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ちあきの星空コラム

第270回 今年一年の天文トピックス (2025/12/26)

2026年の星の楽しみ(天文トピックスなど)

あけましておめでとうございます。

今年もこのコラムを楽しんでいただけますよう、お願いいたします。

2026年の幕開けにあたっては、今年1年間の星の見どころなどをご紹介します。

特に天文現象は、うっかり見逃してしまいますと二度と見ることができませんので、手帳にメモして見逃さないようにしましょう。

2026年の流星群

今年も多くの流れ星が見られる流星群(りゅうせいぐん)に注目しましょう。

3大流星群を紹介します。

3大流星群とは、しぶんぎ座流星群、ペルセウス座流星群そしてふたご座流星群のことなのですが、しぶんぎ座流星群は新年早々の1月4日の明け方を極大として、1時間に10~20個くらいの流星が見られるのではないかと予想されます。しぶんぎ座という星座は今はありませんが、りゅう座の一部を過去、しぶんぎ座と呼んでいたときの名残として使用されています。

澄んだ空気の中で音もなくスーとすばやく流れる流星を確かめてみましょう。

次にペルセウス座流星群ですが、8月13日の夜(12日の夜から13日の明け方にかけて)に見ることができます。月明かりの影響もなく、1時間に30~40個程度の流星が見られるかもしれません。前後の夜でも少し見えますので、お天気を気にしながら観察日程を決めて楽しみましょう。

12月には14日の夜から15日の明け方にかけて、ふたご座流星群を見ることができます。1時間に40~50個程度の流星を見ることができるでしょう。都会地では、見える流星の数が期待ほど大きくはありませんが、明るい流星も見られますので、期待してみるといいでしょう。

そのほかにも、5月6日のみずがめ座η流星群、7月31日のやぎ座α流星群とみずがめ座δ南流星群、10月22日オリオン座流星群及び11月18日のしし座流星群などにも注目してみましょう。

流星の写真:明るい流星だと流れている途中で色が変化している様子がわかることもある

3月3日の皆既月食

3月3日には皆既月食が見られます。

この日は、午後6時50分頃から欠け始め、午後8時4分過ぎに月全体が地球の影に入る皆既月食となります。さらに午後9時2分頃に皆既食が終了し、以降、部分月食がみられます。

午後10時過ぎには部分食も終わります。

昨年見られた9月8日の皆既月食と違い、人々の生活時間の中で見られる、見やすい月食となります。ぜひご覧ください。

写真やスケッチに残すのもいいかもしれませんね。

過去の皆既月食連続写真:2022年11月8日の月食の様子です。東の空から昇りくる満月がだんだんと地球の影に隠され、月全体が地球の影に入ると赤黒い皆既月食となります。今回の月食はこの写真と条件が似ており、観察時間帯から子どもも観察できそうな良い条件の皆既月食といえます。

すばる食

昨年に引き続き、2026年もすばる(プレアデス星団)が月に隠される現象があります。

1回目は2025年12月31日22時から新年の1月1日未明にかけて見ることができます。

2回目は2月24日は、月がプレアデス星団に接近し、一部の地域では星プレアデス星団食が、また、一部地域では「大接近」が見られます。

最も条件の良いのは、11月24日の食ですが、あいにく月は満月でとても明るいので、双眼鏡や天体望遠鏡を使って、口径を絞るなどして減光して観察することをおすすめします。

すばる(プレアデス星団)の写真。この星団を月が隠します。

1等星レグルスの食

しし座の主星レグルス(1等星)は、月の移動していく軌道に近い位置にあるため、時として月に隠されることがあります。今年はその隠される現象を食(しょく)と呼び、月に隠される瞬間や出現する瞬間を目の当たりに観察すると、天体観測の醍醐味を感じることができることでしょう。

その食が今年は2回も見られます。

1度目は1月7日、2度目は3月2日に見られます。

双眼鏡や天体望遠鏡で見ることができます。

写真は、同様に1等星アルデバランが月に隠され、出現した時の様子を写真に撮ったものです

土星と木星

ふたご座の中に木星、そして土星はうお座付近に見られます。

木星は、1月から5月ころまでが観測好機。冬の星座の中にある1等星よりも明るく輝き、天体望遠鏡で観察すると、表面模様が見られ、木星の周囲には4個のガリレオ衛星も見られます。

土星は10月に衝を迎えるので、10月から12月までが観測しやすくなります。

環は、とても細く見えます。

木星(撮影:浦辺守)

土星(撮影:疋田純之)

宵の明星

2026年の金星は、2月ごろから10月ごろまで夕方の西の空に見られる宵の明星として楽しむことができます。

明るさは、およそ-(マイナス)4等級という圧倒的な明るさで輝きますから、だれでも夕空の中の星の輝きに気づくことができるでしょう。

天体望遠鏡で観察すると、月の満ち欠けのように欠けた様子を観察できます。

宵の明星:西の空に煌々と輝く金星の姿は他の星を圧倒した明るさで輝きます

その他

11月30日の深夜にしし座の1等星レグルス付近に月と火星と木星が集合している様子が見られます。にぎやかな星空となることでしょう。

2026年は春分が3月20日(金曜日)、夏至が21日(日曜日)、秋分が9月23日(水曜日)、冬至は22日(火曜日)となります。このうち、春分と秋分の日は祝日となっています。昼間の長さや夜の長さを意識して実感することができ、季節の節目となります。

また、今年の七夕は、暦の上では7月7日ですが、月おくれでおまつりする地域では8月7日ころにおまつりを行います。さらに旧暦の伝統的七夕は、8月19日となっています。伝統的七夕を祝う地域も徐々に増えてきているのではないでしょうか。この時期に織姫星(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)を星空の中からさがして、郊外地では天の川の位置も確認するといいでしょう。

中秋の名月は、今年は9月25日です。9月の満月(9月27日)とは2日のずれとなっています。中秋の名月当日は、ススキや萩の花を飾り、お団子や秋の収穫の農作物などをお供えして月が東の空から昇りくる様子を鑑賞して楽しみましょう

1月の惑星

水星

1月22日に外合となるため太陽に近い方向にあり、見るのはむずかしいのですが、月初めの頃だけ、明け方の南東の空に見ることが可能です。

(-0.6等~-1.3等)

金星

1月7日に外合となるので、見ることができません。

(明るさ-4.0~-3.9等級)

火星

1月9日に合となるので、見ることができません。

(明るさ1.2~1.2等級)

木星

1月10日に衝を迎え観測の好機です。一晩中観測することができます。

(-2.5~-2.5等級)

土星

日没後の南西の空に1等級の明るさで輝いていますので、いつけやすく、天体望遠鏡で覗くと細い環を見ることができます。

(1.2~1.1等級)

1月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
10.8元旦 未明にはプレアデス星団の食
11.8月の距離が最近
12.8満月(ウルフムーン)
13.8しぶんぎ座流星群の極大
14.8小寒(二十四節気
15.8金星が外合
16.8レグルス(しし座α星)の食
17.8
18.8
1019.8木星が衝
1120.8下弦の月
1221.8成人の日
1322.8
1423.8月の距離が最遠
1524.8
1625.8
1726.8
1827.8
1928.8新月
200.1大寒(二十四節気)
211.1
222.1
233.1月と土星が接近
244.1
255.1
266.1上弦の月
277.1月とプレアデス星団が接近
288.1
299.1
3010.1月の距離が最近
3111.1月と木星が接近

1月の星空案内図

南の星空

背景黒

背景白

北の星空

背景黒

背景白

1月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。この星図では月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。
本コラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ12」を使用しています。
星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では天文台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。