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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第14回 天体望遠鏡がほしい!

宇宙をのぞく窓

星空を見ていると、宇宙の中の一つの星(地球)にいる自分や人類について不思議に思うことがあります。はたして宇宙人はいるのかしら?とか、あの輝く星はどうなっているのだろうか?とか疑問や探求心がわいてきます。
「天体望遠鏡があればいろんな星を見てみたい!特に土星のリング(環)や月のクレータ、星雲、星団の姿などを飽きることなくながめてみたい」・・・こうした思いがあるのではないでしょうか。天体望遠鏡を使えば、惑星の表面模様や星雲、星団だけでなく、二重星の観測や彗星の観測など、いろんな天体を見て楽しむことができます。
宇宙をのぞく窓として、星に興味をもったら天体望遠鏡がほしくなるのは当然のことといえます。

天体望遠鏡は高価?

天体望遠鏡というと、すぐ価格が話題になります。私が講師をする天体観望会でも大人の方から聞かれることで一番多いのが「これ、おいくらですか?」という質問です。
天体望遠鏡は自転車などと違い、日常的に使う実用品ではありませんし、使用する時間もたいていは短いものですから、そうした意味では高価な道具といえるでしょう。
価格的には5万円程度の普及品から何百万円もする高級品まであります。
入門用といわれている格安品は、買うだけ無駄なくらいに性能が良くありませんので、購入したいと思ったら、天文雑誌や天体望遠鏡の本でじっくり調べ、天体望遠鏡専門店でよく相談してから中級品以上の使いやすく、性能の良いものを購入するようにしましょう。

失敗しない選び方

良い天体望遠鏡とは、光学系と架台及び脚部分の両方とも優れているものをいいます。
レンズが高性能でも架台や脚が弱いと目的の星をうまくとらえて追尾することができませんので、さわってもぐらつかない高性能な架台(本格的な赤道儀式と簡易的な経緯台式があります)と脚(三脚式とポール脚式があります)がついたものを買い求める必要があります。
光学系には、大別して屈折式と反射式があります。いずれも一長一短あり、どちらが優れているとは一概にいえませんが、私は主に屈折式を愛用しています。理由は、取り扱いが簡単だからです。
天体望遠鏡では、「これ、何倍ですか?」と聞かれることが多いのですが、倍率はアイピース(接眼レンズ)の交換でいろんな倍率に変換できますからあまり問題にはなりません。むしろ星の光を集める力(集光力といいます)が大きいことが重要で、それは、口径に比例し、口径が大きいほど高い能力をもっています。日本がハワイのマウナケア山頂につくったすばる望遠鏡が口径8.2メートルもあるのは、大口径化して集光力(星などの光を集める能力)を高めることを目的としてこのような大きさになっているのです。
天体望遠鏡の購入をお考えでしたら、屈折式ですと口径10〜12センチ、反射ですと口径15〜20センチクラスのものが大人であれば一人で持ち運びできるサイズの限界となりますので、このクラスのものをお薦めします。
それよりも小型のものは、価格も安く多くの機種が販売されていますが、今後、星見に活用していこうと一念発起で購入されるのであれば、思い切って定評のあるメーカーのある程度の口径をもった、しっかりした架台と脚部のついたものを選ぶようにしましょう。
安易に安物を買わないことが失敗しない上手な買いかたといえます。

秋の星座が見えてきます

9月ともなると空気は澄んで、高い天に星が美しく見られます。天の川を南の空から天頂までたどっていく過程では夏の星座が見られますが、さらに、天の川を北にたどっていくと、ケフェウス座、カシオペヤ座、ペルセウス座、アンドロメダ座、といった秋の星座を見つけることができます。ペルセウス座の二重星団などは天体望遠鏡で観測するとまるで宝石箱のように無数の星々が輝いて美しく見えます。
カシオペヤ座

9月の星空

9月の星空

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この星図は、(株)アスキー、(株)アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト
「ステラナビゲータVer.5」から出力し、加工したものを使用しています。

天体望遠鏡ショップ一覧

東京23区内にある望遠鏡ショップを表にして掲載します

ショップ名 所在地・電話番号 定休日と営業時間
株式会社誠報社
(せいほうしゃ)
〒101-0061 東京都千代田区
三崎町2-9-2 鶴屋総合ビル5階
電話 03−3234−1033
木曜定休日
平日:10時〜19時
日祝日:10時〜17時半
スターベース東京 〒110-0006 東京都台東区
秋葉原5-8 秋葉原富士ビル1階
電話 03−3255−5535
年中無休
11時〜19時
協栄産業株式会社
(きょうえい)
〒101-0041 東京都千代田区
神田須田町1-5 村山ビル1階
電話 03−3526−3366
火曜定休日
10時〜19時
株式会社ニュートン 〒160−0023東京都新宿区
西新宿7-19-5 西新宿OSCビル1階
電話 03−3363−5690
水曜定休日
10時〜19時
コプティック星座館
(せいざかん)

〒160-0022
東京都新宿区新宿6-24-22
電話 03−3207−4101

水曜定休日
火:13時〜18時
月,木〜土:12時〜19時半
日,祭日:12時〜19時

※つくばには専門店はありません

星や天体望遠鏡に関する情報は、このコラムのほか、さまざまなホームページや天文雑誌などで得ることができます。
天体望遠鏡に関する専門知識は「図説天体望遠鏡入門、田中千秋著、¥1,400、立風書房刊」のほか有名書店で専門書をご覧ください。

2004年9月6日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。