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つくばでバードウォッチング 片山 秀策

第5回 里山でバードウォッチング

つくば市は常総台地の上に開けた街です。つくば市の中心部は研究学園都市になる前は、松林や雑木林の中に畑とため池が散在していました。地元の人たちは、松林や雑木林を「山」と呼んで、落ち葉を集めて肥料に使って農業をしたり、木を切って炭にしたりしていました。平地なのに「山」というのは不思議ですが、木が沢山生えている場所という意味なのかも知れません。また、台地の下から見ると山のように見えるので、山なのかもしれません。このような場所を関東では「里山(さとやま)」といいます。

里山は、いろいろ動植物が暮らしていて、自然の豊かなところでした。ですが、高度成長期以降は、住宅地や工業団地に造成されてどんどん無くなっています。幸いなことにつくば市周辺には、昔の面影を残した里山がありますし、公園になっていたり、研究所の中だったりして一部残っているところもあります。

里山は、雑木林、杉や檜の林、水田、畑、竹林、笹やススキなど多様な環境ですから野生生物の博物館のようになっていて、多くの種類の野鳥も暮らしています。さて、そんな冬の里山でバードウォッチングをしてみましょう。

雑木林

雑木林に入ると、頭の上の方で「ジュリ、ジュリ」という声が聞こえてきます。エナガです。エナガがどんどんと移動していくと、「ギー」と鳴いて日本で一番小さなキツツキのコゲラや「ツピ、ツピ」とシジュウカラメジロなどいろいろな野鳥がエナガの後を追って出てきます。地面近くの植え込みから「チッ」と鳴いてアオジが飛び出してきます。「チャッ、チャッ」と舌打ちをする声はウグイスです。冬の間の鳥たちは、外敵に狙われないように、目立たない小さな声を出します。さらに奥に進むと、青い色の小鳥ルリビタキが飛び出してくるかもしれません。 コゲラ
コゲラ

アオジ
アオジ
ルリビタキ
ルリビタキ

木の上ばかり見ないで、地面を見ると、鳥の羽がひとかたまりになって落ちているのを見つけることがああります。これは、オオタカツミといった猛禽が小鳥を食べた跡です。冬の里山は、タカの仲間も冬越しにきているのです。

農業用のため池があれば、マガモコガモといったカモ類も見ることができます。ススキやセイタカアワダチソウの穂につかまって、小さな小さな種を食べるカシラダカやカワラヒワなどをみることができます。ススキの種はとても小さいので、これでお腹一杯にするのは大変だろうなと、いつも思います。

ぶらぶらと双眼鏡を首から下げて散歩してみると冬の里山では20種から30種の野鳥に出会うことができます。休日の午前中ちょっと早起きして出かけてみませんか。

つくば市周辺で一番バードウォッチングに適している里山は、つくば市に近接している土浦市の宍塚大池とその回りの地域です。一人で鳥を探すのもいいのですが、道に迷うといけませんので、毎月開催されている探鳥会に参加するのが良いと思います。一度、道が判れば、一人で回ることができるようになります。

宍塚大池では毎月の第三土曜日の午前9時から、『日本野鳥の会茨城支部』と『宍塚の自然と歴史の会』主催の探鳥会が開催されています。集合場所は土浦学園線の時代亭駐車場の隣です。

【ワンポイント・メモ】弱ったり傷ついた野鳥を保護したら
散歩をしていると弱ったり傷ついた鳥を見つけることがあります。どうしたら良いと聞かれることが良くあります。

怪我をした鳥は、傷が治っても大部分は障害が残り、自然の中で暮らすことは難しくなります。そうなると一生カゴの中で死ぬまで暮らすことになります。それが野生の生き物にとって幸せとはいえないでしょう。障害を持ったまま自然に戻すと、直ぐに他の動物のえじきになって死ぬことになります。

ですから、自然の中では自然の摂理に任せて、そのままにしておくのが一番だと思います。

どうしても助けたいという場合には、獣医さんに見てもらうことになりますが、普通の獣医さんでは野生動物を治療することは難しい場合があります。まず、県南総合事務所環境保全課(029-822-8511 内359)に相談して下さい。搬入先などを教えてくれます。

野鳥を保護する時には、小さくても野生動物ですから、不用意な扱いで事故になることがありますので、次のことを注意して下さい。
○サギなどを保護する時には、鋭い嘴で目を攻撃されることがあります。大きな布で鳥の顔を覆うなど注意して
○白鳥などの大きな野鳥は、羽の力が非常に強いので、注意しなければ、保護しようとしてあごの骨を骨折するといった事故になります。
○タカなどは嘴、足の力が強いので、注意して下さい。皮手袋をはめるといった注意も必要です。
○野鳥にはダニ、ノミなどの寄生虫がいますので、触った時には必ず手洗を洗って下さい。

2005年2月14日

片山秀策さんのプロフィール


北海道で暮らしていた時に、庭に来る鳥を見てバードウォッチングに開眼して以来、野鳥の虜に。

死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。

日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事