ちあきの星空コラム
第98回 月の自転は27日? (2011/09/02)
9月12日は中秋の名月
今月12日に見られる満月は、中秋の名月です。
満月の日には、ススキとお団子などをお供えしてぜひ月を鑑賞しましょう。
月は、太陽の光を反射して輝いて見えますが、満月では太陽の光が正面から当たっているために特に明るく、肉眼でも黒い海と呼ばれる部分と白く輝く明るい部分を見分けることができます。
天体望遠鏡で見るととてもリアルに見えますが、光が正面から当たっているために影がなく、クレータはあまり見えません。クレータをはっきり確認するためには、欠けた部分が目立つ半月の頃がもっとも見やすく、欠けぎわのところをよく見ると、双眼鏡でもクレータの存在を確認できます。
そうしたことから天体観望会を行うときの日程は、半月(上弦の月)の頃をねらって決めることが多く、中秋の名月を見るイベントなど以外は、満月の頃をさけて日程を決めることとしています。
月は27日間で自転している
ひと月は約30日間ですが、これは旧暦の頃から月の満ち欠けの一巡りをひと月としてきた暦が使われていた名残で、現在もそれに近い日数をひと月としています。
実は、月が地球の周りを1周するのに要する日にちは約27日なのですが、月が地球の周りを公転でひと周りする間に地球そのものが太陽の周りを公転しているために、月が新月から満月を迎え、また新月になるまでの日数は29.5日(約30日)かかってしまうのです。
月の満ち欠けのうち、新月、上弦の月などの情報は下に示す天文情報で知ることができます。月齢は29.5までいくとまた、0からスタートして29.5になるまで数を増やしていきます。満月は半分の日数、月齢が15の頃となるわけです。
ちょっと不思議な感じもしますが、じっさいの月をながめ、位置や欠け具合を毎日記録してみると月のことがもっとよくわかるようになるでしょう。
くじら座ミラを見よう!
9月の注目はくじら座。変光星ミラが明るく輝いて2等星にまで増光しています。
ミラは331.6日周期で変更しており、明るさが2等星から10等星まで変化します。一般に私たちは光害の少ない場所では肉眼でおおよそ6等星まで見ることができますから、増光した今は見られるのですが、暗くなったときには肉眼では全く見えなくなってしまいます。
今年は9月7日頃がピークで明るくなり、その後、だんだんと暗くなっていきます。肉眼でも双眼鏡でも確認できますので、他の星と比較して明るさの変化を追ってみましょう。
9月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 木 | 3.0 | 二百十日 |
2 | 金 | 4.0 | |
3 | 土 | 5.0 | 月の距離が最近 |
4 | 日 | 6.0 | |
5 | 月 | 7.0 | 上限の月 月の赤緯が最南 |
6 | 火 | 8.0 | |
7 | 水 | 9.0 | くじら座ミラ(変光星)が極大(2等級) |
8 | 木 | 10.0 | 白露(二十四節気) |
9 | 金 | 11.0 | |
10 | 土 | 12.0 | |
11 | 日 | 13.0 | |
12 | 月 | 14.0 | 満月 中秋の名月 月が天の赤道通過(北半球へ) |
13 | 火 | 15.0 | |
14 | 水 | 16.0 | |
15 | 木 | 17.0 | 月の距離が最遠 |
16 | 金 | 18.0 | |
17 | 土 | 19.0 | おひつじ座σの食(月に隠される) |
18 | 日 | 20.0 | はくちょう座κ流星群が極大 |
19 | 月 | 21.0 | 敬老の日 |
20 | 火 | 22.0 | 下弦の月 月の赤緯が最北 |
21 | 水 | 23.0 | |
22 | 木 | 24.0 | |
23 | 金 | 25.0 | 秋分の日 秋分(二十四節気) |
24 | 土 | 26.0 | |
25 | 日 | 27.0 | |
26 | 月 | 28.0 | 月が天の赤道通過(南半球へ) |
27 | 火 | 29.0 | 新月 |
28 | 水 | 0.7 | 月の距離が最近 |
29 | 木 | 1.7 | |
30 | 金 | 2.7 | 土星と金星が最接近 |
9月の星空
9月の空をながめると、たとえば午後9時頃、西空を見るとまだ夏の星座でいっぱいですが、天頂から東の空は秋の星座がお目見えしています。
天頂付近にはペガスス座、北の空にはカシオペヤ座、そして南の空には南のうお座のフォーマルハウトが輝いています。
月明かりの少ない夜に星図をたよりに秋の星座を探してみましょう。
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。