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つくばでバードウォッチング 片山 秀策

第26回 小さなキツツキ

気温がどんどん下がって、北国からは雪の便りが届き始めました。例年よりも暖かいので、つくば市内も紅葉は遅めですが、11月に入って、時々霜が降りるようになってきました。

11月15日に狩猟解禁となりましたので、銃猟禁止区の洞峰公園沼や乙戸沼などのつくば市内と周辺の池に、カモ達が集まってきています。カモ達も鉄砲を撃てない場所を知っているようです。狩猟は日の出から日没までの日中ですから、カモ達は夜に水田などでエサを採って、日中は池に戻って休んでいます。ですから、昼間に池に行くと色々な種類のカモをゆっくりと見ることができます。

公園や住宅地の植え込みにはジョウビタキやアオジ、公園の草原やグランドにはツグミなどの冬鳥がやってきています。これからは、木の葉が落ちて、木に止まっている小鳥が見やすくなりますので、散歩の時に双眼鏡を持って出かけると、楽しい出会いがあると思います。

コゲラ
コゲラ

今月は、つくば市でよく見られる日本で一番小さなキツツキのコゲラを紹介したいと思います。コゲラは、英名がJapanese Pygmy Woodpeckerというほど小さくて、スズメくらいの大きさのキツツキです。体の色は、白に黒の横縞の地味な鳥ですが、雄は興奮すると頭のこめかみの辺りに赤い羽を出すことがありますけれど、この赤い羽はよほど運が良くなければ見ることはできません。この他、つくば市には、コゲラよりもずっと大きなアオゲラやアカゲラというキツツキがいますが、市内にはあまり来ないようで、筑波山などで見ることができます。

今の時期、カラの混群の一番後ろからやってくるのがコゲラです。時々「ギィー」と鳴きながら、木の枝に垂直に止まり、移動しながらコツコツと木の皮を突いてエサを食べています。エサを食べるのに夢中になって、他の鳥たちがいなくなったことに気がついて、慌てて飛んでいく姿はちょっと滑稽です。コゲラは、小さいこともあって、大きなアカゲラやアオゲラのように、木に穴を開けてエサを採ることはしないで、木の皮の表面や隙間にいる昆虫や昆虫の卵などを食べています。

私がつくばに来た時に、驚いたのはコゲラが多いことでした。公園を散歩しているといつでもコゲラに会えるほどでした。もちろん今でもコゲラはごく普通に見ることができます。それはつくば市内で沢山繁殖しているからでしょう。昔は茗溪学園の前の通りの街路樹には、コゲラの巣穴がいくつもありました。それで「コゲラ通り」と勝手に呼んでいた時期がありました。残念ですが、最近、コゲラの巣穴はあまり見つかりません。街路樹が大きくなったからでしょうか。

コゲラは、小さいけれどキツツキですから、木に巣穴を掘ります。力は弱いので、太い枝や幹に穴を開けることは無理なようです。それと、枯れていない枝は、水分が多いので穴を掘りにくいようです。ですから、枝先を剪定されて枯れた街路樹の枝が、巣穴を掘るのに良く利用されます。5センチくらいの細い枝で、巣穴をみつけたことがありますから、それほど枝は太くなくてもいいようです。巣穴は入り口を入ると下に深い穴になっています。穴を掘り始めるのは、冬の終わりから春先にかけてですから、街路樹の下に木屑が落ちていたら要注意です。コゲラが巣穴の工事中です。

さて、来月は冬枯れの公園で何を探しましょうか。

2006年11月22日

片山秀策さんのプロフィール


北海道で暮らしていた時に、庭に来る鳥を見てバードウォッチングに開眼して以来、野鳥の虜に。

死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。

日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事