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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第28回 星や星座を見る環境

この「コラム」では星や星座を見ることを多くの方々に楽しんでいただこうと考えています。ところが、読者の方々がこのコラムを見て、星に興味を持って本物の星空を仰ぎ見るとき、どうも星座がよくわからない。星座をみつける秘訣はあるのですか?といった質問を受けることがあります。
つくばの星見環境を考えますと、年々都会化が進み、つくばエクスプレスも開業して、まちなかは以前にもましてにぎやかになり、夜は色んな照明が多くなってきています。
照明に関して言えば私たちが夜間、歩くために足下を照らすことは必要だと思いますが、不用意に空を照らす照明は必要ありません。街路灯や防犯灯の明かりが、植物の生態や星空の見え方に影響を与えないよう、つまり光害(ひかりがい)を出さないようにつくる側には工夫をお願いしたいところです。
といっても、クリスマスシーズンなどに街を華やかにする電飾されたクリスマスツリーや樹木のイルミネーションは、まちのにぎわいを創出し、人々にやさしさや元気を与えてくれますので、一緒に楽しみたいと思いますが・・・

どうしたら星は良く見えるか?

さて、そのような街明かりが多いところで星をたくさん見るのには少々工夫が必要になります。見る場所によって工夫のしかたは異なりますが、要点としては、極力、明るい照明類から遠ざかったりして暗い環境の場所で夜空を見上げることが重要なのです。
私たちが暗いところでものを見るときは、眼の瞳が大きく開きます。真っ暗なところでは最大7ミリ直径まで開くといわれています。そうしたとき、暗い夜空では6等星まで見られます。6等星まで見えれば、夜空には約4千個の星を見ることができるのです。ところが、街明かり(光害)の影響が大きいつくば市内のまちなかでは、数百個程度しか見えないのではないかと予想されます。
なるべく暗い星まで見るためには、街明かりをさけ、人家の少ない山や郊外に出かけて見るといいのですが、日常的にはそうもいきませんので自宅近くで見るということになります。そうしたときの秘訣としては、庭やベランダの場合は、部屋のカーテンを閉めたり、部屋の明かりをなるべく消したりして、直接眼に明るい光が差し込まないようにしましょう。公園などで見るときも、公園の照明設備から離れて見ることにしましょう。
暗さに眼を慣らすのには、片眼を閉じ、5秒くらいしたら眼を開け、同時に今度は反対の眼を閉じます。また5秒くらいしたら眼を開け、反対の眼を閉じます。
2〜3回これを繰り返すと暗闇にも眼が慣れ、暗い星まで見えてきます。ただし、星座の確認のため、懐中電灯で星図を見たりすると、開いていた瞳がまた小さくなってしまい星が見えにくくなってしまいますので、懐中電灯には赤セロファンをかぶせて赤い光で星図を見るようにするといいでしょう。

星の明るさの基準(等級)は?

星の明るさは、1等星、2等星、3等星といった明るさの等級を決めていますが、明るい星ほど少ない数字を用いて表現します。肉眼でようやく見られる暗い星を6等星、もっとも明るい星々を1等星と決めています。1等星と6等星の明るさの差は、100倍あります。1等級の明るさの差は2.5倍ありますので、5等星は6等星よりも2.5倍明るいこととなり、さらに4等星は5等星よりも2.5倍明るい星となります。
では、1等星よりも明るい星はどう表現するかというと、1等星よりも2.5倍明るい星は0等星、さらに2.5倍明るい星は−(マイナス)1等星というようにいいます。全天の恒星でもっとも明るいおおいぬ座のシリウスは、−1.5等星ということになります。 ちなみに今、地球に接近して明るく輝いている火星は−2等星で、南の空で赤々とした輝きが印象的です。
今月の星座写真はペガスス座ですが、この星座には1等星はなく、ペガススの四辺形の4つの星はいずれも2等星です。

ペガスス座の説明図
ペガスス座の説明図

ペガスス座の写真
ペガスス座の写真(星座線を記入しています)

秋の星座の代表格ペガスス座は、ギリシャ神話に登場する天馬ペガサスの星座です。星座絵のとおり、天馬がさかさまになって見られますが、四辺形を含みますので、比較的容易にみつけられる星座です。

星の講演会のお知らせ(11月12日つくば山水亭)

私が講演者のひとりになっている文化講演会のご案内をします。
11月12日(土)につくば山水亭で星空の楽しみ方を講演します。どなたでも自由に入場できますので、近くの買い物ついででも結構ですからぜひ、おいでいただきたいと思います。星の写真をたくさん用意し、スライド(パワーポイント)でご覧いただく予定をしています。
ご期待ください。

⇒講演会ポスター(クリックすると拡大します)

講演ポスター

11月の星座案内図

11月の星空

クリックすると、星図が変わります。

この星図は、株式会社アストロアーツの天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータVer.7」から出力し、加工したものを使用しています。

2005年11月7日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。