルスに接近
1127.3
1228.3水星が東方最大離角 月の赤緯が最北
130.0新月 月の距離が最近
141.0
152.0
163.0海の日 細い月と金星が接近
174.0
185.0
196.0月が天の赤道を通過(南半球へ)
207.0夏の土用(太陽黄経117°) 上弦の月
218.0月と木星が接近
229.0
2310.0大暑(二十四節気)
2411.0
2512.0月と土星が接近
2613.0月の赤緯が最南
2714.0月の距離が最遠
2815.0満月 皆既月食(5時22分) 火星が衝
2916.0
3017.0みずがめ座δ流星群の極大
3118.0火星が地球と最接近

7月の星図

南の星空

7月の南の星空(背景黒)

7月の南の星空(背景白)

北の星空

7月の北の星空(背景黒)

7月の北の星空(背景白)

7月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。