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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第29回 冬の星空

寒い冬がやってきました。冬は寒いし、あまり好きじゃないという方もいらっしゃることと思われますが、私はこの季節こそが最も星が美しく輝く時期として大好きです。
人はそれぞれ、冬の印象をお持ちでしょうが星空に関しては折り紙付きで美しい季節ということができます。
今月の星空ですが、夕方の午後6時ころに西の空を見れば、まず、一番目にとまるのが宵の明星(金星)です。現在、−(マイナス)4等星として輝いています。星座に注目してみますと、夏の大三角が西の稜線に沈みゆく直前です。夏の夜空では天頂に見られたはくちょう座が十字架のように北の空に直立しています。つまり白鳥は地上に頭を向けて、沈み込んでゆくように見られます。
天頂付近はどうでしょうか、天頂では秋の四辺形のペガスス座をはじめ、うお座やくじら座などの秋の星座で埋め尽くされています。この季節になりましても秋の星座の観察はまだ十分に可能です。
では、冬の星座はいつ頃見られるかというと、午後9時ころになれば東から天頂にかけて、冬の星座が登場します。すばるのあるおうし座は天高く輝き、オリオン座やおおいぬ座それにふたご座などが東の空から時間の経過と共に昇ってきます。
冬の星座を眺めていますと、秋の星座よりも明るく輝く星が多く、また、木枯らしの吹く季節ですから大気のゆらぎによって星々がチカチカとまたたき、その美しさをさらに引き立ててくれます。おうし座のプレアデス星団(すばる)の近くでは赤々と火星が輝いています。

オリオン座の説明星図
オリオン座の説明星図
オリオン座の写真
オリオン座の写真(星座線を記入しています)
冬の星座の代表格オリオン座は、三つ星を中心に形が整った星座で、みつけやすく最も親しまれている星座といえます

クリスマスツリーのてっぺんには星が

つくばセンターでは今年も12月12日から26日まで、恒例の100本のクリスマスツリーが開催され、約100本のさまざまな趣向を凝らしたツリーが展示され、私たちの目を楽しませてくれます。
そのクリスマスツリーをよく見ると、ツリーのてっぺんには星が飾られています。これは何なのでしょうか?単なる星なのでしょうか?
これはイエス・キリストが誕生したときに輝いたというベツレヘムの星を表しています。「それは現在の星座のどの星?」と問われても不明ですが、100本のクリスマスツリーを夕刻に見学されたあとは、ぜひ、本物の星空を仰ぎ、遠い太古の星空を思い浮かべてみるのも良いかもしれません。
100本のクリスマスツリー

テレビコマーシャルにプラネタリウムの星空登場

今、ネスカフェゴールドブレンドのテレビコマーシャル「違いを楽しむ人」で織田裕二とともにメガスターというプラネタリウム製作者の大平貴之氏が登場しています。
このメガスターはそれまでの常識を覆して410万個の星を投影できる「世界で最も先進的なプラネタリウム」としてギネスブックに今年、登録されたものです。
このプラネタリウムの星空は、日本科学未来館(毛利衛館長、東京都江東区青海)や川崎市青少年科学館(川崎市多摩区)で実際に見ることができます。
コマーシャルではほんのわずかな時間しか星空の映像を見ることができませんが、いつでも見られる小型機がこの大平氏とセガトイズの共同開発でホームスターという商標で今年の夏に発売されました。販売価格は2万円前後ですが、人気商品として品薄となっていて予約注文により私も先月、ようやく購入することができました。デパートや天体望遠鏡ショップなどで販売されています。
実際はどんなものなのか書斎の明かりを消して投影し、確かめてみました。投影する星座の原板は2枚あり、1枚は星座の形を線で結んだ星座線入りで、もう一つは星のみの投影です。天の川も星で構成されており、平らな天井または壁に投影されるようにできていて、通常のプラネタリウムのように半球状のドーム天井は必要ありません。ここが家庭用と銘打ったところですね。部屋の明かりを消して1万個の星空を投影するとロマンチックな星空が天井に浮かび上がります。好きな音楽でも聴きながら楽しむといいですね。クリスマスの夜の演出などにも最適かもしれませんね。

12月の星座案内図

12月の星空

クリックすると、星図が変わります。

この星図は、株式会社アストロアーツの天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータVer.7」から出力し、加工したものを使用しています。

2005年12月5日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。