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ちあきの星空コラム

第187回  惑星をさがす (2019/02/04)

節分と節気

2月に入ると3日が節分、すなわち季節を分ける日です。翌日4日の立春(りっしゅん)は1年を24に分けて季節を表す24節気のひとつで、この日から春に向かって季節が進んでいくことを知らせてくれます。今の暦では毎年2月上旬にこの立春を迎えますが、旧暦を使っていたころは、うるう月(うるう月があるため、1年が13か月の年がある)により1年の長さを調整していたため、種蒔の時期などは、日々の暦の月日でなく、24節気に頼っていました。
旧暦は太陰暦を用いた暦でしたが、24節気は太陽暦の考え方から作られたものでした。太陽暦を使っている現在では月日の誤差の補間ではなく、季節の節目を知る呼び名として親しまれています。
節分では恵方巻などが大流行りしていますが、24節気のこともぜひ関心を持ってもらいたいものです。

今、惑星はどこに?

昨年も今年も惑星観測シーズンは夏だといわれています。
それは、惑星の中でも天体望遠鏡で見ごたえのある木星と土星が夏休みシーズンに都合の良い時間帯(午後8時頃)に見られることに起因しています。
しかし、天体望遠鏡で惑星を見る機会は、さほど多くはないと思いますので、肉眼で見える惑星の位置などをお知らせします。
観察する時間帯を選ばなければ2月にも惑星を見ることはできるのです。
ただし、惑星は星空の中を毎日、少しずつ移動していきますので、ここでは2月の惑星の位置などについてお知らせします。
この説明や図を参考にしていただき、星座の星と共に惑星もウォッチングしていただきたいと思います。

昨年3月17日夕空の西天に見られた水星と金星

水星

2月27日に東方最大離角を迎えます。つまり、太陽との離角が大きくなることによって、見やすくなるのです。東方最大離角の時は、夕方の西の空に見え、地上から見ていると西よりも東の方角に最も離れて見え、太陽が西の空に沈んでだんだん暗くなる時間帯に見えます。
火星
夕空に見られますが、昨年の7月31日に大接近した頃のような明るい輝きはなく、現在は1.1等級の輝きで、おひつじ座付近にあります。

2月27日夕方の西空で見られる水星と火星の位置(ステラナビゲーターの画像を使用)

2月27日の夜明け前の東天で見られる月、木星、土星そして金星の位置を示します。月の見かけの形状及び位置は、日々大きく変わり、惑星の位置も少しずつ変化します (ステラナビゲーターの画像を使用)

金星

明けの明星として-(マイナス)4等級の明るさで輝いています。空が明るくなってもしばらくは、はっきりと見えます(昼間でも見えることがあります)。

木星

へびつかい座付近にあり明け方の空に-2等級で明るく輝いて見えます。6月11日に衝(しょう)を迎えますので、観測シーズンは今年の春から夏にかけてとなります。

土星

明け方の空に見られ、いて座にあります。早起きをして土星と共に、金星、木星の位置関係を確かめましょう。

2月の惑星などの見え方

☆細い月と金星が接近(夜明け前)・・・1日明け方
☆火星と天王星が大接近・・・13日(天王星は肉眼では見えないが双眼鏡で確認できる)
☆金星と土星が接近・・・18日の明け方
☆金星、土星、木星、月が並んで見える・・・27日明け方

※文中に出てくる専門用語の解説
★衝(しょう)

地球から見て衝を迎えた惑星は太陽と反対側に見える。すなわち、午前0時頃に南中を迎えることとなるが、この時期には一晩中の観測ができるので、その惑星の観測好機といえる。

★最大離角(さいだいりかく)

内惑星(金星、水星)の太陽との離角が最大になること。西方最大離角とは、明け方の東天における最大離角をいい、東方最大離角とは夕方の西天における最大離角をいう。最大離角の頃は太陽と離れて見える位置に惑星があることから観測好機といえる。

2月の星空

2月の星空は、冬の星座のかんさつシーズンといえます。
冬の星座をさがすと、三ツ星のあるオリオン座、その中の特に明るい左上に見られる星が1等星のベテルギウス、右下の1等星がリゲルです。
オリオン座がみつけられたらその周囲に、おうし座、うさぎ座、おおいぬ座、こいぬ座、ふたご座そしてぎょしゃ座をみつけていきましょう。
星図をたよりに冬の星座をさがしてみましょう。

2月の天文情報

曜日月齢天文現象など
26.1月が金星に最接近(明け方)
27.1月が土星に最接近(明け方) 月の赤緯が最南
28.1節分
29.1立春(二十四節気)
0.2新月 月が水星に最接近 月の距離が最遠(本年最遠)
1.2
2.2月が海王星に最接近
3.2
4.2月が天の赤道を通過(北半球へ)
105.2
116.2建国記念の日 月が火星に最接近 月が天王星に最接近
127.2
138.2上弦の月 火星と天王星が最接近
149.2
1510.2
1611.2月の赤緯が最北
1712.2
1813.2金星と土星が最接近
1914.2雨水(二十四節気) 水星と海王星が最接近 月の距離が最近
2015.2満月(スーパームーン)
2116.2
2217.2月が天の赤道を通過(南半球へ)
2318.2
2419.2
2520.2
26 21.2下弦の月
2722.2水星が東方最大離角 月が木星に最接近
2823.2

2月の星図

南の星空

2月の南の星空(背景黒)

2月の南の星空(背景白)

北の星空

2月の北の星空(背景黒)

2月の北の星空(背景黒)

2月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。
このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。
星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。