つくばのこと、もっとわかれば もっとたのしい! 茨城県つくば市のケーブルテレビ局ACCSによる地域情報サイト

ちあきの星空コラム

第186回 部分月食を見よう-1.7追記:部分日食を撮影しました (2018/12/28)

部分日食撮影の速報を「部分日食を見よう」の後に追加しました。ご覧ください。

今年1年の天文現象

あけましておめでとうございます。
今年もぜひ星空を見上げ、天文の世界を楽しんでいただけたら幸いです。
さて、今年1年の天文に関する現象は、次のとおりです。
詳しくは、毎月更新するこのコラムで述べますが、1年を通しての予定をたてるのに役立ててください。

1月

☆ウィルタネン彗星が肉眼等級まで増光・・・上旬
☆月と金星が大接近(夜明け前)・・・2日の日の出直前
☆しぶんぎ座流星群が見られる・・・4日
☆部分日食が見られる・・・6日午前中
☆金星が西方最大離角(明けの明星)・・・6日
☆ヒヤデス星団の食(夕空に見られる)・・・17日
☆金星と木星が大接近・・・23日の明け方

2月

☆細い月と金星が接近(夜明け前)・・・1日明け方
☆火星と天王星が大接近・・・13日
☆金星と土星が接近・・・18日の明け方

3月

☆金星、土星、木星、月が集合明け方の東天に集まる・・・中旬
☆プレセぺ星団の食・・・17日

4月

☆プレアデス星団とヒヤデス星団の間を火星が移動・・・上旬
☆ヒヤデス星団の食・・・9日

5月

☆みずがめ座η流星群が見られる・・・6日
☆月と木星が大接近・・・21日

6月

☆木星がへびつかい座で・・・11日
☆水星と火星が大接近・・・17日

7月

☆土星がいて座で・・・10日
☆月食(西日本で昼間に見られる)・・・17日
☆ヒヤデス星団の食・・・23日の明け方

8月

☆金星食・・・1日日の出前後
☆ペルセウス座流星群が見られる・・・13日前後

9月

☆月と土星が大接近・・・9日
☆中秋の名月(十五夜)・・・13日
☆M1かに星雲下弦の月が接近・・・22日

10月

☆月と木星が接近・・・4日
☆水星が東方最大離角・・・20日
☆オリオン座流星群が見られる・・・22日

11月

☆月と土星が大接近・・・2日
☆くじら座のミラが極大・・・中旬
金星と木星が大接近・・・24日
☆水星が西方最大離角・・・28日

12月

☆金星と土星が接近・・・11日
☆ふたご座流星群が見られる・・・14日
☆月と火星が接近・・・23日
☆部分日食・・・26日

※文中に出てくる専門用語の解説
★衝(しょう)

地球から見て衝を迎えた惑星は太陽と反対側に見える。すなわち、午前0時頃に南中を迎えることとなるが、この時期には一晩中の観測ができるので、対象の惑星の観測好機といえる。

★最大離角(さいだいりかく)

内惑星(金星、水星)の太陽との離角が最大になること。西方最大離角とは、明け方の東天における最大離角をいい、東方最大第離角とは夕方の西天における最大離角をいう。最大離角の頃は太陽と離れて見える位置にその惑星があることから観測好機となる。

部分日食を見よう

1月6日に、全国的に部分日食が見られる

今年は二度、部分日食が見られますが、1回目は1月6日に見られます。関東地方では午前8時44分頃に太陽が欠け始め、最大に欠ける食の最大時刻は10時6分頃。食の終了は11時36分頃となります。
地域によって若干の時刻の違いがありますが、詳しくは地元の新聞などに掲載される予報かインターネットをご覧ください。
部分日食を見るには、太陽を直接見ると眼に悪い影響がありますので、決して直接太陽を見ないでください。
日食の様子を見る時は、太陽観望専用の「日食メガネ」をご使用ください。天体望遠鏡専門店やカメラ店などで販売されますので、必ず日食メガネをご利用いただき、観察するようにしましょう。フィルムの黒い切れはしやガラスにろうそくの炎のススをつけたガラス片などは用いないでください。これらは目に有害な光線を通過させてしまうので、大変危険です。
安全・安心な日食観察をお楽しみください。

太陽を直接見ないで日食メガネを用いて見ましょう!

