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ちあきの星空コラム

第86回 金星の輝き (2010/09/03)

金星が最大光輝を迎える

金星の拡大像(15センチ屈折望遠鏡で撮影

宵の明星と呼ばれ、夕方の西空に見られる金星は、地球の内側を公転している惑星で、地球に最も近い位置にある惑星ですが9月24日には最大光輝(-4.6等星)となり、とても明るく輝きます。
会社や学校から帰宅するとき、西空に注目してみましょう。他の星と違って空がまだ明るい時から見え始め、もちろん一番星なのですが、あまりにも明るくて他の星とはあきらかに輝きが違います。
このコラムでは、夕空に月と一緒に輝く金星の姿を何度か写真にとらえ、バックナンバーで掲載してきましたが、今月の写真は天体望遠鏡で撮影した拡大写真です。
これを見ると、半月のように欠けた金星の姿に見えます。
金星も、月と同様に太陽の光の当たっている部分のみが輝いて見えるためにこのような形に見える時期があるのです。
また、今月は9月11日に月と火星が金星の近くに輝いて見えます。そのときは特に美しい風景として見ることができますので、西空に注目してみましょう。

秋のカシオペヤ座にも天の川

カシオペア座付近の天の川の輝き

夏の星座のはくちょう座から北へ続く天の川は、ケフェウス座、カシオペヤ座そしてペルセウス座へと、秋の星座の中に伸びています。
夏の天の川ほど濃くはありませんが、秋の澄みきった星空の下ではむしろくっきりはっきり見ることができます。
月あかりのない夜に天の川をさがしてみましょう。
今年は8月に2夜、私の住む茨城県龍ケ崎市内でも天の川の姿を確認することができました。
9月に入り、空が澄んでくると、天の川を見られるチャンスが増します。まち明かりをさけて夜空を仰いで見ましょう。
天の川を見られるチャンスがきっとあることでしょう。

中秋の名月

今年も旧暦の8月15日にあたる中秋の名月が、9月22日にやってまいります。
満月は、翌9月23日の予定で、満月のちょっと前の名月の輝きをご覧ください。
夕方5時ころには既に東の地平線から昇ってきますが、見やすい角度の高度角30度近くになるのは午後7時台です。名月の昇ってくる姿の神々しさに、ススキやお団子をお供えするおまつりが、日本には長く続いてきました。
今の世の中は電気が発達して夜道も家も照明でとても明るくなりましたが、電気が普及する前までは、月の明かりはとても重宝する生活になくてはならない照明だったのです。
昔の時代に想いを馳せて、部屋の明かりを消して中秋の名月を堪能してください。
ここで、お知らせをひとつ。茨城県牛久市結束町にある牛久自然観察の森では、9月22日にお月見の会を開きます。午後5時から午後7時まで、森の入り口にあるバッタの原で自由参加自由解散です。予約は不要、無料です。当日は、原っぱでゆっくり月を観賞することができます。もちろん、私も天体望遠鏡持参で参加しますので、参加された方は声をかけてくださいね。
そのほかにも各地で名月の鑑賞会が計画されています。ネット検索で調べてみるとたくさんありますよ!

9月の天文情報

曜日月齢天文現象など
22.0二百十日
23.0下弦の月 月が最北
24.0 
25.0 
26.0月とプレアデス星団が接近  
27.0みずがめ座ι(南)流星群が極大 
28.0 
29.0白露(二十四節気) 新月 月の距離が最近
0.7月が赤道を通過(南半球へ)
101.7 
112.7月、金星、火星の接近(夕方の西空)
123.7 
134.7 
145.7 
156.7上弦の月 月が最南
167.7 
178.7 
189.7木星と天王星が最接近
1910.7 
2011.7水星が西方最大離角(明け方の東の空に見られる)
2112.7月の距離が最遠
2213.7中秋の名月 月が赤道を通過(北半球へ)
2314.7秋分(二十四節気) 満月 
2415.7金星が最大光度(-4.6等)
2516.7 
2617.7 
2718.7 
2819.7 
2920.7 
3021.7月が最北

9月の星座

9月は夏の星座と秋の星座の両方を見ることができます。夕空に夏の大三角が見え、やがて西に傾いていきますが、それと同時に東からは秋の星座が昇ってきます。
南の空にはみなみのうお座のフォーマルハウトが1等星の輝きを見せてくれます。
また、うお座には木星がマイナス2等星でとても明るく輝きます。ペガスス座、アンドロメダ座、カシオペヤ座なども頭上高く昇ってきます。
澄みきった空で星座をみつけて楽しみましょう。

9月の星空(黒)

9月の星空(白)

※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。
※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュレーションソフトステラナビゲータ.8から出力し、加工したものを使用しています。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。