ちあきの星空コラム
第108回 天の川の季節 (2012/07/03)
梅雨が明けると天の川
梅雨が明けると夜空は夏の星座でいっぱいです。南のさそり座付近から天頂のはくちょう座にむかって立ち昇るかのように天の川が見られますが、都会地では残念ながらまち明りなどの光害(ひかりがい)によって、天の川を見ることができませんが、郊外地や海辺などではその雲のような不思議な淡い輝きを見ることができます。
木星食が見られる
金環食や金星の太陽面通過など、天文の話題がニュースをにぎわせましたが、7月には白昼に木星が月に隠される現象が見られます。
といっても、天体望遠鏡またはフィールドスコープなどを用いて観測しないと見ることができませんが・・・
7月15日は日曜日、しかもちょうどお昼頃の現象ですから、望遠鏡をお持ちの方はぜひこの現象を観測して見ましょう。また、上空には太陽も出ていますが、太陽は肉眼でも天体望遠鏡を通してでも決して見ないようにしてください。
関東地方では、木星が月に隠される時刻は13時5分ごろ。月の暗い部分から出現するのは14時3分ごろです。
正確な時計を用意してじっさいに何時何分何秒に隠されたか、あるいは出現したかといった時刻測定や、現象をビデオや写真に撮るなど、事前に準備して観測を楽しみましょう。もちろん、私も写真撮影をおこなう予定をしています。
金星の太陽面通過は見られましたか?
金星の太陽面通過:
右上の黒く小さな丸い点が太陽面を通過していく金星の姿
口径60mm屈折望遠鏡、焦点距離500mmを1.4倍テレコンバージョンレンズを付けて合成焦点距離700mmにて撮影。
カメラ=ニコンD7000ボディ使用、
フィルターはND400とND4フィルターを重ねて使用、
シャッター速度250分の1秒
その結果、埼玉県羽生市で晴れ間をみつけ、写真を撮影することができました。
上の写真がそのときのものですが、雲間からの撮影となったために、太陽面には雲のために濃淡ができてしまいました。しかし、黒くて丸い金星のシルエットと太陽黒点はしっかりと写ってくれました。
次回は108年後にしか見られない貴重な現象をとらえることができました。
部分日食も曇りで・・・
6月4日の部分月食は、お天気が悪く関東地方では昼間は晴れ間が見られたものの、夕刻からはベタ曇りの状況で、ほとんどの方が雲を通したおぼろ月の淡い輝きしか見られなかったようです。
私もご多分に漏れず、極力雲の薄い地域を探して、千葉県いすみ市の大東岬に出かけました。結果はご覧のとおり、雲を通したぼけた像の月の姿となりました。
次の月食は、来年2013年4月26日、その次は2014年4月15日に見られますが、あまり条件が良くなく、条件の良い月食は2014年10月8日に見られます。
部分月食(雲の中)と大東岬での撮影シーン
7月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 日 | 11.5 | 水星が東方最大離隔(宵の西空に見られる) |
2 | 月 | 12.5 | 月の距離が最近 月の赤緯が最南 |
3 | 火 | 13.5 | |
4 | 水 | 14.5 | 満月 |
5 | 木 | 15.5 | |
6 | 金 | 16.5 | |
7 | 土 | 17.5 | 小暑(二十四節気) |
8 | 日 | 18.5 | 月が天の赤道通過(北半球へ) |
9 | 月 | 19.5 | |
10 | 火 | 20.5 | |
11 | 水 | 21.5 | 下弦の月 |
12 | 木 | 22.5 | |
13 | 金 | 23.5 | 金星が最大光度(-4.5等) |
14 | 土 | 24.5 | 月の距離が最遠 |
15 | 日 | 25.5 | 月と木星、プレアデス星団が接近 木星食(昼間) |
16 | 月 | 26.5 | 月と金星、アルデバランが接近 月の赤緯が最北 |
17 | 火 | 27.5 | |
18 | 水 | 28.5 | |
19 | 木 | 29.5 | 新月 |
20 | 金 | 0.9 | |
21 | 土 | 1.9 | |
22 | 日 | 2.9 | 大暑(二十四節気) |
23 | 月 | 3.9 | 月が天の赤道を通過(南半球へ) |
24 | 火 | 4.9 | |
25 | 水 | 5.9 | |
26 | 木 | 6.9 | 上弦の月 |
27 | 金 | 7.9 | |
28 | 土 | 8.9 | みずがめ座δ流星群が極大 |
29 | 日 | 9.9 | 月の距離が最近 月の赤緯が最南 |
30 | 月 | 10.9 | |
31 | 火 | 11.9 |
※月齢を訂正しました(2012年12月5日)
7月の星空
7月には梅雨明けが待っています。梅雨が明けると例年、晴天が続くことが多く、その時期に夏の星座を探しましょう。
南の空にてんびん座、さそり座、いて座そしてへびつかい座など。天頂にはヘルクレス座やかんむり座など。やがて、深夜になる頃にはこと座、はくちょう座及びわし座の各1等星がかたちづくる夏の大三角が頭上に昇ってきます。
星座早見盤などを使ってたしかめ、また、それぞれの星の明るさの違いなどもたしかめてみましょう。
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。