ちあきの星空コラム
第123回 アイソン彗星がやってくる (2013/10/04)
いよいよやってくるアイソン彗星
地球に接近する大彗星の中でも、今回やってくるアイソン彗星は肉眼で明るく見られる彗星として注目されています。
アイソン彗星が太陽に最も近づく近日点は、軌道計算の結果、11月28日と予想されており、これからだんだんと明るさが増してきます。
近日点の前後にはとても明るく見られると期待されています。
長く尾を引いた姿で見られると予想され、彗星はその姿からほうき星とも呼ばれていますが、まさしく今回見られるアイソン彗星はそのような姿に見られることでしょう。
しかもアイソン彗星は、とても明るくなって、肉眼で十分見ることができると予想されていま
すので、明け方の東の空に煌々と輝く長い尾のある姿をみつけましょう。
10月のアイソン彗星
アイソン彗星は今、どこに見られるのでしょうか?
10月のアイソン彗星は、しし座の方向に見られます。今は季節が秋ですから、しし座は明け方の東の空に見えることになります。
しかし、10月のアイソン彗星はまだ肉眼で見られるほど明るくなってはいないために、じっさいに観測する場合は、天体望遠鏡を使って見るか、あるいは彗星の予報位置付近をカメラで撮影して、その画像から存在を確認することになります。
火星がアイソン彗星とほとんど同じ方角に見られますので、火星との相互位置関係からさがすといいでしょう。
11月、12月のアイソン彗星、世紀の大彗星となるか?
アイソン彗星が最も太陽に接近する11月28日には、太陽の熱と風によって、とても明るくなることが予測されますが、その日は地球からは太陽の方向にある彗星の姿を見ることはできません。
じっさいに見られるのは、下図にあるように11月は25日頃まで、そして12月は5日頃から長い尾をともなったほうき状の姿として見られることができるでしょう。
もし、アイソン彗星を見たならば、その感動を文字にするか、絵(スケッチ)にするか、あるいは写真に撮るとか、何らかの方法で記録して感動を長く味わいましょう。
10月7日に見られる月、金星、土星と水星
10月7日、8日には弓のような月の姿とともに金星、土星そして水星が日没後の西の空に見られます。
午後6時ころ見られる現象なので、うっかり見過ごさないように予定表に書き込みをしておきましょう。
特に水星は低空なので、西南西の方角が開けた見晴らしの良い場所で見ましょう。
9月9日に見られた火星とプレセペ星団
9月9日の未明には火星がかに座のプレセペ星団の中を通過していくことを同じく先月のコラムでお知らせしましたが、この時の写真も撮影に成功しましたので、披露します。
明け方の東の空、かに座の中心部分にあるプレセペ星団と火星の移動していく様が重なりました。
10月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 火 | 25.6 | |
2 | 水 | 26.6 | |
3 | 木 | 27.6 | 月が天の赤道を通過(南半球へ) |
4 | 金 | 28.6 | |
5 | 土 | 0.1 | 新月 |
6 | 日 | 1.1 | |
7 | 月 | 2.1 | 夕刻の西空に月、金星、水星、土星が接近して見られる |
8 | 火 | 3.1 | 寒露(二十四節気) |
9 | 水 | 4.1 | 10月りゅう座流星群が極大 水星が最も見ごろ(東方最大離隔) |
10 | 木 | 5.1 | 月の赤緯が最南 |
11 | 金 | 6.1 | 月の距離が最近 |
12 | 土 | 7.1 | 上弦の月 |
13 | 日 | 8.1 | |
14 | 月 | 9.1 | 体育の日 |
15 | 火 | 10.1 | 火星としし座レグルスが接近 |
16 | 水 | 11.1 | 月が天の赤道通過(北半球へ) |
17 | 木 | 12.1 | 十三夜(後の月) 金星とさそり座アンタレスが接近 |
18 | 金 | 13.1 | |
19 | 土 | 14.1 | 満月 |
20 | 日 | 15.1 | |
21 | 月 | 16.1 | オリオン座流星群が極大 |
22 | 火 | 17.1 | |
23 | 水 | 18.1 | 霜降(二十四節気) 月の赤緯が最北 |
24 | 木 | 19.1 | |
25 | 金 | 20.1 | 月の距離が最遠 |
26 | 土 | 21.1 | |
27 | 日 | 22.1 | 下弦の月 |
28 | 月 | 23.1 | |
29 | 火 | 24.1 | |
30 | 水 | 25.1 | |
31 | 木 | 26.1 | 月が天の赤道を通過(南半球へ) |
10月の星空
10月には空気の澄んだすっきりとした星空を望める日が多いことでしょう。
秋の星座は、案外地味できわだった明るい星はないものの、2等星クラスの星々を結んで星座を構成しているので、最初にペガスス座をみつけるとその位置関係から星図を参照しながら周りの星座もみつけることができます。
晴れた夜に星座探しにチャレンジしてみましょう。
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。