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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)


第76回 期待されるしし座流星群

今年のしし座流星群は?

先月10月21日に見られたオリオン座流星群は、マスコミで大きく取りあげられて話題になりましたが、結果的には期待したほど多くの流星数は見られず残念でした。
今月は、久々にしし座流星群に期待が持てそうです。
2001年に爆発的に多くの流星が見られたしし座流星群ですが、昨年はヨーロッパ諸国で多くの出現が観測されました。多数の流星が見られた原因は母彗星といわれているテンペル・タットル彗星が1466年に軌道上に残したチリの中を地球が突き抜けたことによるものです。
来年(2010年)はその彗星軌道の中心部分を地球が通り抜けることとなり、日本時間の2010年11月18日午前6時43分前後の数時間においては、1時間あたり500個以上の流星が見られるだろうとNASAの研究者が発表しています。
では、今年はどうかというと来年の予報値まではいかないものの相当数の流星が出現するのではないかと期待されています。
予報では、極大時刻が日本時間の11月18日午前11時頃となっていて、予報どおりであれば昼間の極大なので夜は期待できないともいえます。しかし、昨年のしし座流星群のピークは予報の18時間も前にやってきたという事実に照らし合わせて考えると、今年は11月17日の夜から18日の明け方にかけて、大量の流星が見られる可能性をもっているともいえるのです。

しし座は深夜の午前1時頃に東の空から昇ってきますがしし座流星群は、しし座が空に昇ってくる以前から見え始め、また、しし座付近だけでなく空の全域で見ることができますので、しし座の昇ってくる時刻よりも前からゆったりした椅子にかけるか敷物をして地面に寝ころぶなどして東の空を中心に全天に注目しましょう。
寒い時期ですから防寒対策を充分にして感動の一晩をお過ごしください。

しし座流星群
しし座流星群の写真(撮影:野地小百合)

☆しし座流星群最新情報

10月31日(土)に流星に関するミニシンポジウムがあり、国立天文台に出かけてきました。その結果、今年のしし座流星群に関する見え方の最新情報が入手できましたので、お知らせします。なお、本文の記載と異なる情報となりますが、ご了解ください。
今年、しし座流星群が極大を迎える時刻は日本では11月18日午前6時台となりますが、ちょうどその頃は夜が明けた後となります。そこで、じっさいの観察では、極大(ピーク)の少し前の夜明け前に最も多くの流星を確認できることでしょう。

流星数はピーク時で1時間に100個以上といわれていますが、午前4時ころでは50個程度かも知れません。あくまでも予測ですから突発的に多くの流星が流れる可能性も残していますので、ぜひ、早起きして東の上空を監視してみましょう。

秋の天の川はどこ?

北の空の星図
北の空の星図 天の川のある星座がわかります

カシオペヤ座
秋の天の川の中にあるカシオペヤ座

「天の川は、秋の星座の中にも見られますか?」との質問を読者からいただきました。
天の川は、私たちの太陽や地球を含む星の集団(銀河)の姿なのですが、銀河の中心部に近い方を眺めたときが最も天の川が濃く見え、その方向はいて座です。
コラムの8月分(バックナンバー73参照)にも銀河を見る条件を書きましたが、11月ころに見られる天の川は、星座でいうとは西に傾いたはくちょう座から北の方向に見られる秋の星座ケフェウス座、カシオペヤ座、ペルセウス座などに銀の砂をまき散らしたような美しい輝きで見られます。
下に掲げる星図にも天の川は表現されていますので位置をご確認ください。
天の川を見るには大気の条件が良いとき、すなわち、雨上がりの空気の澄んだ月明かりのない夜などに見えるチャンスが広がります。
チャンスを生かしてぜひチャレンジしてみましょう。

11月の天文情報

曜日 月齢 天文現象など
1 13.9 火星とプレセペ星団が接近
2 14.9  
3 15.9 文化の日 満月
4 16.9  
5 17.9 おうし座流星群南群の極大日
6 18.9 月が最北
7 19.9 立冬(二十四節気) 月の距離が最近
8 20.9  
9 21.9 木星の衛星イオがエウロパを隠す(部分食)
10 22.9 下弦の月
11 23.9  
12 24.9 おうし座流星群北群の極大日 月が天の赤道を通過(南半球へ)
13 25.9  
14 26.9 くじら座ο星(ミラ)が極大(変光星)
15 27.9  
16 28.9  
17 0.3 新月
18 1.3 しし座流星群の極大日
19 2.3 月が最南
20 3.3 木星の衛星ガニメデがイオを隠す(部分食)
21 4.3  
22 5.3 小雪(二十四節気) 木星の衛星イオがエウロパを隠す(部分食)
23 6.3 勤労感謝の日 月の距離が最遠
24 7.3  
25 8.3 上弦の月
26 9.3 月が天の赤道を通過(北半球へ)
27 10.3  
28 11.3  
29 12.3  
30 13.3  

11月の星座

11月は晴天率が高く、澄み切った空気の中で美しい星空を見ることができる日が多くなります。
今月は、親しみのある星占いに利用される星座(黄道12星座)のうち、西の方からやぎ座、みずがめ座、うお座、おひつじ座それにおうし座が見えています。
やぎ座には木星がとても明るく輝いているのでみつけやすいことでしょう。みずがめ座は南のひとつ星(唯一の秋の1等星)であるみなみのうお座のフォーマルハウトの上に輝いていますので星をたどっていき、みつけましょう。うお座は暗い星がおおく、もっともみつけにくい黄道12星座のうちのひとつですが、ペガスス座にある秋の四辺形の南側にありますので、注意深く探してみましょう。おひつじ座はやはりあまりめだたない星座ですが、おうし座(すばるとヒアデス星団のある星座)を先にみつけ、おうし座とうお座の間にある星座ですから、星図を頼りに探しましょう。
黄道12星座は、星座そのものは案外地味でめだたないものが多いのですが、太陽の通り道であると同時に、各惑星がその付近を移動していき、天体観測上は大変重要な星座です。
今は木星があるやぎ座がとてもみつけやすくなっていることからそのことがよくわかると思います。

11月の星座案内図

星図(黒地) 星図(白地)

※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。

※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュレーションソフトステラナビゲータ.8から出力し、加工したものを使用しています。

2009年11月4日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。