市販されている日食メガネの例

※速報~部分日食を撮影しました

1月6日に見られた部分日食は、私の観測地(茨城県牛久沼湖畔)では、薄雲が出たものの全経過を観測することができました。
写真でご覧ください。

9時15分

9時40分

10時6分

10時30分

10時55分

撮影の様子と撮影機材

しぶんぎ座流星群が見られるか?

12月のふたご座流星群に続いて1月4日にはしぶんぎ座流星群が見られます。
現在、しぶんぎ座という星座はありませんが、流星群にのみ「しぶんぎ座」の名称が用いられています。
じっさいに流星を見る時には、りゅう座の付近(北方)から流星が放射されているように見えます。流れる位置は天頂や南の空、西の空など全天のさまざまな位置で流れますので、わざわざ北の方角を見ている必要はなく、全天のどこでも見やすい方角を決めて夜空を仰ぎ見ましょう。
楽な姿勢で夜空を仰ぐには、寝ころんで頭上(天頂)付近を見るのがいいでしょう。
しかし、冬場の寒い季節はたとえ芝生の上でも寝転ぶと体温を奪われて寒くなりますので、サマーベットのようなイスなどにマットを敷き防寒服を着た上で寝転ぶのがいいでしょう。
私は、普通の折りたたみイスに腰かけてダウンジャケットやカイロなどを使って防寒対策をして斜め上空を観察するようにしています。このスタイルだと真上(天頂付近)は見にくいですが、簡単に観測するのにはうってつけのスタイルだと思っていますので、みなさまにもお奨めします。
晴れて見られるといいですね。

ウィルタネン彗星が接近して肉眼でも見られる

昨年12月には、ウィルタネン彗星が明るくなり、肉眼で見える3等星級の明るさで見ることができました。
1月に入っても予想では、肉眼等級を保つとの見方が強く、じっさいにウィルタネン彗星が見える可能性が高いといえます。
ぜひ位置予報にしたがって、確認してみましょう。

昨年12月に撮影したウィルタネン彗星の姿(撮影:浦辺守)

1月のウィルタネン彗星の位置予報

1月の星空

1月の星空は、星図に示すとおり冬の星座で埋め尽くされています。
といっても、夕方の西空には秋の星座がまだ見られ、時間がたつと冬の星座が空一面を埋め尽くすようになります。
冬の星座を具体に空の中からみつけましょう。
三ツ星のあるオリオン座は、その四方に明るい星があり、特に明るい左上に見られる星が1等星のベテルギウス、右下の1等星がリゲルです。
オリオン座がみつけられたらその周囲に、おうし座、うさぎ座、おおいぬ座、こいぬ座、ふたご座そしてぎょしゃ座とオリオンの周囲を右回りで星座さがしをこころみましょう。もちろん、逆方向に見ていっても構いません。
星図をたよりに冬の星座をさがしてみましょう。

1月の天文情報

 

曜日月齢天文現象など
24.8元日
25.8細い月と金星が大接近
26.8月が木星に最接近
27.8しぶんぎ座流星群が極大
28.8
0.1小寒(二十四節気) 新月 部分日食 月が土星に最接近 金星の西方最大離角
1.1
2.1
3.1月の距離が最遠
104.1
115.1
126.1
137.1月が火星に最接近 月が天の赤道を通過(北半球へ)
148.1成人の日 上弦の月
159.1
1610.1
1711.1冬の土用
1812.1
1913.1
2014.1大寒(二十四節気) 月の赤緯が最北
2115.1満月
2216.1月の距離が最近
2317.1金星と木星が最接近
2418.1
2519.1
2620.1月が天の赤道を通過(南半球へ)
2721.1
2822.1下弦の月
2923.1
3024.1
3125.1細い月と木星が最接近

1月の星図

南の星空

1月の南の星空(背景黒)

1月の南の星空(背景白)

北の星空

1月の北の星空(背景黒)

1月の北の星空(背景白)

1月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。