ちあきの星空コラム
第107回 金環日食の感動 (2012/06/01)
見ましたか金環日食
金環日食は見ましたか。コラム読者の方々は「見た」という答えの方が多いのではないでしょうか。関東地方は曇り空の中、うす雲を通して金環日食の姿に感動を覚えた方が多くいらっしゃったことと思います。また、悪天候で見られなかった方もいらっしゃることと思いますが、このコラムやその他のHP、TVなどで、間接的にご覧になられていることと思います。
私は、前日の天気予報から関東北部の方が見られる可能性が高いと判断して、金環日食帯の北部限界線に近い群馬県下仁田町にある私設の神津牧場天文台に出かけました。
日食当日は神津牧場天文台では、早朝からうす雲のあるお天気でしたが、太陽がしっかり昇ってくる様子を確認できましたので、観測広場に天体望遠鏡とカメラ三脚を設置し、天体望遠鏡による望遠撮影とカメラレンズによる広角レンズでの撮影の二種類を行いました。写真をご覧ください。
6月6日に金星の太陽面通過が見られる
金環日食用に活用した日食メガネは、6月6日には金星が太陽面を通過するので、その様子を観察するのに用いることができます。
今回も太陽を直接見ると危険ですから必ず日食メガネをつけてから太陽を見るようにしましょう。
朝の7時10分に太陽面に金星が黒く丸いシルエットで登場し、6時間以上にわたって見られ、午後1時47分まで観察を楽しむことができます。
6月4日には部分月食も!
昨年12月10日の皆既月食に続いて6月4日には部分月食が見られます。
金環日食の興奮も残るこの時期に次の天文現象が見られるわけですから、うれしいかぎりです。
月が地球の本影に隠されはじめるのが午後6時59分ごろ、しばらく欠け具合が進行し、やがて月の全体が隠されることなく欠けた様子が小さくなりはじめ、午後9時7分に本影による食が終了します。
月が欠ける最大のころは午後8時3分ころで、およそ月の3分の1が地球の本影に隠されます。
月の色は、部分月食ですから皆既月食のような赤銅色風の月面になることはありません。
満月そのものは太陽の光を正面から受けて輝いており、月と太陽の間に地球がはさまれ、地球の影が月面に見えているという現象です。
地球から宇宙に思いを馳せて壮大な宇宙を想像してみるといいでしょう。
晴れることを期待し、学校や仕事帰りにちょっと空を見上げてみましょう。
6月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 金 | 11.1 | |
2 | 土 | 12.1 | |
3 | 日 | 13.1 | 月の距離が最近 |
4 | 月 | 14.1 | 満月 部分月食 |
5 | 火 | 15.1 | 芒種(二十四節気)月の赤緯が最南 |
6 | 水 | 16.1 | 金星の太陽面通過 |
7 | 木 | 17.1 | |
8 | 金 | 18.1 | |
9 | 土 | 19.1 | |
10 | 日 | 20.1 | |
11 | 月 | 21.1 | 下弦の月 月が天の赤道通過(北半球へ) |
12 | 火 | 22.1 | |
13 | 水 | 23.1 | |
14 | 木 | 24.1 | |
15 | 金 | 25.1 | |
16 | 土 | 26.1 | 月の距離が最遠 |
17 | 日 | 27.1 | |
18 | 月 | 28.1 | |
19 | 火 | 29.1 | 月の赤緯が最北 |
20 | 水 | 0.5 | 新月 |
21 | 木 | 1.5 | 夏至(二十四節気) |
22 | 金 | 2.5 | |
23 | 土 | 3.5 | 月と金星が近づく |
24 | 日 | 4.5 | |
25 | 月 | 5.5 | |
26 | 火 | 6.5 | 月が天の赤道を通過(南半球へ) |
27 | 水 | 7.5 | 上弦の月 |
28 | 木 | 8.5 | 月と土星、スピカが接近し並ぶ |
29 | 金 | 9.5 | |
30 | 土 | 10.5 |
※月齢を訂正しました(2012年12月5日)
6月の星空
6月は、大気中の水蒸気量が多く、星はすっきりと見えない日が多いものです。
しかも入梅によって連続して星空が眺められないことも多く、がっかりします。
でも、時には晴れることがありますので、そうした機会に夜空を仰ぎ見ましょう。そうすると5月に見えていた春の星座は西に傾き、東の空からは夏の星座が早くもお目見えしています。
南の空にもさそり座のアンタレスが赤い光を投げかけています。
春から夏に変化していく星空を満喫しましょう。
また、土星はおとめ座付近にあって、今月も見ごろです。おとめ座の1等星スピカよりも明るく輝いていますので、肉眼で確認できます。
梅雨の間の晴れ間がチャンスですからぜひ、逃さずに星空を楽しみましょう。
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。