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つくばでバードウォッチング 片山 秀策

第38回 バードフィーダーと巣箱

師走も終わりに近づき、寒さが厳しくなってきました。北国で雪が積もり始めて餌が採りにくくなってきたので、ツグミの仲間やミヤマガラスなどが雪のない茨城県内に戻ってきました。

冬になると餌が少なくなるので、鳥達は餌探しが大変になります。特に寒さに耐えるためには栄養価の高い脂肪分の多い餌が必要になります。寒くて餌が不足する年には、越冬できず死んでしまう鳥もいます。

そこで、庭に「バードフィーダー(餌台)」を設置して給餌することがあります。「バードフィーダー」には市販のものがあって、ネット通販などで買うことができますが、簡単に手作りできますので、ネットで見本を探して作るのもよいでしょう。100円ショップの家庭用品を利用して「バードフィーダー」を作ることもできます。


こんな簡単な「バードフィーダー」でも大丈夫です。
ペットボトルの給餌器もあります。

木の枝にリンゴやミカンを刺して置くと
ヒヨドリやメジロが来てくれます。

「バードフィーダー」には、野鳥を非常に近くで見ることができるというメリットがあります。

設置する時の注意としては、
1)高さは猫対策として地面から最低1.5m以上にします。
2)周囲に野鳥が隠れたり、安全を確認するための止ま木がある場所に設置します。
3)餌の食べ残しや糞が残らないように清掃します。
4)野鳥には人と共通の病気がありますので、餌台を触ったときには、手を石けんで洗います。
5)給餌は厳冬期だけにして、暖かくなったら中止します。

集合住宅のベランダなどに「バードフィーダー」を設置する場合には、鳥が餌を食べる前後にベランダの手すりや物干し竿にとまるので、糞が洗濯物についたりしますので、近所の理解が必要です。

「バードフィーダー」には、主にヒマワリの種、牛脂、リンゴ、ミカン、ジュースなどを野鳥の餌として提供します。アメリカなどではバードケーキという手作りの餌を使うことが多いようです。

「バードフィーダー」を設置して餌を入れておいても直ぐに鳥が来てくれません。初めは、アワやヒエなどを多めに入れて、人の近くに暮らすスズメに来て貰うと、安全を確認して他の野鳥が来るようになります。

餌は、過剰に提供することは避けて、自然状態で餌を探すことを前提に、栄養補給程度にします。給餌しすぎは、太りすぎで飛べなくなったり、春になっても渡らない鳥がでてくるなど、色々な問題があります。実際、上野公園では、カモなどに給餌を禁止することになっています。

この巣箱で3年連続で
シジュウカラのヒナが
巣立ちました。

今回は巣箱についても書いておきます。よく5月のバードウイークに巣箱を設置するセレモニーがありますが、実際に鳥が巣箱を探して、使い始めるのは、冬なのです。ですから、巣箱を取り付けるのは、真冬それも、12月から1月が適しています。

巣箱も市販のものがありますが、簡単に手作りできます。

巣箱の設置場所は、空から巣箱が判りにくく、巣箱の前方が開けていて、近くに別の木がある場所が最適です。鳥は、巣箱に入る前に一度木の枝に止まって、周囲を見回して安全を確認してから、巣箱に入るので近くに木が必要なのです。

巣箱は、木を傷つけないように、木の幹にシュロ縄で固定します。巣箱の近くには、カラスがとまることのできるような枝がないことを確かめましょう。足がかりがあるとカラスは巣箱を壊したり、巣立ちビナを襲うことになります。

以前、私の住んでいた家の庭では、巣箱が壊れるまで何シーズンもシジュウカラがヒナを育ててくれました。

2007年12月26日

片山秀策さんのプロフィール


北海道で暮らしていた時に、庭に来る鳥を見てバードウォッチングに開眼して以来、野鳥の虜に。

死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。

日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事