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ちあきの星空コラム

第85回 夏の夜空は流星がいっぱい (2010/08/04)

夏の夜空は流星がいっぱい

流星

流星はいつ、どの方角に流れるか予想がつきませんが、連続して夜空を見ることによって見ることができます。

夏の夜空は流星がいっぱい毎年夏には流星が多く見られます。 

夏場に流星が多い理由は、地球の公転軌道上で毎年夏にさしかかる空間にダストが多く、そのダストが流星の元となって、地球軌道に突入したときに発光して流星となるからなのです。ダストは、彗星から放出されたダストで、宇宙空間に帯状に存在していて、それぞれのダストの帯ごと流星群として名称が付けられています。 

夏に見られる流星群
流星群の名称見られる時期ピーク特徴など
やぎ座流星群7月12日~8月15日7月30日流星数はさほど多くはないものの、長期間見られます
みずがめ座δ南流星群7月12日~8月19日7月28日明るい流星には流れた直後に痕跡が輝いて見えることがあります
ペルセウス座流星群7月10日~8月24日8月13日1年を通して最も活動の活発な流星群といわれています
はくちょう座流星群8月3日~8月28日8月18日月遅れのお盆の後はこの流星群が見られます

ペルセウス座流星群は1時間に50~60個くらい流れる

8月12日の夜から13日の明け方までがペルセウス座流星群の流れるピークとなり、1時間に50~60個くらい流れるだろうと予想されています。

じっさいの流星観察では、まち明かりがあったり雲が流れていたりして、必ずしも最高の条件とは言えないかもしれませんが、それでも自分の目で1時間に20~30個の流星が見られるとしたら、感動ものです。 

夜空のあちこち、どこに流れるかは見当がつきませんので、東の空が開けている場所では東を、南が開けていれば南の上空を眺めて流星を待ちましょう。 

ベランダから見る場合は、部屋の明かりを消して観察するといいでしょう。 

なぜ、ペルセウス座流星群っていうの?

いくつかの流星を観察するとある一定の方向から流れてくることに気がつきます。 

ペルセウス座流星群では、秋の星座ペルセウス座の方角から流れてくることがわかります。 

はくちょう座流星群でははくちょう座の方向から、みずがめ座流星群ではみずがめ座の方向から流れてくることを実感できることでしょう。 

また、そうした法則を持たない流星は、流星群に属していない流星ですが、そうした流星を散在流星と呼んでいます。 

散在流星も案外見ることができますので、たとえば、1時間見たら、ペルセウス群が15個、散在が4個といったように数えた内容を整理すると立派な観測記録になります。お子さんの夏休みの自由研究のテーマにできるかも知れませんね。 

写真に撮ってみる

デジタルカメラでマニュアル制御のできるカメラをお持ちの方は、数秒以上の露光で夜空を撮影すると、星と一緒に流星が写り込むことがあります。1コマではなかなか写りませんが、何コマが撮影する中に、流星が写り込む可能性があります。 

もちろん三脚にセットして夜空にカメラを向けて固定して撮影する必要があります。 

本格的には一眼レフカメラを使ってカメラを夜空に向け、ピントは∞マーク、絞りは開放(F数値がもっとも明るい数値)に合わせ、B(バルブ)シャッターで数秒から数十秒程度の露光により撮影しましょう。 

何十コマと撮影しても写らないこともありますが、運が良ければ流星が星座の中を突き抜けるように流れた瞬間が写るかも知れません。 

銀塩フィルムの古い一眼レフカメラでも撮影可能で、この場合はデジタルカメラのように数秒から数十秒でなく、数分間の露光をかけてその間に流星が入ることをねらいます。 

もし、写すことができたら宝物になりますよ。ぜひ、チャレンジしてみてください。 

はやぶさの帰還

すでに新聞やテレビの報道などで話題となっていますが、JAXA(宇宙航空研究開発機構)で2003年5月9日に鹿児島県内之浦からM-Vロケットで打ち上げに成功した小惑星探査機「はやぶさ」(打ち上げ後に「はやぶさ」と命名)は、小惑星イトカワから地表のサンプルを取るためにタッチダウンを行いましたが、その後、通信が途絶えたり、エンジントラブルなどで、帰還が危ぶまれていました。 

