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ちあきの星空コラム

第132回 月と惑星 (2014/07/02)

夏空の天の川を見る

星空の中に一見、雲のように見られる夏の天の川

星空の中に一見、雲のように見られる夏の天の川

例年では7月中旬ころに梅雨明けとなり、星空を見るのに適した夜がやってきますが、今年はどうでしょうか。早い時期の梅雨明けを期待したいと思いますが・・・
梅雨明けの晴れた夜空は透明度が高く、晴れた夜が続くことも多いため、梅雨明け後の夜空は星空を見るのに適しているといえます。
夏の星座の中に見られる天の川は、四季の中で最も濃く見られます。まだ、天の川を見たことがない方も、今年はぜひ天の川ウォッチングにチャレンジしませんか?
都会地では天の川は光害の影響で見ることができませんので、郊外に出かけたときにその存在を確かめましょう。
天の川は、夏の大三角(こと座のベガ、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイルを結んでできる三角形)の中を通り、南の空のさそり座、いて座の方向に見られます。淡く、雲と見まちがうこともあるほどの弱い光ですが、天体望遠鏡や双眼鏡で見ると、その淡い物体が、星々で構成されていることを確認することもできます。とても神秘的なこの光をぜひ、ご自身で見てみましょう。

月と惑星の接近

7月5日に夕空で月を見ますと、月の位置が火星にほど近いところにあることが観察されます。
7月6日になると火星やスピカにさらに近い位置に見ることができます。
7月7日(七夕の日)には今度は土星に近づき、7月8日にはついに土星の東側に移動してしまいます。
下図では、7月6日から8日までの3日間の月の移動と、さらに火星も恒星(スピカ)や土星に比べ、少しずつ動いていく様子がシミュレーションされています。
こうした観察は肉眼ででき、天体望遠鏡などの大げさな装置は不要です。また、双眼鏡を利用して月と惑星や周囲の恒星の様子を観察すると、さらに暗い星を含めて醍醐味のある観察をすることができます。

夕暮れ後の空を眺めて月と惑星の相互位置関係を観察してみましょう

夕暮れ後の空を眺めて月と惑星の相互位置関係を観察してみましょう

明け方見られる月と惑星

明け方にも月と惑星の位置関係を楽しむ日がやってまいります。
7月24日から7月25日にかけて、明け方の南西の空に細い月と金星、水星を見ることができます。
月齢が27前後の細い月として見られ、明るく輝く金星と、地平線からそっと顔を出した水星の姿も見ることができます。
早起きして散歩中などに、こうした光景が見られたとしたら、きっとその日一日いい気分でいられるかもしれませんよ。

7月24日

7月24日

7月25日

7月25日

細い月が見られる2日間、早起きしてみましょう。
シミュレーション画像は午前3時30分過ぎの天体の位置関係をあらわしています
※画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。

7月の天文情報

曜日月齢天文現象など
3.8月の距離が最遠
4.8
5.8
6.8月が天の赤道通過(南半球へ)
7.8上弦の月
8.8月とスピカが大接近、月と火星が接近
9.8小暑(二十四節気) 七夕
10.8月と土星が接近
11.8
1012.8
1113.8月の赤緯が最南
1214.8満月
1315.8月の距離が最近
1416.8
1517.8
1618.8
1719.8月が天の赤道を通過(北半球へ)
1820.8
1921.8下弦の月
2022.8夏の土用
2123.8海の日
2224.8
2325.8大暑(二十四節気)
2426.8月の赤緯が最北
2527.8細い月と金星が接近
2628.8
270.2新月
281.2みずがめ座δ流星群が極大 月の距離が最遠
292.2
303.2やぎ座α流星群が極大
314.2月が天の赤道通過(南半球へ)

7月の星空

7月7日は七夕ですが、この頃はまだ、梅雨の時期にあたり、星空が望めない日が多いのは残念なことです。しかし、絶対見えないということではなく、何年かに一度は星空が望めることもありますので、あきらめずに夜空を眺めてみましょう。ところで、伝統的七夕(旧暦の七夕にあたる日)は、今年は8月2日です。この時の方が星空を眺めやすいのではないかと思います。
7月には七夕の星で名高い織姫星(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)が東の空から昇ってきます。天の川の見られる地域では、天の川の対岸にお互いが位置するベガとアルタイルが輝きを競い合っているようにも感じとれます。
七夕の星以外にも星図を頼りに星座をさがしていくと、多くの夏の星座をみつけることができることでしょう。

7月の星空(背景黒)

7月の星空(背景黒)

7月の星空(背景白)

7月の星空(背景白)

7月20日21時ころの星空です。月の位置及び月明かりの影響は略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。このコラムに用いている星図やシミュレーション画像は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ9」を使用しています

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。