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ちあきの星空コラム

第97回 88星座めぐり (2011/08/03)

全天で88個の星座

夜空を飾る星々を結んでつくる星座は、全天で88個あります。
星座の起源はメソポタミア文明にあるといわれていますが、紀元前から古代の中国でも星宿という独自の星座があり、日本の古墳の壁画などにも星宿の図が残っていることはご存知の方が多いことと思います。しかし、一般に私たちにとって星座の話で人気があるのはギリシャ神話で、現在の星座と一致している星座が多くありますので、とてもなじみ深いといえます。
現在の星座は、天文学上は空の領域ととらえ、一定の区画の範囲を呼ぶ名称ですが、星々を結んで星座のかたちを天にみつけるのが私たちの星座の楽しみ方といえます。また、星座や星空には、科学だけでなく文学や音楽など、星空を眺めてさまざまな創造力がわいてくるエネルギーを感じます。
全天88星座のうち、日本国内から完全に見ることができない星座は4個(カメレオン座、テーブルさん座、はちぶんぎ座及びふうちょう座)しかなく、あとは、それぞれの星座の全体あるいは部分を見ることができます。
そうはいっても現実問題として、長い日本列島では北海道と沖縄県では南天の見える範囲に大きな開きがあり、見える星座の数も異なります。本州付近ではおおよそ60個くらいの星座がみつけられることでしょう。
四季を通じて60個くらい見られるということは、春夏秋冬に分けるとひとつの季節の星座は、約15個程度ということになります。

夏の南天の星々と天の川

夏の南天の星々と天の川

夏の星座は15個見られる

では、夏の星座はいくつみられるでしょう?
私は先日、星空の中でじっさいに全容が見られる星座をさがし、数えてみたところ、かんむり座、ヘルクレス座、や座、こぎつね座、いるか座、はくちょう座、こと座、わし座、へびつかい座、へび座、たて座、いて座、みなみのかんむり座、さそり座、てんびん座それに北の空のりゅう座を加えて16個となりました。
これらの星座を、夜空でみつけて覚えていこうとするとき、一晩に5個程度みつけると仮定して3夜で全部みつけられることになります。もちろんそのためには星座早見や星図を用意して夜空を仰ぎ、星座探しをおこなう必要がありますが、楽しみながら星座をさがし、夏休み期間中に夏の星座を全て制覇することはそんなにむずかしいことではありません。
同様に秋にも星座をみつけ、冬にも星座をみつけるといった風に来年の春までときどき星座探しをおこなえば、日本から見られる星座を1年間ですべて見つけられるようになることでしょう。
1年をとおしてゆっくりと星座をさがすきっかけをこの夏から始めてみませんか。
星座早見などえお用意して星空さがしの楽しみをぜひはじめましょう!

旧暦の七夕まつり

今年は、8月6日が旧暦の七夕(7月7日)にあたります。仙台市ではちょうどこのころ七夕まつりがおこなわれていますが、全国的にみても、仙台のように現在の暦の7月7日でなく、月遅れの8月7日の頃を七夕まつりとしている地域があります。
月遅れの七夕の方が、旧暦の七夕と日にちが近いし、全国的に梅雨も明けて夏真っ盛りの時期ですから、お祭りとして望ましい気がします。

仙台で8月におこなわれる七夕まつりの様子

仙台で8月におこなわれる七夕まつりの様子

旧暦の七夕は、必ずしも月遅れの8月7日とは重なりませんが、概ね日にちが近いといえます。また、旧暦では太陰暦を用いていましたので、月の満ち欠け(月齢)と日にちが一致し、新月のときは、月の始まり、満月の時はひと月の真ん中である15日前後となりました。ですから、日にちだけでおおよその月齢がわかるものでした。
したがって、七夕の7月7日は月齢7頃で、上弦の月の姿が見られました。その月は星座でいうと南のさそり座付近に位置し、天頂付近では七夕の星(こと座のベガとわし座のアルタイル)が見られたのでした。
今月は8月6日が旧暦の七夕、8月7日は月遅れの七夕ですから、2日間の七夕が楽しめますよ!
私は、8月5日から7日まで「サマーホリデーin原村星まつり」(長野県原村で開催)に出かけ、七夕の星をはじめ、夏の星空を満喫しようと思っています。

今年のペルセウス座流星群は?

毎年、夏にはペルセウス座流星群を筆頭に多くの流星で夜空がにぎやかになります。今年のペルセウス座流星群は、8月12日の夜から13日の朝にかけて極大になり、多くの流星を見せてくれることでしょう。
ただし、今年は月明かりが明るく、満月に近い月齢13の月が夜空を照らしていますので、透明度の高い高原などで観測する方が暗い星まで見えて有利だといえます。
8月は、そのほかの流星群も数多くの流星を見せてくれますので、下表の「8月の天文情報」の中に書かれている流星群の極大の頃をねらって、流星ウオッチングを楽しむといいでしょう。

8月の天文情報

曜日月齢天文現象など
1.3やぎ座α流星群極大
2.3月が天の赤道を通過(南半球へ)
3.3月の距離が最近
4.3
5.3
6.3上限の月 旧七夕(伝統的七夕、旧暦7月7日)
7.3みずがめ座ι南流星群が極大
8.3立秋(二十四節気)
9.3月の赤緯が最南
1010.3
1111.3
1212.3みずがめ座δ北流星群極大
1313.3ペルセウス座流星群が極大
1414.3満月
1515.3
1616.3月が天の赤道通過(北半球へ)
1717.3
1818.3はくちょう座κ流星群が極大
1919.3月の距離が最遠
2020.3みずがめ座ι北流星群が極大
2121.3
2222.3下弦の月
2323.3処暑(二十四節気) おうし座κ星(4.1等星)の食 月の赤緯が最北
2424.3
2525.3
2626.3
2727.3
2828.3
2929.3新月
301.0月が天の赤道通過(南半球へ)
312.0月の距離が最近

8月の星空

星座を探すのには満月の頃は適しませんが、今月はちょうど月遅れのお盆の頃が満月に相当しますので、星座をさがしは8月上旬か下旬が適しています。
台風一過の青空や夕立後の晴れ間から、夏の星座をさがしましょう。夏の星座は、夏の大三角を構成すること座、わし座、はくちょう座をみつけ、その周辺の星座であるヘルクレス座やかんむり座、いるか座などをみつけると探しやすく、南の空にはさそり座、いて座、へびつかい座などが輝いています。
夏空にきらきらと輝く星の姿をゆっくりと楽しみましょう。

8月の星空(背景黒)

8月の星空(背景黒)

8月の星空(背景白)

8月の星空(背景白)

8月中旬の午後9時前後の星空です。月及び月明かりの影響は省略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。この星図及び本コラムでは、アストロアーツ(株)の許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ9」から加工した星図を使用しています。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。