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つくばでバードウォッチング 片山 秀策

第11回 真夏のバードウォッチング

最高気温が30度を越える暑い毎日が続いています。この時期は鳥たちも、日の出、日の入りころの涼しい時間に動き回って、昼間は暑さにぐったりとして、あまり活発に活動しません。ハシボソガラスが、まるで犬のように口を開けて、体を冷やしています。池の上を飛んでいるツバメは、飛びながら水浴びをしています。失敗すると溺れるのではないかと心配になります。

朝起きが苦手で、暑さに弱いバードウォッチャーにとって、この時期は夏休みになってしまいます。でも、子供とキャンプに行ったり、帰省する時には双眼鏡は忘れずに持って行きましょう。きっと、今までと違った鳥との出会いがあるかもしれません。ただし、真夏のバードウォッチングは、日射病に気をつけて、帽子、水の用意を忘れないようにしましょう。

県北の海岸では、沢山のトビやウミネコに会えます。つくば市で、トビは冬に数羽見られるだけで、夏は珍しい鳥になります。茶色のセグロカモメの若鳥がいるかもしれません。カモメは白いきれいな姿になるには2、3年かかり、その間は茶色の目立たない姿で、種類を見分けるのが難しことがあります。図鑑を見ると第一回夏羽、第二回冬羽といった図が載っていると思います。

那珂川や久慈川の上流では、黒と白の鹿の子模様の大きなヤマセミが魚を捕る姿を見ることができます。運が良ければ渓流に浮かぶオシドリに会えるかも知れません。オシドリの繁殖地は、山の中の渓流で、木の洞で産卵します。この時期のオシドリは雄も雌と同じ羽色になって、地味なので判らないかも知れません。

鹿島灘の砂浜や波崎の海水浴場の外れで人のいない場所に、カモメに混じってアジサシの仲間を見ることができます。アジサシの亜種の足の赤いアカアシアジサシ、嘴と足が紅色のベニアジサシ、運が良ければ北極圏で繁殖して南極圏で越冬するキョクアジサシに会えるかもしれません。アジサシ類は北から南へ移動中なので、このほかにも珍しいアジサシを見ることができるでしょう。 ベニアジサシ
ベニアジサシ 撮影:明日香治彦(竜ヶ崎市)

コジュリン
コジュリン 撮影:明日香治彦(竜ヶ崎市)
霞ヶ浦周辺はオオヨシキリも鳴かなくなって、随分静かになっています。でも、浮島周辺ではコジュリンがまださえずっています。田んぼの中の電線に、沢山ツバメが止まっているのを見つけたら、よく見て下さい。背中の色が普通のツバメよりも茶色っぽい色で、喉の部分が白ければショウドウツバメです。ショウドウツバメは、北海道で繁殖して、途中で栄養をつけながらベトナム方面へ移動していきます。頑張れよと声をかけたくなります。

利根川周辺の水田は、8月中旬から稲刈りが始まります。そんな水田地帯の雨水が溜まった休耕田には、シベリア方面で繁殖を終え、南へ移動中のオオジシギ、ウズラシギ、アオアシシギ、オオメダイチドリ、ツバメチドリなどシギ・チドリの仲間が羽を休めています。遠くはオオストラリアに向かって旅立っていきます。シギ・チドリの種類を見分けるのは、ちょっと難しいのですけれど、とても珍しい種類を見つけるのを楽しみにしているバードウォッチャーが沢山います。

オオジシギ
オオジシギ 撮影:明日香治彦(竜ヶ崎市)

8月の末には、モズが避暑地の山から戻ってきて、木のてっぺんで「キィー、キィー、キチキチ、キチ」と高鳴きし始めるます。モズが帰ってくると夏休みも終わりです。

【ワンポイント・メモ】野鳥の写真を撮る その1

バードウォッチングをしていると、野鳥を見た記念に写真を撮りたくなってきます。野鳥の写真というと、大きな望遠レンズを付けた一眼レフのカメラで撮影するのが普通でした。でも、望遠レンズが数十万もするので、誰でもが簡単にということはできませんでした。

ところが、コンパクトデジタルカメラと野鳥観察用の望遠鏡を使って野鳥を簡単に撮影できる方法が普及してきました。それは、「デジスコ」と呼ばれる方法で、望遠鏡の接眼レンズにデジタルカメラのレンズを押しつけて撮影するというものです。デジタルカメラの液晶画面で、被写体の状態を確認でき、撮った画像をその場で確認できるというのも利点になります。

望遠鏡の接眼レンズとデジタルカメラのレンズの中心を正確に合わせなければいけないので、以前は自分で色々な道具を工夫して作っていましたが、今では色々な望遠鏡やデジタルカメラに合わせたアタッチメントが市販されています。

記念写真だけですと、携帯電話のカメラで撮影することもできます。見たぞという程度の写真を撮影することができます。

詳しいことは「デジスコ」写真に関するサイト、例えば、野鳥写真研究室http://www.digisco.jp/)やデジスコドットコムhttp://www.digisco.com/)などが沢山ありますので、そちらをご覧下さい。

2005年8月8日

片山秀策さんのプロフィール


北海道で暮らしていた時に、庭に来る鳥を見てバードウォッチングに開眼して以来、野鳥の虜に。

死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。

日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事