ちあきの星空コラム
第135回 皆既月食 ※速報追加 (2014/10/09)
速報!
10月8日の皆既月食は、私の観測した場所(福島県いわき市)では快晴となり、皆既食の最中は月は赤く輝き、とても感動的な写真を撮ることができましたので、ご披露します。
ご覧ください。
撮影データ
10センチ屈折望遠鏡にデジタル一眼レフカメラボディを装着して撮影(焦点距離=740mm)
撮影地:福島県いわき市塩屋埼灯台下
10月8日は皆既月食
みなさんが皆既月食を観察した経験があるとしたら、それは約3年前の12月10日のことでしょうか。
今回、2年10か月ぶりに条件の良い皆既月食を見ることができます。
深夜や明け方の月食ですとじっさいには見ないままで終わってしまうといったことがありますが、今回のように日没後、まもなく欠け始める月食ですと、じっさいに見られるチャンスが多 いといえます。
皆既月食の進行:
18時過ぎに欠け始める月は、19時24分頃皆既月食となります。
皆既月食は約1時間見られ、その後、部分月食となりだんだん通常の満月の姿に戻っていき、
21時34分頃終了します。
図中に記載の高度角は東京の場合であり、地方によって、やや異なります。
天文学的には、食の始まりは17時14分ですが、まだ月が地平線から昇っていませんので見ることはできません。肉眼で見てはっきり欠けたことがわかる本影食の始まりは18時14分となります。
その後の欠けていく様子は、図に示すとおり、おおよそ1時間をかけて皆既月食となります。
皆既月食になると、月はすっぽり地球の影の中に入ってしまうこととなりますので、月の姿は暗くなりますが、赤い光がわずかに残り、その姿が見えますので真っ暗にはならず、見慣れない色の(赤色系の)月が天にぽっかり浮いているように見えます。
皆既食の状態が約1時間ほど続くと、その後は月が地球の影から少しずつ姿を現してきて、おおよそ1時間で元通りの姿、すなわち満月の輝きに戻ります。
肉眼で十分観察が可能で、双眼鏡や天体望遠鏡を使えばさらにはっきりと観察することができます。
また、コンパクトデジタルカメラなどでも月食の様子を撮影することができます。
10月22日オリオン座流星群極大
ここ数年オリオン座流星群の活動が活発で、毎年注目度が上がっています。
10月22日の夜は極大日ですから、ぜひ観測してみましょう。なお、当日だけでなく、その前後の日でもある程度、流星は見られます。
オリオン座流星群はその起源がハレー彗星といわれており、今回の極大時期には月明かりもなく観測条件が良好で晴れていれば必ず見るこができます。
眺める空の方角は、全天のいずれの方角でも流星を見ることができるといえますが、基本はオリオン座の方向を見るのが良いでしょう。流星は、勇者オリオンの右手のこん棒を握っている付近から放出されているように見え1時間に15個前後の流星を確認できることでしょう。
ぜひこの機会に観察してみましょう。
10月の天文情報
日 | 曜日 | 月齢 | 天文現象など |
---|---|---|---|
1 | 水 | 6.9 | 月の赤緯が最南 |
2 | 木 | 7.9 | 上弦の月 |
3 | 金 | 8.9 | |
4 | 土 | 9.9 | |
5 | 日 | 10.9 | |
6 | 月 | 11.9 | 月の距離が最近 |
7 | 火 | 12.9 | 月が天の赤道を通過(北半球へ) |
8 | 水 | 13.9 | 寒露(二十四節気) 満月 皆既月食 |
9 | 木 | 14.9 | 10月りゅう座流星群が極大 |
10 | 金 | 15.9 | |
11 | 土 | 16.9 | |
12 | 日 | 17.9 | |
13 | 月 | 18.9 | 体育の日 月の赤緯が最北 |
14 | 火 | 19.9 | |
15 | 水 | 20.9 | |
16 | 木 | 21.9 | |
17 | 金 | 22.9 | 下弦の月 |
18 | 土 | 23.9 | 金星と水星が最接近 |
19 | 日 | 24.9 | |
20 | 月 | 25.9 | |
21 | 火 | 26.9 | 月が天の赤道通過(南半球へ) |
22 | 水 | 27.9 | オリオン座流星群が極大 |
23 | 木 | 28.9 | 霜降(二十四節気) |
24 | 金 | 0.2 | 新月 |
25 | 土 | 1.2 | |
26 | 日 | 2.2 | |
27 | 月 | 3.2 | |
28 | 火 | 4.2 | 月の赤緯が最南 |
29 | 水 | 5.2 | |
30 | 木 | 6.2 | |
31 | 金 | 7.2 | 上弦の月 |
10月の星空
10月に入ると晴天率も高くなり、天高く透き通った空の向こうに秋の星座が輝いて見られます。
秋分も過ぎて秋の夜長の星空を眺め、星座をさがしましょう。
秋の星座をさがす基準の星としては、天頂付近に見られる秋の四辺形をまずさがしましょう。秋の四辺形からペガスス座、アンドロメダ座、北へケフェウス座、カシオペヤ座、ペルセウス座をさがしましょう。
南の空には、低空に唯一の一等星であるみなみのうお座のフォーマルハウトがあります。続いて近くのみずがめ座ややぎ座、くじら座そしてうお座などをみつけましょう。
星座をさがすときは、星座早見か、このコラムの星図をプリントアウトして、星の地図として利用しましょう。
一度に全部みつけられなくても、次の機会にみつけられなかった星座をさがし、何度かチャレンジしているうちに秋の星座を全部みつけられるようになりましょう。
画面をクリックすると大きな星図を見ることができます。
このコラムに用いている星図やシミュレーション画像は、㈱アストロアーツの許諾を受け、
天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ9」を使用しています
田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。