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ちあきの星空コラム

第189回 平成の天文現象 (2019/04/01)

4月末を持って平成は終了し5月からは新たな元号「令和」と決まりましたが、平成時代の30年間におきた天文現象のうち、私なりに印象に残った天文現象を選びました。しかも自分で写真撮影したものに限定しました。
結果的に印象に残る16現象を掲げました。皆さんも心に残る天文現象があるかと思いますが、私の選んだ天文現象を見ながら平成時代を思い返してみてください。

平成元年 1989年

12月2日夕刻の金星食が見られました。千葉県船橋市で撮影しました。
金星が月に潜入(隠される)する直前と月の縁から金星が出現する様子です。

   

平成2年 1990年

オースチン彗星(1989c1)が明るく見えるとの前評判から長野県美ヶ原に出かけ撮影しました。思ったほど明るくなりませんでしたが、長い尾が見られました。

平成3年 1991年

ハワイ、メキシコで皆既日食が7月11日に見られました。家族でハワイ島まで出かけましたが、残念ながら皆既食中は雲に阻まれ、太陽が欠けた様子しか見られませんでした。

平成7年 1995年

タイ王国で皆既日食が10月24日に見られました。快晴の空の下、日食観測隊を組織し皆既日食を観測しました。

平成8年1996年

前年に百武裕司氏(故人)により発見された彗星は地球に接近し明るく見え、尾の長さが100度にも及ぶ大彗星になりました。茨城県龍ケ崎ニュータウンで撮影しました。

平成9年 1997年

2~4月にヘール・ボップ彗星(C/1995O1)が明るく見えました。秩父にてキャンプをしながら撮影しました。

平成11年 1999年

8月11日にヨーロッパで皆既日食が見られ、ハンガリーバラトン湖のほとりで撮影しました。

平成13年 2001年

11月19日未明にしし座流星群が大出現しました。次々と流れる流星の姿に大感激!神津牧場天文台にてカメラを4台使い、撮影しました。

平成14年 2002年

3月20日に土星が月に隠される土星食が見られましたので撮影しました。こうした天文現象を見るたびに強い感動を覚えることができます。

平成15年 2003年

8月に火星が約5万7千年ぶりの超大接近となり、各地で観望会を開催しました。

平成18年 2006年

太陽面を水星が通過する現象が見られました。11月9日早朝に仙台市内で撮影しました。

平成19年 2007年12月

ホームズ彗星が大バーストを起こし、肉眼でも明るく見られました。仙台市泉ヶ岳にて撮影。

平成21年 2009年

7月22日に中国から日本のトカラ列島付近で見られる皆既日食には多くの観測者が各地に出かけました。私は中国上海方面に出かけましたが、当日は悪天候で部分食の時だけ撮影できました。

平成24年 2012年

6月6日に金星の太陽面通過が見られました。水星の通過に比べて金星は大きく見えました。

平成26年 2014年

10月8日に日本各地で皆既月食が見られましたが、私は福島県いわき市の塩屋埼灯台の下で撮影に成功しました。(灯台と月は合成して1コマにおさめました)

平成30年 2018年

15年ぶりの火星大接近は群馬県の神津牧場天文台に滞在して多くの観望のお客さんに火星を見せました。15年前の火星に比べると表面が砂嵐のため、表面を詳細には見ることができませんでしたが、星空の中に木星も土星も見られましたので、これらも観望し、多くの方々に満足を与えることができました。

火星像

天文台の76センチ反射望遠鏡が火星を狙う

4月の惑星の位置と見え方など

明け方に見えていた惑星が、4月にはだんだんと深夜に見られるようになります。
これが夏になると夕空でも見られるようになってまいりますのでさらに楽しみとなります。肉眼で見られる5惑星について、位置、見え方などを解説します。

水星

明け方に金星と共に観測できます。4月12日に西方最大離角となり、0.3等級で輝いています。

金星

明けの明星として-(マイナス)3.9等級の明るさで輝いています。空が明るくなる前、午前4時頃から5時前までに東の空で確認しましょう。

火星

夕空に見られ、おうし座の中で赤く輝いています。明るさは地球から遠ざかりつつある現在では1.5等級の明るさです。
視直径が4.4″(秒)と小さくなりましたので、模様の確認がむずかしくなりました。

木星

へびつかい座にあり、深夜になれば南東の空に-2.3等級の明るさで輝いています。6月11日に衝(しょう)を迎えますが、その前の今月ごろから観測しやすい条件となりますので、ぜひ天体望遠鏡で見てみてください。

土星

4月14日に西矩を迎えます。午前1時頃から地平線上に姿を表しますので、明け方まで待たなくても観測が可能です。明るさは0.3等級で、いて座の中にあります。

4月の星空

4月の星空は、春の星座が全天を埋め尽くしています。
夕空に残っていた冬の星座のふたご座やぎょしゃ座も早々に西の空に沈み、黄道12星座のうち、春の星座のかに座、しし座、おとめ座を中心にそれらよりも南にあるうみへび座、コップ座、からす座などをさがしてみましょう。
北の空には天高くおおぐま座が見られます。おおぐま座の中にある北斗七星から北の空にある北極星や北極星を含むこぐま座をみつけましょう。

4月の天文情報

曜日月齢天文現象など
25.5月の距離が最遠  月の赤緯が最南
26.5細い月と金星が並んで見える(明け方)
27.5細い月と水星、海王星が接近(明け方)
28.5
29.5新月 清明(二十四節気) 月が天の赤道を通過(北半球へ)
0.8 
1.8
2.8
3.8細い月と火星が接近 ヒヤデス星団の食
104.8
115.8
126.8水星が西方最大離角 月が最北
137.8上弦の月
148.8土星が西矩
159.8火星とアルデバランが最接近
1610.8
1711.8月の距離が最近  水星と金星が最接近(明け方の空で見ましょう)
1812.8月が天の赤道を通過(南半球へ)
1913.8満月
2014.8穀雨(二十四節気)月の距離が最近
2115.8
2216.8
2317.8月と木星が最接近  こと座流星群が極大
2418.8月と木星が接近
2519.8月と土星が最接近 月が最南
26 20.8
2721.8下弦の月
28 22.8
2923.8昭和の日 月の距離が最遠
3024.8

4月の星図

南の星空

4月の南の星空(背景黒)

4月の南の星空(背景白)

北の星空

4月の北の星空(背景黒)

4月の北の星空(背景白)

4月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。