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ちあきの星空コラム

第101回 皆既月食 (2011/12/02)

12月10日に皆既月食

月が欠けていく様子

月が欠けていく様子

皆既月食の様子

皆既月食の様子

すっかり空気が冷たくなり、冬の星空が見られる季節となりました。
今月の見ものは、12月10日(土)に見られる皆既月食です。土曜日の夜ですから夜更かしをして11年ぶりに好条件で見られる月食を観察しましょう。
月食の進行の様子を下図に示します。月が地球の薄い影に入る半影食の始まりは20時30分頃。暗い影(本影)による欠け始めは21時45分頃になります。
その後、月は徐々に欠けて23時5分頃には本影に月がすっぽりと入ってしまう皆既食になります。この状態のときは月全体が真っ暗になるのではなくて赤茶けたような色(赤銅色)に見えることが多いのですが、皆既食のたびにその明るさが異なります。これは地球大気に火山噴火などの影響による塵などが影響しているといわれていますが、今回はどのような見え方になるのでしょうか。
皆既食は約53分間続いて23時58分頃に終了し、その後は部分食の月が徐々に欠け具合を減らして通常の明るさに戻ってきます。本影食の終了が11日1時18分頃、半影食の終了が2時31分頃となります。
長い時間の観察になりますので、休憩をとりながら気楽に見るといいでしょう。皆既食中の月の色など印象に残ったことはぜひ、日記やメモなどに記録しておくといいでしょう。

皆既月食の様子

月食観察は午後9時過ぎからはじまり、翌日の午前2時前に終了するといいでしょう。月が全面的に地球の影に入る皆既中でも、赤黒くうっすらと月の姿を見ることができます。肉眼でも充分観測が可能ですが、双眼鏡か天体望遠鏡があれば、さらに月面の詳細な地形を含めて観測ができます。(本図は㈱アストロアーツの許諾を受け、ステラナビゲータ9から出力し、加工したものを使用しています)

金星と月の接近

夕空に金星が目立つようになってきましたが、これからの冬の間、毎月下旬頃に三日月と金星が一度に見られる光景を楽しめます。
今月は12月26日から28日にかけて、細い月と金星が接近して見えます。
特に27日には月と金星が大接近して見られ、7×50双眼鏡(倍率7倍、口径50ミリ)を使っても同一視野内にふたつの天体が入ってくるほど接近します。
仕事帰りや通学の帰り道でぜひ、西の空を仰いでみましょう。

流星群は?

12月14日夜から15日の明け方にかけて、ふたご座流星群が多く見られます。
ただし、今年は満月過ぎの明るい月が出ているために暗い流星は見づらく、あまり多くの数を見ることはできないかもしれません。
それでも、日ごろよりは多くの流星が流れる夜ですから興味のある方はぜひ、観測してみましょう。流星の観測には天体望遠鏡などの道具は不要です。肉眼で夜空を見つめ、1時間当たり何個流れたかを数えるだけで立派な観測になります。観測する方角はいずれの方角の空でもかまいません。流星は全天で流れます。なるべくまち明りの少ない方角を選ぶといいでしょう。
寒くならないように暖かい服装でチャレンジしてみてください。

12月の天文情報

曜日月齢天文現象など
5.9
6.9上弦の月
7.9月が赤道通過(北半球へ)
8.9
9.9
10.9月の距離が最遠
11.9大雪(二十四節気)
12.9
13.9
1014.9満月(全国で皆既月食が見られる)  月の赤緯が最北
1115.9
1216.9
1317.9
1418.9
1519.9ふたご座流星群が極大(02時)
1620.9
1721.9月が天の赤道通過(南半球へ)
1822.9下弦の月
1923.9
2024.9
2125.9
2226.9冬至(二十四節気) 月の距離が最近
2327.9天皇誕生日 水星が西方最大離角
2428.9月の赤緯が最南
250.4新月
261.4
272.4月と金星が大接近
283.4
294.4
305.4月が天の赤道通過(北半球へ)
316.4

12月の星空

12月の星空は、木枯らしの吹く寒い中ですが、空気がとても澄んで星が明るく感じられます。午後9時頃はまだ西の空に秋の星座が見えますが、東の空はすっかり冬の星座に様変わりしています。
おうし座にあるプレヤデス星団は頭上に宝石のごとくきらきらと輝き、また、冬の星座と秋の星座を分けるように、天高く木星が輝いています。
冬の空には1等星が多く、オリオン座にある1等星のベテルギウスとリゲルをはじめ、ぎょしゃ座のカペラなどみつけましょう。
星座さがしは、月明かりの少ない時期(12月下旬ころ)が適しているでしょう。

12月の星空(背景黒)

12月の星空(背景黒)

12月の星空(背景白)

12月の星空(背景白)

12月中旬、午後9時前後の星空です。月の位置及び月明かりの影響は省略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。この星図及び本コラムで使用している星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ9」から加工した星図を使用しています。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。