しかし、JAXAの懸命な努力の結果、今年の6月13日に幾多の試練を乗り越えて地球に戻ってまいりました。はやぶさの本体は地球に再突入の際に大気との摩擦で燃え尽きましたが、回収を目的としていた再突入カプセルはオーストラリアの砂漠に予定通り落下して、無事回収されました。 

再突入カプセルはつくばでも8月2日から6日まで、筑波宇宙センターで特別展示されましたので、見学された方もいらっしゃることでしょう。私も公開初日に見学に行きましたが、再突入カプセルの外皮にあたる前面ヒートシールドが再突入の際に熱で真っ黒に変色しつつも高熱に耐えた様子を垣間見ることができて、「おかえりなさい!はやぶさ」とつぶやき、感動の対面となりました。 

はやぶさでは次期計画も「はやぶさ2」として計画されているようです。はやぶさでの経験を生かし、さらに技術を進歩させて大きな成果を上げることを期待したいと思います。 

詳細はJAXAのホームページをご覧ください。 

夕空の金星を撮る

霞ヶ浦の向こうに見える夕闇迫る西空に細い月とその上空に輝く金星の姿、8月は14日の夕方が細い月と惑星を一緒に眺められるチャンスです。今度こそ晴れますように!

先月のコラムでは、牛久沼から撮影した月と金星の写真を披露させていただきましたが、今月は、霞ヶ浦湖畔から撮影した月と金星です。 

今回の撮影は7月14日でしたが、予報では夕方の西の空に月と水星、金星、火星そして土星が見られるチャンスでした。ところが、西空は低空に雲が漂い、残念ながらその全容を見ることができませんでした。月と金星は煌々と輝いて美しく見られただけにちょっと残念でした。なお、金星は、9月半ばまでは夕方の西の空に見ることができます。 

デジタルカメラで簡単に撮影できますので、見ることを楽しむと同時に撮影にもチャレンジしましょう。8月では、8月14日が月と金星が接近するシーンを撮ることができます。今度こそ快晴の空で撮りたいと思っています。 

8月の天文情報
曜日月齢天文現象など
20.3 
21.3 
22.3下弦の月
23.3 
24.3月とプレアデス星団が接近  
25.3みずがめ座ι(南)流星群が極大 月が最北
26.3立秋(二十四節気)
27.3土星と金星が最接近
28.3夕空に水星、金星、火星、土星が接近(西天)
109.3新月
111.0月の距離が最近
122.0みずがめ座δ(北)流星群が極大 月が赤道を通過(南半球へ)
133.0ペルセウス座流星群が極大
144.0細い月と水星、金星、火星及び土星が夕方の西空に集合
155.0 
166.0伝統的七夕(旧暦7月7日)
177.0上弦の月 
188.0はくちょう座κ流星群が極大
199.0月が最南 火星と金星が最接近
2010.0みずがめ座ι(北)流星群が極大
2111.0 
2212.0 
2313.0処暑(二十四節気)
2414.0 
2515.0満月
2616.0月が赤道を通過(北半球へ)
2717.0 
2818.0 
2919.0 
3020.0 
3121.0 

8月の星座

8月は夏の星座を観察するのに最適な時期です。今年は上旬の方が月明かりの影響が少ないので星座観察が容易にできます。 

夏の代表的な星座は、夏の大三角で有名なこと座、わし座、はくちょう座のほかに、天高く見えるのは、ヘルクレス座、かんむり座、や座やいるか座などです。 

海や山へ出かけるチャンスには、満天の星空を堪能しましょう。天の川を見るなどの目標をたてて出かけるのも手です。 

星座早見盤または星図をたよりに多くの星座をみつけましょう。

8月の星図(黒)

8月の星図(黒)

8月の星図(白)

8月の星図(白)

※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。
※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュ レーションソフトステラナビゲータ.8から出力し、加工したものを使用しています。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。