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つくばでバードウォッチング 片山 秀策

第48回 今年も狩猟期間が始まった

北国では、本格的な冬になってきたようです。つくば市周辺の雑木林や公園には、冬鳥が沢山帰ってきました。エナガ、シジュウカラ、メジロ、コゲラなどが群になって、林の中を移動して餌を探しています。まだ、茨城県南部では、霜が降りるようになって、ようやく紅葉が本格的になってきたところです。ですから、まだ木々に葉が残っているので、声や気配があっても鳥を探すのはまだ難しいようです。これから葉が落ちてきて、林が明るくなってくると、小鳥を見つけ易くなります。
一足早く渡ってきたカモ達は、初めはオスとメスの羽は同じ色でしたけれど、どんどん羽が生え替わって、オスは綺麗な繁殖羽に変わってきています。羽の生え替わる途中は薄汚いのですが、どんどん美しい姿になっていきます。乙戸沼のように、近くで色々な種類のカモを見ることができる場所に、30分でも定期的に行って観察すると、カモ達の色々な変化を見ることができて、バードウォッチングの楽しみも増えることでしょう。

今年も11月15日の夜明けから狩猟期間が始まりました。来年の2月15日の日没までの期間は、野鳥、特にカモ達にとっては命の危険を避けるために苦労することになります。カモ達は、狩猟できる場所とできない場所を判っているかのように、禁猟区や鳥獣保護区の池に集まってきます。

以前にも書きましたが、つくば市の中心部の人口密集地や研究所の中は銃猟禁止となっています。ですから洞峰公園や中央公園の池は安全ということになります。周辺地域でいえば、筑波山や乙戸沼公園は鳥獣保護区になっていて、銃猟以外の狩猟もできません。宍塚大池周辺の雑木林は銃猟禁止区域に指定されています。

残念なことに霞ヶ浦は、銃猟可能な場所が多いのが現状です。土浦市、阿見町の湖岸線は、湖面での銃猟はできますが、堤防から陸側は銃猟禁止となっています。ですから、霞ヶ浦のカモは、湖岸線にあまり近づくことがなく、沖に浮かんでいます。湖岸にある自衛隊の武器学校や総合運動公園周辺などは、銃猟できないので、カモが岸に上がって休んでいます。

銃猟禁止区域でも、ワナなどの猟具を使った狩猟は、許可を受けることで可能となっています。

狩猟は、すべてが悪いということではありません。人に危害を加える可能性のある動物や日光の鹿のように過剰に増えて植生や森林生態系に悪影響を与えるような場合には、一定の制限を設けて除去する必要は否定できません。

ただ、密猟や人家や道路に向けての発砲など危険な行為は許されるものではありません。銃器は人命を奪う非常に危険な道具ですから、適正な取り扱いが必要だと思います。

バードウォッチングに適した場所になる河川敷や湖畔などのアシ原は、狩猟に適した場所に重なることも多いので、ハンターがいる場所では、事故に遭わないように、ハンターにこちらの存在を知らせるように、声を出すとか、鈴を鳴らすなど注意したいものです。

安全なバードウォッチングを楽しみましょう。

2008年12月3日

片山秀策さんのプロフィール


北海道で暮らしていた時に、庭に来る鳥を見てバードウォッチングに開眼して以来、野鳥の虜に。

死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。

日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事