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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第15回 秋の星座を見つける

天の川沿いに秋の星座を見つける

先月も秋の星座を一部ご案内しましたが、今月は、すっきりと晴れ渡る夜空が多くなる季節ですから、秋の星座をなるべく多く見つけられるように解説します。
まず、夏休みに見つけた夏の大三角の星のひとつ、はくちょう座のデネブから天の川を北へたどっていきましょう。最初に、ケフェウスの5角形が見つかります。続けてさらに天の川をたどると、Wのかたちのカシオペヤ座、さらにペルセウス座へと続いていきます。
光害(ひかりがい)が多く、天の川が見えない地域でも星座をかたちづくる星々は、比較的明るい星同士で構成されています。等級でいえば1,2,3等星程度の明るさの星ですから都会地でも充分見つけることができます。
あきらめずに見つけてくださいね。

ペガススの四辺形から各星座の位置をさがす

冬、春、夏には代表的な星を結んだ三角形がありますが、秋だけは四辺形です。ペガススの四辺形は、天馬ペガサスの胴体の部分にあたります。大きな四辺形ですから星図をたよりにこの四辺形を見つけてみましょう。四辺形がわかれば、次はそうむずかしくはありません。続いて、天馬の首に相当する部分を見つけましょう。
四辺形の首と対角線を結ぶ星は、四辺形のひとつの星ですが、これはペガスス座でなく、アンドロメダ座の星で、この部分には、ギリシャ神話で有名なエチオピア王国のアンドロメダ姫の姿があるのです。
四辺形のすぐ南にはうお座、さらに南に眼をやると、みずがめ座とみなみのうお座が見つかります。みなみのうお座には、秋の星空の中で唯一の1等星フォーマルハウトがあります。ひとつぽつんと輝く姿は、少しさみしそうな一つ星です。
南西の空にはやぎ座がかたむき、東南の空からはくじら座が昇ってくる様子がみられます。付近にはおひつじ座もあります。

日周運動で移動する星々

晴れた夜空でじっくり星座鑑賞をしていると、星座の位置がだんだんと東から西へ移動していくのがわかります。直接的に動いているようには見えませんが、電柱や木立などと星の位置を確認していくと1時間で角度にして15度も動くことがわかります。
東の空から昇ってきた星座は、やがて西の空に沈んでいくのです。それは、昼間の太陽の動きと同じく、地球の自転によるもので、日周運動といいます。

月齢による星の見え方

晴れた夜であれば星座は見つけられるかといえば、条件はそれだけではありません。月の存在に注意しなければなりません。月が満月近くの明るい夜は星が見にくく、暗い星はまったく見ることができません。
星座を見るのに適した日というのは、新月近くの月明かりが少ない夜が良いといえます。今月は28日が満月ですから、月初めの10月1日から7日頃までと、満月前後の10月23日頃から月末までが不向きです。逆をいえば、星を見るのに適した日程は10月8日頃から10月22日頃までの15日間といえます。

天体望遠鏡で星座は見えるか?

星座は天を仰ぎ見るようにして見つけるもの。天体望遠鏡は天空の一部を切り取って拡大して見るものです。したがって、星座は肉眼で見つけてください。
天体望遠鏡では、アンドロメダ座の中にあるM31アンドロメダ銀河やペルセウス座の二重星団、さらにアンドロメダ座β(ベータ)星などの二重星を観察するといったことに利用するといいでしょう。
流星なども肉眼で見つけられますので、ぜひ、秋の夜長に本物の星空に接していただければと思います。
ペガスス座
アンドロメダ座

10月の星空

10月の星空

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この星図は、(株)アスキー、(株)アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータVer.5」から出力し、加工したものを使用しています

プラネタリウムソフト

パソコンソフトで星座をさがしたり、プラネタリウムのように星空を楽しむシミュレーションソフトは、アスキーから発売されているステラナビゲータというソフトがおすすめです。本コラムの星図にも利用しています。
10月8日には、最新バージョンのVer.7が発売(標準小売価格16,800円)されます。ご希望の方は、有名書店や天体望遠鏡ショップ等でお求めください。

2004年10月4日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。