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つくばでバードウォッチング 片山 秀策

第15回 ハクチョウを観る

飛翔する白鳥
飛翔する白鳥

今年は紅葉が遅いだけでなく、北国からの雪の便りも遅配気味のようです。それでも茨城県内各地の湖沼からは、ハクチョウ飛来の情報が集まっています。ハクチョウは白く大きい鳥で、見た目にも綺麗なので、多くの人に人気があるようです。給餌に慣れていて、人も近くまでくることもあって、白鳥が一つの観光資源となっている場所も多いようです。

茨城県内で観察できるハクチョウは、オオハクチョウ、コハクチョウ、コブハクチョウの三種類です。オオハクチョウ、コハクチョウ、コブハクチョウは、嘴で簡単に見分けることができます。オオハクチョウとコハクチョウは外見は非常に似ています。嘴の黄色い部分の面積が黒い部分よりも多い方がオオハクチョウで、黄色い部分が少ない方がコハクチョウになります。もちろん、オオハクチョウとコハクチョウでは大きさが違いますが、一緒に見なければよく判らないことが多いようです。コブハクチョウは、嘴が赤っぽい肌色で、おでこのところでコブのように盛り上がっているので、簡単に判ります。

オオハクチョウ
コハクチョウ
コハクチョウ
オオハクチョウ
コブハクチョウ
コブハクチョウ

オオハクチョウは、比較的県央、県北に多いようです。水戸市の「大塚池」、那珂市瓜連の「古徳沼」、那珂市役所前の「一関の溜」が観察地として知られています。中でも「一関の溜」は、オオハクチョウとコハクチョウの両種を同時に観察することができます。

コハクチョウは、県南、県西に多いようです。水海道市の「菅生沼」には、毎年200羽ほどのコハクチョウが渡ってきます。茨城県内ではありませんが、千葉県本埜村の白鳥の里は、水田に1000羽近いコハクチョウが越冬している姿を見ることができます。

コブハクチョウは、もともとヨーロッパの鳥で、飼い鳥として公園などで飼育されています。その中で野生化した個体が各地で観察できます。牛久沼、霞ヶ浦総合公園、江戸崎の小野川河口などで繁殖しているので、夏も見ることができます。冬の観察ポイントとしては、潮来町水原が有名です。この場所のコブハクチョウは、北海道苫小牧市のウトナイ湖で繁殖し、冬になると渡って来ます。

いずれの場所も、白鳥の観察地として駐車場などが整備されていて、休日には多くの人たちが白鳥を見るために集まってきます。天気の良い日に、ちょっと出かけてみてはいかがでしょう。

つくば市内では、15、6年前まで洞峰公園にコハクチョウがきていましたが、急に見ることが出なくなり、土浦市の乙戸沼公園に移ってしまいました。しかし、乙戸沼公園では、50羽以上のコハクチョウが越冬するようになりましたが、5、6年前からは、1月の数日しか来なくなってしまいました。ハクチョウは非常に敏感なので、ちょっとした環境の変化で来なくなるようです。

2005年12月12日

片山秀策さんのプロフィール


北海道で暮らしていた時に、庭に来る鳥を見てバードウォッチングに開眼して以来、野鳥の虜に。

死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。

日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事