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つくばでバードウォッチング 片山 秀策

第35回 鳥の衣更え−換羽−

立秋が過ぎたとたんに、猛暑になりました。最高気温の観測値の日本記録が、40.9℃と73年振りに更新するなど、35℃以上の猛暑日が続いています。

道路を走っていると、時々鳥の死骸が落ちているのを見ることがあります。これは、経験の浅い若鳥が、道路でエサを食べていたり、道を横切ろうとして、車に轢かれたり、衝突死したのでしょう。今年生まれた若鳥は、色々な経験を積んで生き残っていくのです。

人は猛暑に耐えていますが、鳥も暑さに強いわけではなく、じっと耐えています。鳥は、犬と同じように汗腺の発達の悪いので、、暑い日には口を開けて、ハーハーと呼吸をして、体温を下げています。

このような暑い日の、バードウォッチングは、木の葉が茂って鳥が見にくいだけでなく、鳥の動きも活発ではないし、それよりも熱中症の心配もあるので、ちょっとお休みしましょう。

今回は、鳥の換羽(かんう)を取り上げたいと思います。換羽というのは、古い羽根を新しい羽根に交換することです。夏には、きれいな繁殖羽(夏羽)から、目立たない非繁殖羽(冬羽)に換羽し、冬には非繁殖羽から、繁殖羽に換羽します。

鳥によって、スズメやカラスのように換羽しても、羽の色や模様が変化しないものや、カモのようにはっきり変化がわかるものがあります。

ですから、真夏は換羽の時期に当たります。道を歩いていて、写真のようなカラスの羽根が落ちているのを見たことがありませんか。この羽根が換羽のために、抜け落ちたものです。鳥の羽根を抜いてみると判りますが、死んだばかりの鳥の羽でも、手で抜くことができないくらいしっかりと皮膚の中に固定されています。ですから、自然に抜け落ちるのは、換羽の時しかありません。

他の小鳥も換羽していますが、羽根が小さくて軽いので風に飛ばされたり、雨に流されてしまうので、なかなか見つけることができません。カラスの羽根も、大きな風切り羽や尾羽が残るので、見つかるわけです。

空を飛んでいるカラスやトビの羽が抜けているのを見ることがありますが、これも換羽の途中です。時には、タカに襲われたり、仲間と争って羽が折れることがありますけれど、それほど頻繁にあるわけではありません。

一度に換羽すると、飛ぶことができなくなるので、少しずつ生え替わります。しかし、風切り羽など飛ぶのに必要な部分が換羽する時には、やはり飛ぶ力が弱くなるので、危険なこともあるようです。

こんどカラスが、飛んでいるのを見つけたときに、羽が抜けている個体がいないか探してみてください。

2007年8月20日

片山秀策さんのプロフィール


北海道で暮らしていた時に、庭に来る鳥を見てバードウォッチングに開眼して以来、野鳥の虜に。

死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。

日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事