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ちあきの星空コラム

第125回 アイソン彗星は消滅? (2013/12/03)

11月21日に福島県いわき市内で撮影したアイソン彗星

11月21日に福島県いわき市内で撮影したアイソン彗星

明け方に見られる可能性を残すアイソン彗星

11月29日に太陽に最も近づく近日点を通過したアイソン彗星は、太陽に接近した際に分解し、大半の部分が消滅した模様で、残る残骸は淡くなっているようです。といっても軌道上を彗星はその後も移動しているものと思われ、肉眼でみつけるのは、難しくなりましたが、天体望遠鏡ではその存在を確認できるかもしれません。

上の写真は、先月11月21日に見られた彗星をデジタル一眼レフカメラに標準ズームレンズを装着し撮影したものです。

また、下の写真は、友人が千葉県房総半島で11月16日に天体望遠鏡にデジタル一眼レフカメラを装着し撮影したものです。

11月16日に房総半島の鴨川で天体望遠鏡を使い撮影されたアイソン彗星(撮影:首藤謙一)

11月16日に房総半島の鴨川で天体望遠鏡を使い撮影されたアイソン彗星(撮影:首藤謙一)

11月の時点では、肉眼ではかろうじてみつけることができる明るさでしたが、これが、12月8日頃からは夜明け前の東の空で観測できる位置になってまいりますが、果たして、みつけることができるでしょうか。

小さく、暗くなったアイソン彗星のその後の姿を探してみたいと思います。天体望遠鏡をお持ちの方は、ぜひ明け方の午前5時台の時間帯が観測に適しています。

東の空に見られますので、東の空が見通せて光害の少ない所での観測が適しています。

そういった環境で計画的に探してみることをお薦めします。防寒対策をした上でじっくり彗星をさがしましょう。

ラブジョイ彗星が見えている!

12月のアイソン彗星は、予想からすると予想はずれの暗いものになった可能性がありますが、そのかわりラブジョイ彗星が見えています。

光害の少ない所では肉眼でもかろうじて見える可能性がありますが、双眼鏡を使えば確実にみつけることができます。

位置は、12月のはじめはうしかい座にあり、中旬から下旬にかけてはヘルクレス座付近を移動しています。

下の写真のような見事な尾を持った彗星として観測できますので、ぜひさがしてみましょう。

12月1日に見られたラブジョイ彗星(撮影:浦辺守)

12月1日に見られたラブジョイ彗星(撮影:浦辺守)

12月の天文情報

曜日月齢天文現象など
27.6月と土星が接近
28.6水星食(明け方の東天で水星が月に隠される)
0.1新月
1.1月の赤緯が最南  月の距離が最近
2.1
3.1
4.1大雪(二十四節気) 金星が最大光度(-4.7等)
5.1
6.1
107.1上弦の月  月が天の赤道通過(北半球へ)
118.1
129.1
1310.1
1411.1ふたご座流星群が極大
1512.1
1613.1
1714.1満月  月の赤緯が最北
1815.1
1916.1
2017.1月の距離が最遠
2118.1
2219.1冬至(二十四節気)
2320.1天皇誕生日
2421.1月が天の赤道通過(南半球へ)
2522.1下弦の月
2623.1
2724.1
2825.1
2926.1
3027.1
3128.1月の赤緯が最南

12月の星空

すばる(プレアデス星団)

すばる(プレアデス星団)

12月の星空には、秋の星座だけでなく、東の空から冬の星座が見られるようになります。

特にこの季節にはおうし座のすばる(プレアデス星団)が見やすく、肉眼で見ると羽子板のような形に6個の星が集まっているように見られます。

双眼鏡で見るとそのほかにも多くの星が集まった星団であることがわかり、さらに天体望遠鏡で見ると視野いっぱいに星団の星々が輝く様が見られます。

青白い色の星々は、付近のヒヤデス星団の中にあるアルデバランのオレンジ色の星との対比が美しく、寒さに震えながらもじっと眺め、美しさを堪能するに値する星といえます。

12月の星空(背景黒)

12月の星空(背景黒)

12月の星空(背景黒)

12月の星空(背景黒)

12月中旬、21時ころの星空です。月の位置及び月明かりの影響は省略しています。画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。このコラムに用いている星図やシミュレーション画像は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ9」を使用しています
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。