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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第61回 明け方に見る月食

月食を見る


部分月食の月を見ると地球の影のカーブから地球が丸いということと、月よりも地球の方が大きいということがわかります。
8月17日の夜明け前に西空で月食が見られます。欠けていく途中で夜が明けて地平線下に沈んでいく部分月食として見られるめずらしい現象です。
最初に欠けた様子が分かるようになるのは午前4時半を過ぎたころで、その時の月の高度角は15度くらい。西空の視野が開けたところで見ましょう。
月食の食分が進行すると同時に月の高度角も低くなっていきますので、だんだん見づらくなるかもしれませんが、お天気が良ければ西の地平線に沈むまで観察したいものです。月が地平線に沈む6時ころには、3分の1くらいが欠けた状態となります。

月食の様子は肉眼でも観察できますが双眼鏡を使って観察しますと、よりはっきりと確認できます。
ちょうど日曜日の朝ですし、早起きして地球の影に入る月の様子を楽しみましょう。

8月の天文情報

今月は8月17日の月食のほかに有名な天文現象として、8月12日に極大日を迎えるペルセウス座流星群があります。その日は月齢が約11で月明かりがあって夜空が明るいものの、明るい流星は問題なく見られることでしょう。
こよみでは、今年は8月1日が旧暦(太陰暦)の7月1日に相当し、8月7日は旧暦の7月7日七夕となります。
また、お盆も旧暦のお盆がちょうど月遅れのお盆と重なっています。旧暦では日にちと月齢が関係しており、月のはじめ(1日)が新月、15日がほぼ満月となっていましたので、お盆のときに必ず満月を迎えるものでした。現在のこよみは太陽暦を用いているので、お盆と月齢とは関係ありません。したがって、現在は、ちょうど満月とお盆が重なることはそう多くはありません。しかし、今年は先ほどのべたように、月遅れのお盆(8月15日前後)が旧暦の7月のお盆と重なっています。

仙台では、毎年月遅れの8月7日をはさんで七夕祭りがおこなわれますが、今年はちょうど旧暦の七夕と日程が合致しています。写真のとおり吹き流しが美しい伝統的なお祭りで毎年多くの人手があり、とてもにぎわいます。

電燈のなかった時代には盆踊りが満月に照らされて行なわれるということに意味があったことがわかりますね。
今月は、天文現象以外にこよみのお話もさせていただきました。昔の文学などを読むときに、旧暦と月齢のことが頭に入っていると役に立つことがきっとありますよ。

曜日 月齢 天文現象など
1 29.0 新月、やぎ座流星群の極大
2 0.7  
3 1.7 月が土星の南を通過
4 2.7 月が天の赤道を通過(南半球へ)
5 3.7  
6 4.7 みずがめ座ι流星群南群の極大
7 5.7 旧暦の七夕、立秋(二十四節季)
8 6.7  
9 7.7 上弦の月
10 8.7  
11 9.7 月の距離が最遠
12 10.7 ペルセウス流星群が極大
13 11.7 月が木星の南を通過
14 12.7 土星と金星が最接近
15 13.7  
16 14.7 土星と水星が最接近
17 15.7 満月、部分月食(月没帯食)
18 16.7  
19 17.7 はくちょう座流星群の極大
20 18.7 みずがめ座ι流星群北群の極大
21 19.7 金星と水星が最接近
22 20.7  
23 21.7 処暑(二十四節季)、水星が金星の南を通過
24 22.7  
25 23.7 月の赤経が最北
26 24.7 月の距離が最近
27 25.7  
28 26.7  
29 27.7  
30 28.7  
31 0.3 新月

 

8月の星座案内

夏の空は天の川が天頂を流れ、夏の大三角を中心に夏の星座が輝いています。
星座をみつけるときは、夏の大三角の星座(こと座、わし座及びはくちょう座)を最初にみつけ、続いてその大三角の周りにあるヘルクレス座、かんむり座、いるか座などをみつけましょう。
次に南の空に目をやり、さそり座、いて座をみつけましょう。特にいて座には木星が明るく輝いていますので、わかりやすくなっています。このふたつの星座がみつけられたら、その付近にあるへび座とへびつかい座、天の川の中のたて座、さそり座の西にあるてんびん座などをみつけましょう。夕立のあがったあとの澄んだ星空のときは、つくば市近郊でも天の川をみつけることができます。今年の夏はぜひ、天の川の発見?にチャレンジしてみませんか。

8月の星座案内図

星図(黒地) 星図(白地)

※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。

※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュレーションソフトステラナビゲータVer.8から出力し、加工したものを使用しています。

2008年8月7日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。